神山 その6
「グはっ」
俺は意識を取り戻し、油断しきっているネクサスを殴った。
「まだ終わってないぞ」
「お前は死んだはずじゃ……」
さすがにネクサスも驚きを隠せない。
「まだ死んでない。続きしようぜ」
「ふふ、また痛ぶってやろう」
「悪いけどさっきのようにいかないよ」
俺は余裕の笑みで挑発した。
「そうかい、ならば見せてもらおう」
俺たちは構えた。
「ねぇ、マナ。力ってどんな力?」
『それは神化だと思います』
「どう使うの?」
『魔力を開放するように使ってください』
「分かった。ありがとう」
俺は魔力を全身に巡らせ魔力を開放した。
《能力 神化》
そして気づいたら神々しいオーラを纒っていた。
「お前まさかそれ、神化?」
「そうだよ」
焦ったようにネクサスが言って来たのに対して俺は平然と答えた。
「まさかありえない。カルナが人間に神の資格をあげるなんて」
「実際あげているんだから。現実を見ろ」
俺はネクサスの言葉に少し本音を言った。
「それでも僕には勝つよ」
「その言葉そのままそっくり返すよ」
俺達は構え直して‥‥‥‥‥‥。
「こっちから行くよ」
俺は猛スピードでネクサスの前に現れた。
ドカーン
俺のパンチをネクサスが受け止めた。
「速いね」
と、ネクサスが感想を漏らした。
「それを反応出来るなんてな」
「僕は一応神だよ。邪神だけど」
「もういい。俺はお前に凄く怒っている。だからすぐ終わらす」
俺はサラミチを出してサラミチに魔力を込めて神速と身体強化を使った。
《能力 神速》《能力 身体強化》
俺は高速でネクサスに攻撃しまくる。
それに対してネクサスは……………
「自動回復が間に合わない」
「まだまだ」
と、言って攻撃を止めない。
《神流 気合波》
ネクサスが気合波を打って俺の動きを一瞬だけ止めた。
「危なかったよ」
ネクサスが俺の攻撃から免れて安堵する。
「それはどうかな」
俺は特大の魔法を打った。
《固有魔法 雷神龍》
《闇魔法 闇神弾》
次はネクサスとの魔法を打ち合いになった。
「流石に簡単には殺られてくれないね」
「僕は死ぬ訳にはいかないんだ」
「か、み、と?」
俺とネクサスの死闘の中、後ろから倒れてたはずのメアの声がした。
「今、助けるね」
状況を理解したメアが俺を援護しようと動く。
その時、ネクサスが不敵な笑みを浮かべた。
「メア、来るな!」
俺は言葉を荒らげる。
「やっぱり、君は勘が鋭いね。でも、彼女は違うようだ」
「えっ」
メアの後ろにもう1人のネクサスが現れ、メアの首にナイフをかざす。
「悪いね、僕は分身体も作れるんだ。僕にやられてくれたら彼女を解放しよう」
「卑怯なマネを!」
「卑怯じゃないよ、これも戦略だ。どうする早くしないと彼女の首が飛ぶぞ」
そう言われ、俺は魔法を打つのをやめる。
「いい子だ」
「な、にしてるの、かみ、と。メアの、ことはいいか、ら。ネクサスを殺って」
そうメアに言われるが俺はその場から動かない。
どうすればいいんだ?どうすればメアを助けて生きて帰れる?
