過去編 小学生
薫視点
これは私たちが小学生だった時まで遡る。
私は隣のクラスを見た。
目線の先にはお隣の家の幼馴染が立っていた。
名前は坂本神人だ。
彼の席は窓側で神人くんは外を見ていた。
クラスを見て見渡すと神人くんに近付こうとする子がいない。理由は何となく分かる。神人くんには大人びた雰囲気がありクラスで浮いているから。
私は神人くんに声をかける。
「神人くん」
私が声をかけると神人くんが後ろを振り向いた。
「何?」
神人くんが優しい声で答える。
「話をしよう」
「いいよ」
「私も入れて欲しいです」
この子は神人の妹であり、私のもう一人の幼馴染の未尋だ。敬語使うのは神人の母親の影響だ。
「勿論いいよ」
私たちは三人で色々話した。
「昼休みはもうそろそろ終わるから。私、教室に戻るね」
「私も戻ります」
私と未尋は教室に戻った。
下校
私達は帰り道も話したり、追いかけっこした。そして家に着いた。
「今日、遊ぼう」
私が言いました。
「私はいいですけど」
「ごめん。僕は無理」
「分かったよ。また明日」
私は神人くんにさよならの挨拶を言った。私は帰ってすぐ未尋と会った。
私は何故神人くんが遊べないか、知っている。坂本家はかなりの大金持ちで神人君は努力をする事によってどんどん色んな事をすぐに自分の物に出来る天才肌。なので神人の父親は家庭教師、色んな習い事を神人くんにやらせている。いわゆる英才教育だ。神人の父親は未尋に無関心らしい。神人の母親が神人は普通の学校に通わせたいと言わなければ私は神人くんと話す機会はなかっただろう。
「未尋はお父さんの事恨んでないの?」
「なんでそう思うんですか?」
「だって未尋に無関心なんでしょ」
「それは私がお兄ちゃんより才能がないので」
「そんな事ないよ。テストいつも90点以上じゃない」
「お兄ちゃんは100点です」
「才能は関係ないよ」
「本当に恨んでるわけじゃないです。お兄ちゃんは優しいし、お母さんも気遣ってくれるし、私はたまたまそんな環境に生まれただけです」
「そんなの………」
私はこれ以上言えなくなった。未尋の苦労を知らないから言える立場じゃないから。
「それよりも薫は大丈夫ですか?」
「何が?」
「虐められてますよね?」
未尋が真面目な顔で言った。
「そんな事ないよ」
私は否定した。
「私、見たんです。男の子数人に悪口など言われている所を見たんです」
「えっ…………見たの?」
私は確かに虐めれてた。それを未尋に見られてたなんて………。
「原因はお兄ちゃんといることですか?」
「たぶん」
私は観念した。今の私が何言っても嘘だってバレてしまうと思うから。未尋は勘がいいから。
「なんでお兄ちゃんを良く思わないですかね」
「そうだね」
私は軽く笑う。
「あの男子たちに悪口やめろって言ってあげようか?」
「それはやめて。未尋も虐められるようになるかも知れないから」
「……………分かりました」
未尋はあっさり身を引いた。あの未尋が身を引くなんて……珍しい。
「薫。また明日」
「また明日ね」
私たちは別れて家に帰った。
なんで未尋は簡単にいじめの件から身を引いたんだろう?
