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ここから先は俺たちの手で

あの試合のあと、部室は静かだった。


誰も責めなかったし、誰も泣かなかった。


いや、本当は――全員、泣いていたのかもしれない。


心の中で。悔しさと、誇りと、ちょっとだけの安堵の混ざった涙を。


あのBL学園相手に、ここまでやれた。


けど、勝てなかった。


“まだ届かない”――それが、今の俺たちのリアルだった。


でも、だからこそ思った。


「このまま終われるかよ」


そう言ったのは、たしか清瀬だった。


黙って風呂を上がって、タオルで髪を拭きながら呟いた一言だった。


するとリキヤが笑って、「お前が言うな、次の大会お前投げねぇじゃん」とか言い出して、全員で笑った。


そんなふうにして、俺たちはもう一度、歩き始めた。


センバツを懸けた、近畿大会。


大阪大会で準優勝した俺たちは、ぎりぎりでその切符をつかんだ。


相手はもう、大阪だけじゃない。


京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山――

近畿各地の“本物”が集まる舞台。


情報は少ない。


初戦の相手は、和歌山代表・【箕島中央】。


走塁と守備で徹底的にミスを突いてくる、いわゆる“野球IQで勝つチーム”だ。


監督が言った。


「大阪大会のつもりで入ったら、足元すくわれるぞ」


それでも、もう俺たちは浮かれていなかった。


むしろ、あの敗戦が――


俺たちを「勝つしかない場所」まで連れてきてくれた。


朝練の声が、少しずつ戻ってきた。


ボールの音に、迷いがなくなってきた。


そして、白球を追う背中に、「本気」が宿っていた。


BL学園に敗れたあとでも、


いや――あの敗戦があったからこそ。


ここから、また強くなれる。

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