俺は無力感に苛まれる。
『しょうがないですね、ちょっと待ってください』
マナはそう言い残す。
俺はどういう意味か分かりかねているとネクサスが目の前に立って言ってきた。
「じゃあ、僕の勝ちだね」
「そうだね」
「じゃあね〜」
ネクサスが手を首にかざす。
俺は目をつぶって死を待つ。
しかし、俺を死ななかった。
なぜなら‥‥‥‥‥‥。
「下賎な手で神人に触れるな」
そこにはすごい形相でネクサスの攻撃を止めたメアがいた。
メア視点
なんてメアは無力なのだろうか。
簡単に敵に首を捕えられてしまうし、神人の足を引っ張っている。
だから彼に言った。
「な、にしてるの、かみ、と。メアの、ことはいいか、ら。ネクサスを殺って」
でも、彼が攻撃を再開することはなかった。
それもそのはずだ。だって彼は優しんだもん。どこの馬の骨かも分からないメアをすぐに受け入れて背中を任せてくれるぐらいには信頼してくれているし、メアを仲間だと思ってくれている。いつも助けられてばっかじゃ仲間とは言えないよね。
助けたい。
支えたい。
だって好きだから。
メアは鎖から解き放ってくれた神人に一目惚れをした。
いや、本当は鎖から解き放ってくれる人なら誰でも恋をしてたかもしれない。
メアは弱いから誰かに依存しようと思ったのかもしれない。
でも、メアはそれでもいいと思う。
だって神人を愛している気持ちには偽りがないのだから。
しかし、今
愛しい人の足枷になっている。
愛しい人の隣にいる資格がない。
もっと強くなりたい。
『その願いを叶えてあげましょう』
「だ、だれ?」
いきなり脳内に語りかけられたので驚く。
『自己紹介してる暇はありません。力が欲しいのでしょ?』
「う、うん」
『ならば進化するのはどうでしょうか?』
「進化?」
『ですが進化するには条件があります。まずは竜の力を捨てて下さい』
「捨てる?そんなこと出来ない」
『あなたはその力をコントロール出来ていないので進化の邪魔になります』
「でも、この力は後世に残すと約束を‥‥‥‥‥」
『ならば神人さまに譲渡するのはどうでしょう』
「譲渡?出来るの?」
『はい、できます』
「じゃあ、お願いする」
これで神人の力になれるなら百人力。
『これで進化、出来そうですね。すぐに開始しますね』
「うん、了解」
『メア ヴァンパイアは竜の力を坂本神人に譲渡し、吸血鬼になります。そして、吸血鬼から神の推薦により、吸血神へと進化を移行します‥‥‥‥‥‥‥‥完了しました』
メアは目を大きく見開き、ナイフをかざしていた奴を跳ね飛ばして神人へ攻撃しようとするネクサスを止めた。
神人視点
「メア!」
「なんだと!小娘まで神に至ったのか!?」
ネクサスは汚く言葉を荒らげると俺たちと距離をとる。
『メア ヴァンパイアから竜の力を譲渡されました。これから龍神へと進化を開始します‥‥‥‥‥‥完了しました』
え、メアから竜の力を譲渡?龍神に進化?
何、それ?
マナ何かし‥‥‥‥‥‥。
『してません』
「したんだね、まぁ、深くは聞かないけど」
『ありがとうございます』
俺は信用できる相棒に深く聞かず、メアに視線を向けた。
「メアも神になったんだ」
「うん、神になったら神人の役にたてると思って‥‥‥」
俺はメアの頭を撫でながら言った。
「さぁ、ネクサスを相手をするぞ。二人で」
「うん」
「神になったからって図に乗るなって言ってるんだよ」
《闇魔法 闇神弾》
ネクサスは魔法を打ってきた。
しかし、俺はサラミチでいとも簡単に無効化する。
「なんだと!僕の魔法が無効化された!」
「すごいよ、神人!」
「‥‥‥‥‥‥神になったことでサラミチの能力も強化されたのかな」
「じゃあ、次は私の番ね」
《水魔法 青龍 》
大きな水の龍が形となり、ネクサスに向かっていく。
《光魔法 完全防御》
それをネクサスは防ぐ。
一瞬、隙を見せたネクサスの懐に潜り込んで斬る。
しかし、それを咄嗟に躱された。
だが、上にももう1人の伏兵が居て‥‥‥‥。
「これで終わり」
「しまっ‥‥‥‥‥」
《炎魔法 炎剣》
最後にメアがトドメをさし、ネクサスの首が吹っ飛び光に消えた。
これで戦いが終わったと俺たちは安堵する。
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