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7.お助けキャラ?…それとも……

新キャラが登場します。

 

ー ○月○日 晴れ ー

 

 街に出掛けて子猫とお婆さんを助けた。

 子猫は黒猫で小さくてとても可愛かった。

 大ジャンプが凄かった。



(これじゃ以前と変わらないわね…もっと自由に…か。そうね、これまでレイラに見てもらう為にって書いてたけど…この日記帳には好きな事を好きな様に書いてみようかしら?)



ー ○月○日 晴れ ー

 次に街に行く時は沢山のお店を見て歩きたい。

 本屋も雑貨屋も手芸店も屋台も、沢山。

 それとブロワ様が経営されてる噂のお店も行きたい。


 次のお休みにまた行ってみよう、

 それまで学園の図書館で隣国の勉強をしようと思う。

 あと魔法の本ももっと読みたい…。

 あそこは司書さんがいつもいないから探すのが大変。

 でも、時間はあるし探すのも楽しい…から。

 欲を言えば…色々相談したり、遊びに行ったり、

 気兼ねなく笑い合える友達が欲しい…。



(ふー、少し欲張り過ぎたかしら?まっ私だけの秘密だからいいわよね!フフ…。)


そう呟きながら新しい小さな鍵をかけて、以前と同じ様にチェーンに通し服の下に隠す麗良。

そしてベッドに入るが、自分の希望を日記にしたためた高揚感からか…なかなか寝付けずにいたのだった。



翌日学園にて…


日記に友人が欲しいと書くも、積極的に動けるはずもなく…今日も今日とて独りでのランチタイム。


あの一件から、予想は出来ていたし…後悔もしてない。

それに同級生達があのグループに忖度する気持ちも分からなくはないので遠巻きに敬遠されるのも仕方ない事だと納得させる。…さりとて単独行動も悪くはないし、現状に悲観もしていないのも事実であった


(お昼からは自習の時間だし図書館に籠るチャンスね)


図書館に来た麗良にはお気に入りの場所があったが、そこには既に本が置いてあったので、近くの別の席に座り本を読み始めた。

鐘が鳴り教室へと戻り、放課後再度訪れた図書館では…お気に入りの場所が先程と変わらずそのままの状態だった。その事を確認した麗良は、その席に放置されていた本を本棚へと戻し、自分が読む本を選んでその席へと着いた。


麗良がこの席を気に入っている理由の1つは、大きな窓が隣にあり外の景色が見えるからだ。日焼けを避ける為本来図書館には窓が少なく、あったとしても大きさや位置が考えられており、せいぜい換気のためや小さな明かり取りの窓であったので、この席にある様な大きな窓は珍しかった。

そして麗良はそこから見える景色が大好きだったのだ。


本を読む合間に顔を上げると、視線の先には色鮮やかに花咲く花壇と、緑美しい植え込み。そして噴水から聞こえくる水の音…。

学舎の棟とは離れた場所にあり、静寂の中に聞こえてくる自然の音や野鳥のさえずりはとても心地よくて…麗良にとってこの場所での読書は癒しでもあった。


それともう一つは椅子である、ここの椅子にだけ肘掛け(アームレスト)があるのだ。長時間椅子に座る際…これが有るのと無いのでは大違いなので、麗良は好んでこの場所を使っており、利用者の少ないこの図書館では指定席になっていたのだが……


そんな麗良の指定席を見下ろせる場所である二階席から、静かに麗良を見ている人物が居た。しかしそんな事に気付くはずもない麗良は、背伸びをして本を棚に戻し司書に軽く挨拶をして…図書館を後にしたのだった。


麗良は次の休日を楽しみに毎日図書館に通い、不思議な魔法の本や、隣国ラファールの言葉や文化についての本などを読んでいた。

いよいよ明日に街歩きリベンジを控えていたその日も、麗良はやっぱり図書館を訪れたのだが、今日はいつもの指定席に先客がいたのである。


『おや…』と思った麗良だが、そもそも自由席なので…そこまで気にも留めず別の席に荷物を置こうとした時、その先客から声が掛かった。


「すみませんご令嬢、今すぐ移動するのでここへ…」


(?…)

