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43 大賢者を求めて

 ♢♦♢


~スコッチ村・酒場~


「ぷはッー! やっぱ美味ぇなここの酒は!」

「相変わらずいい飲みっぷりだなディオルド君」


 ……という訳で、Sランクを目指すと勢いよく啖呵を切ったディオルドだが、結局肝心なドラゴンの情報や手掛かりが何も無かったので話が進まず、気が付けば何故かスコッチ村の酒場で1杯ひっかけている現状だ。


「──で? 結局どうするケロ?」

「ドラゴンばかりは俺も分からねぇ。つうか、分かるなら他の奴らもとっくに狙ってるからな」

「そりゃごもっともだケロ」

「皆の魔感知でも探せない?」

「流石にそれも無理だな。お頭の魔力で確かに異常な範囲まで感知できる様になったが、いくらデカいドラゴンとは言えこの広すぎる異世界じゃあな。魔感知出来る範囲内ならまだしも」


 流石に3人でもそこまでは出来ないんだなぁ。意味分からないけど少し安心してしまった。とは言っても、他の人と比べれば魔感知出来る範囲は常異常だけどね。


「どうした? 何か行き詰ってるのかバレン」

「まぁちょっとケロね」


 僕達が話していると、酒場のマスターが話に入ってきた。


「いくらここの酒が美味くてもよ、流石にドラゴンが飲みに来たことはねぇだろ?」

「ハッハッハッ! 長い事酒場をやっているがドラゴンはないな」

「だよな~」


 冗談を言っていた矢先、マスターの口から思いがけない言葉が出てきた。


「流石にドラゴンが来た事ないが、“ドラゴンの居場所を知っている”と言われている人がいるらしいっていう事は知ってるぞ」

「「――⁉」」


 少しややこしかったが、マスターの言葉に僕達は驚いた。ティファ―ナだけは1人「ん?」という表情をしているがまぁいいだろう。直ぐに分かるから。


「え、マスターどういう事ケロ⁉ ドラゴン知ってるのか?」

「いや、勿論俺は知らないけどな。前にここに飲みに来た冒険者の子達がそんな話をしていたぞ。何でも、ドラゴンの居場所どころか“万物を知る”と言われる大賢者がいるらしい」


 話を聞いた僕達は目を合わせて固まった。まさかの事態に状況を上手く飲みこめないのだ。だが、今まさにマスターから新たな手掛かりを聞いたのは確か。ティファ―ナは勿論、僕とバレンも初めて聞いた話だが、ディオルドだけが何か心当たりがある様な表情をしていた。


「万物を知る大賢者……そういえば前に、俺も噂で聞いたことがあるな」

「その人ならドラゴンの居場所も知っているって事かゲロ?」

「可能性はあるだろうよ」


 思いがけない形で手掛かりを見つけてしまった。勿論、そんな人が存在するのかも何処にいるのかも分からないが、今の僕達には他に選択肢があまり無い。取り敢えずドラゴンを探しつつ、その大賢者と呼ばれる人を探すのも悪くないと思う。


「探してみようよその人」

「決まりだな。人探しも退屈だが、暇を持て余すよか100倍マシだ」

「凄いね! 何でも知ってるなら“ジルの魔力”の事も知っているかも」


 マスターの次はティファ―ナの言葉に驚いた。気が付いたらまた僕達はハッと顔を合わせていたよ。何でそこに気が付かなかったのだろう。何よりも1番気になっていた事なのに、ドラゴンの事で頭が一杯なっていた。


「肝心な事を忘れていたよ僕は。ティファ―ナの言う通りかもしれない」

「予想だにしなかった所でとんでもない情報手に入れたなお頭! こりゃ上手くいけばドラゴンとお頭の魔力同時に問題解決だぜ」

「本当にいるのケロか?そんな人が。しかも何処にいるのか分からなくちゃドラゴンと同じだケロ」

「大賢者の話をしていた子達によると、ここから西に行った“メイリーン山”の頂上に住んでいるらしい。標高が高い事で有名なあの山さ。標高が8,000mを超えている上に、危険度の高いモンスターも生息しているってんだから恐ろしいよな。しかも誰も登頂した者がいないと言われる未踏峰らしいぞ。

何でまたそんな辺境にいるのか分からんが、ここは冒険者がよく集まる酒場。その話は何度かここで聞いた事がある。まぁ実際にその大賢者に会ったと言う話は聞いたことないけどな。ハッハッハッ!」


 行きたくない。


 僕は率直にそう思った。

 だってそんなの可笑しいよ絶対。何で誰も登った事ない未踏峰にいるのさ。しかも住んでるって? そんな所に? 絶対可笑しいよ。本当にいたとしてもヤバい人だよ絶対。


「よっしゃ。早速行ってみようぜ」

「しゅっぱーつ!」


 先ずアホ2人確定。

 こんな話をしたら当然行くと言い出すに決まっていた。僕もそんな大賢者がいるなら会ってみたい。そうだよ。つ数秒前に僕も言ったさ。まるで遠足気分で探してみようってね。でもまさかそんな辺境にいるとは思わないじゃん。嫌だよ。危ないし怖いもんだって。まぁある意味恐ろしい力を持った3人が僕の直ぐ近くにいるけどさ、それはまた全然話が違う。


 メイリーン山の頂上なんて、僕なんかじゃとても到達出来ない。というか行きたくない。


「ちょっと待った。まさかメイリーン山を登る気じゃないよね?」

「え? でもその人って山のてっぺんにいるんでしょ? だったら登らなきゃ」

「何言ってるんだよお頭。……そうか、いつものビビりか。よし。じゃあ問題無しだな。早く向かおうぜ。自分でも探そうって言ってたしよ」

「ちょっと待ったッ!!」

「何だよ……」

 

 確かに言った。言いましたよディオルドさん。今回は悔しい事に、君が言う事が全て正しいです。はい。

 でも僕じゃ間違いなく登頂前に命を落とすでしょう。調子が良ければ標高3,000mにも満たない地点でね。


「僕では登り切るのは不可能だ。何か他の手を考えよう!」

「リーダーっぽく意見を申したのはいいけどよ、内容がマジで情けないぞ」

「分かってる。それでも僕には無理だ」

「だったらお頭待ってろよ。俺らで行ってくるから」

「それもダメ! 僕も自分のこの力について知りたい。だから今回は皆に任せっぱなしじゃなくて、僕が自分で行かないと意味がないんだ」

「面倒くせぇな~お頭」


 そう。例え面倒くさくて情けなくても、今回は僕も自分で動かないと!

 僕の命を救って、僕の人生を大きく変えたこの不思議な力の事を、僕は絶対に知りたい。いや、ちゃんと知らなきゃダメな様な気がするんだ。


 僕が格好良く(内容はめちゃくちゃ情けない)啖呵を切っていると、僕にとっては神のお告げとも思える言葉が、マスターの口から降ってきた。


「――登らなくてもいい方法が1つだけあるかも知れないぞ」


お読みいただき有り難うございます。

もし宜しければ☆評価やフォロー等頂けると嬉しいです!

宜しくお願い致します!


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