私はその疑問を抱えながら寝た。
次の日
私はいつも道理、神人と未尋と学校に行った。いつも道理授業を受けた。あんな事件は起こるはずはなかった。私たちはいつも道理に帰った。すると…………
「薫ちゃん」
私は聞き覚えがある声の子に話しかけられた。その子は今私を虐めている子だ。私は恐怖に絡められたが後ろを振り向いた。
「な、何?」
「ちょっと話があるんだけど来てくれない?」
「うん、分かった。神人くんと未尋、先帰って」
未尋は止めようとしない。
約束を守ってくれてるんだ。
私と男の子はその場から離れた。
「待ってたよ」
そこにはいじめの主犯の子がいた。
「で、なんの用?」
私は強気で言ってみた。
「お前、あれだけ言ったのにあいつと一緒にいるらしいな」
「それは私の勝手でしょ」
「お前みたいな奴があいつと釣り合うと思うなよ」
「そんな事ない」
私は否定した。すると主犯の子が………
「現実を認めろ」
私を突き飛ばそうとする。
私は目を閉じた。
何も起こってない。
「なんでお前がいるんだよ」
「お前たちが僕の友達をいじめてるからだろ」
「なんだと」
私は目を開けた。
そこにはさっき別れたばかりの神人君がいた。私は彼に………助けに来てくれた彼に見惚れてしまった。
「お前さ。いくら薫が可愛いからって虐めるなよ」
「なんだと」
私は初めて薫って呼んでくれたのと可愛いって言われて顔を紅くする。
「薫が好きでどう接すればいいか分からなくて一番、近くにいる僕嫉妬して薫を引き離そうとしたんだろ」
「…………っ」
いじめ子が動揺した。
「そうだよ」
「みんなもそうだよね」
いじめ子達が頷いた。
「でもね、やりすぎだよ」
神人くんが真面目な声で優しい神人くんが私の為に怒ってくれて…………なんでこんなに嬉しんだろう。
「もう薫とは関わらないで。これ以上薫を悲しませないで」
神人くんは私の方に来た。
「帰ろう」
呆然としてた私に声をかけてくれた。未尋が引き下がった理由が分かった。神人くんが助けてくれると信じていたからだ。帰ろうの返事はもちろん。
「うん」
私たちは帰ろうとするといきなり。
「くっそ」
いじめ子の一人が走って神人くんにぶつかった。神人君が道路に出た。その時ちょうど車が来て………
ドーーン
神人くんが車に引かれた。
その時、私は何が起こったか理解が出来なかった。
目を覚ますと病院だった。僕はそれで何があったのか察した。
横には手を握りながら寝ている薫と未尋がいた。
「神人くん?」
僕が起き上がった事で起こしてしまったみたいだ。
「神人くん、無事でよかった」
「未尋、神人くんが目を覚めたよ」
薫が未尋を起こす。
「お兄ちゃん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ」
「よかった」
未尋がハグをしてきた。
僕は頭を怪我して包帯が巻かれて足を骨折してるらしい。
「神人」
「母さんも来てくれたの?」
「勿論じゃない。あの人は来ないけど」
「そっか」
父さんは見舞いに来ないみたいだ。
「ねぇ、神人くんごめんなさい」
「何を謝っているの?」
僕は分からなかった。
「神人くん、私のせいで怪我を負った」
「そんな事ないよ」
「いや、わた………しのせい………こんな事に……なったもん」
薫が泣きながら言葉を紡ぐ。
「そんな事ない。僕は薫のせいだと思ってない」
「そうです。薫、守ってくれたお兄ちゃんに失礼です」
「でも」
「でもじゃないです。この話は終わりです」
「わ、分かった」
「神人くん、ありがとう」
薫は何とも言えない顔になった。薫は自分のせいで僕が怪我をしたと思い込んでいる。薫は納得してないだろうな。
それよりも…
「母さん。僕を突き飛ばした子は?」
「殺人未遂の罪で少年院送りなったわ」
「そっか」
あの子は間違いを犯した。それは許される事じゃないけど薫が好きなのは本気だと思う。
でも薫を悲しめたあの子は俺は一緒許さないだろう。
「退院はいつ出来るの?」
「2週間で退院。全治2ヶ月かかるわ」
「そっか」
俺は寝転がる。
「母さん。仕事あるでしょ。帰っていいよ」
「分かったわ」
「仕事頑張って」
母さんが病室からでる。
「二人も帰っていいよ。外暗くなっちゃうよ」
「分かりました」
「帰るね」
僕は二人を見送った。
二人はいつも見舞いに来てくれる。薫のお母さんは僕に凄く謝っていた。僕も薫を助けられてよかったですと伝えたらありがとうって言われた。嬉しかった。
2週間後退院して怪我も治ってこの事件は幕を閉じた。
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