「いえ、後から来たのはわたくしですので、譲っていただかなくても結構です。どうぞそのままに」


「いや…ここは貴女の指定席だから、貴女が…」


「いえいえ、その様な事ございませんので…」


麗良とその先客の男子生徒と、互いにどうぞどうぞと譲り合っていると…普段仕事らしい仕事もしていない司書が咳払いをして注意してきた。


二人は顔を見合わせ、少しバツの悪そうな顔をして静かに笑い合った。そして麗良が同席の許可を得て同じ席へと着き、邪魔ではないだろうかと相手に問うと、


「毎日この場所で楽しそうに本を読み、幸せそうに外を眺める貴女がずっと気になっていたんです…。あそこから」


そう言って彼は二階席のある方を指差す。麗良は「あぁ」と思い当たった、本を探したりする際どの席に利用者がいるな…ぐらいの把握はしていたし、彼も麗良と同じでいつも同じ場所に座っていた為、認識はしていた。しかしその程度である…が、彼はそれだけではなかったらしい…。


「私は暗く静かな場所で本を読むのが好きなんです…薄暗いライトの灯りに照らされ、文字が浮かび上がる様な感覚が…ってそうではなくて、そんな二階席とこの場所は真逆で…本棚からは離れていて、眩しいほど光が入ってきてる。そして外の音も届く様な場所なのに、どうしてあんなに楽しそうなんだろうと…その、気になってしまって…」


「まぁ!そうでしたの?…それで座られてみてのご感想は?如何でした?」


「この場所も、とても素敵な空間なのだと。特にこのアームレスト!座ってみるまで知りませんでしたが、しかしこれは図書館の椅子には必須なのではと思ってしまうほど快適ですね!」


「わたくしもそう思ってました、何故この席だけなのだろうと…。それとここの椅子には秘密がもう一つあるんですよ!お気付きになりまして?

それは……椅子のサイズが小さいんです、なのでホールド感があって疲れ難いのです。フフフ、長時間椅子に座るわたくし達にとっては大きな違いですわよね?」


互いに共通する話題で、初対面であるにも関わらず笑顔で会話していると「ンォッホン!オッホン、オッホン」と、先程よりも随分とあからさまな咳払いで仕事をしない司書がこちらを見ている。


「申し訳ございません、わたくしのせいで…。わたくし今日は帰りますので、どうぞこちらでこの席をご堪能くださいませ。疲れた時は外を眺めて目を休められるといいですわ、ここから窓の外を見ると…まるで、切り取られた一枚の絵画の様に楽しめますから…。いけないっ、わたくしったらまたつい…それでは失礼しますね」


そう言って帰ろうとした麗良に、自分も帰ると荷物をまとめて席を立ち、ニコニコの笑顔で付いてくる…。

本人が帰ると言うのを止める理由も無いので、一緒に図書館を出る事にした。


オッホン司書に一応・・謝罪し、それから書架の分類の不規則さについて尋ねてみた。すると…生徒達が勝手に移動させたり、司書の自分も把握出来ずにいると理由をあげたので、分類記号、所在記号などの図書記号で本の情報を背表紙に貼り付け細分化したり、主題やジャンルで色分けしたりと、図書ラベルを用いてみてはどうかと提案してみた。


ガタンッと音を立てて立ち上がった司書は、カウンターに乗り上げる勢いで


「ごっ!ご令嬢っ!今のお話もっと詳しくっ!」と、

グイッと麗良に顔を近付けてきた。


(お…ぉおうっ)と少し後ずさった麗良を、サッと自分の背後うしろに隠して男子生徒はこう言った。


「図書館ではお静かに願いますよ司書殿、我々も先程その事で注意を受けて退館するのですから…。

それではまた来週、お互い良い週末を過ごしましょう」


男子生徒の、その有無をも言わせぬ笑顔の圧に、オッホン司書は何も言えず、同じく麗良も大人しく図書館を後にしたのだった…。




前書きの新キャラは……オッホン司書……?

  ではありませんのであしからず( ˙꒳˙ )ノ

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