プロローグ
俺の名は坂本神人。高校一年生
俺は天才と呼ばれていた。運動神経抜群、成績優秀、それに俺は俳優もやってたこともあり、大人たちは色目で見られ、学校でも俺に近づく人はあまりいない。恐らくは俺と自分らは違う世界の住人だとか思われているからだと考える。
そんな俺でも対等な関係を築けてる人達がいる。
「お兄ちゃん、朝ですよ」
その第一声で目を見開く。
すると、そこにはおさげの女の子がいた。
そのおさげの女の子‥‥‥元い、学生服にエプロン姿した愛らしい妹に目を向ける。
「ふぁ〜もう、寝かせてくれよ。未尋」
「そんな事を言っていると遅刻しますよ。朝食、もう少しで出来るので早く下に降りてきて下さい」
「いつもありがとね」
俺は未尋に聞こえるように言った。
すると未尋が少し照れくさそうに「どういたしたして」と言って、小走りで部屋を出ていった。
その姿がかわいくて少し頬が緩む。
俺は重たい体を持ち上げて学生服に着替えた。いつも、起こしてくれる未尋には感謝の気持ちでいっぱいだ。それだけじゃない、未尋はあの人たちと違って俺を一人の人間として…………兄として見てくれた。それが出来たのは双子だったからかもしれん。そんな、当たり前な事を未尋はくれた。それに俺たちは二人暮しで家事全般は未尋がやってくれている。本当に感謝してもしきれない。
俺は着替えが終わり、下に向かって未尋と一緒に朝食を食べた。
「やはり、未尋の料理は上手いな」
「そんな事を言っても私が照れるだけですよ。さっさと食べて学校に行きましょう」
「分かってるって」
俺たちは朝食を食べて、家を出ていった。
「おーい、神人」
俺は道中、馴染みがある声がしたので振り向くと三人の男女が走って近づいてくる。
「おはよう、健、薫、優香」
「おはようございます」
俺たちは三人に挨拶をする。
「おっす」
「おはよう、神人、未尋」
「おはよー」
彼らは唯一、俺を対等な友達として見てくれている。
茶髪で少し軽そうなこいつは桐山健だ。中学からの付き合いでこいつはイケメンでかなり女の子にモテ、告白されている。全部断っているようだけど……………まぁ、健には好きな人がいるからしょうがない。
ポニーテールで凛とした雰囲気をただ寄らせるこの子は花崎薫。俺と未尋の幼なじみで良く、遊んでいた。俺の事をよく気にかけてくれている俺の大切な人だ。
もう一人のショートヘアで人懐っこい笑みを浮かべている子は柳澤優香。健とは幼なじみであり、俺たちのムードメーカーみたいな存在でもある。その明るさに何度も助けられた。
「薫、健たちと登校とは珍しいな。今日は朝練はないのか?」
「まぁね。大会も終わったし、ここのところは朝練はないから久しぶりにみんなと帰れるよ」
少し顔を赤らめ、嬉しそうにしている薫が可愛らしくて見惚れてしまった。普段は凛とした雰囲気で剣道部を引っ張って行くエースで、男女問わず告白を受けるほど綺麗な顔立ちだが、たまに見せる女の子っぽい仕草に心を奪われた人は少なくないだろう。
これぞ、ギャップ萌え。
俺たちは久しぶりに五人で学校に登校した。
‥‥‥‥‥‥‥‥放課後、俺は健たちにカラオケに誘われた。
「なぁ、神人カラオケ行かないか」
「ごめん。今日仕事があるんだ」
健にカラオケに誘われたが今日は明日、明後日が土日という事で泊まり込みの仕事が入っている。
「分かった。俺ら四人でいくわ」
「悪い」
「別に謝らなくていいぞ」
そう言って健が教室を出た。もうそろそろ迎えの車が学校前に来るから俺も教室を出ようとした。
その時、光に包まれた。
「こんにちは。神人君」
とびっきりの白金の美少女が目の前にいた。
俺は思わず声をかけてしまう。
「えっと、あなたは誰ですか?」
「私の名は創造神カルナ。初めまして」
「は、初めてまして?」
「固くならならなくていいよ」
「分かりました」
俺は冷静を装い、今の状況を分析する。
さっきまで教室に居たはずだ。もしかして夢かと思い、頬を引っ張る。
地味に痛い。
その事からこれは夢って可能性は低いと考える。
「唐突だけど君に頼みがあるの」
「頼み?」
「そう。異世界に行って魔王を助けてほしい」
「えっなんで魔王。魔王って極悪非道で有名な魔王?」
「極悪非道なのは小説の話でしょ?」
「多分、そうだけど」
なぜこの神は魔王を助けようとしているだろうか?
魔王を何から助ければならないのか?
なんで俺なのか?
色々な疑問が頭の中にうずまく。
「10世期前、追放された神がいた。その名はロイド。ロイドは親のせいで危険視されて追放されたんだ。今はそのロイドが魔王になっている。後は自分の目でどんなやつか見てから助けるかどうか判断して欲しい」
「その言い回しだと助けなくてもいいってこと‥‥‥‥‥ですか?」
「助けて欲しいけど無理にとは言わない」
「半ば異世界に強制送還しようとしているやつに無理にとは言わないって言われてもなんも感じなんですけど‥‥‥‥‥‥。
それよりも俺の扱いって元いた世界ではどうなっているんですか?」
「君のいなかったことになっているよ」
「一応聞いとくが俺は元の世界に戻れるの‥‥‥ですか?」
俺がそう聞くと罰が悪そうな顔を神様がした。
「それは無理かな」
「…………………なぜ俺なんですか?」
「君はあまりあの世界を興味がないだろ」
「でも、あっちの世界には大切な人がいました」
俺は勝手な物言いをする神様を睨んでため息を吐く。
すると、神様は恐る恐る言った。
「しょうがないでしょ?異世界の負荷に耐えられる精神力の持ち主は人間は君を合わせて5人しかいなかったんだから」
「負荷とはなんですか?」
「‥‥‥異世界に渡る際、能力が貰えるんだ。異世界に順応出来るように。しかし、能力を貰う際、精神的苦痛を伴う。普通の人間じゃ精神を病んでしまうだろうが君は精神力が強いし、異世界にすぐに馴染めそうだから選んだの」
「なんか都合が良いように言われてる気がします」
と、呆れ混じりに言った。
これ以上、駄々をこねても元の世界に戻れなそうなので俺は仕方なく彼女の要望を飲む。
「分かった。異世界に行きます」
「ありがとう」
彼女は微笑んだ。
「もうそろそろ時間だね」
「時間?」
「じゃあね。また、会いたい時、会いに来ていいから」
「あと、神人君。異世界にはステータスをあるから着いたら見てみてね」
「分かりました。また、会いましょう」
「大変だと思うけど頑張ってね」
俺は彼女に手をふり、意識が遠のく。気分が悪い。
これが精神的苦痛なのか?
そういえば健たちにお別れを言えなかったな。
もう一度、会いたいな。
意識は完全に途切ぎれる。
俺は、魔王に召喚された。
皆様、初めまして神港零と申します。
突然ですが皆様にお願いがあります。
少しでも
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「続きが気になる」
「早く更新して欲しい」
と、そう思ってくれましたら
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