~BEFORE 姫と魔王~
「こんな夜に、何のご用ですか、アマドリ様。」
「そう畏まらないで、グラン。今日はただ、遊びに来ただけだ。」
「遊びに、とおっしゃいますと?」
「あぁ、見ての通り、ドールたちも連れてきていない。」
「……いつでも出せるというのに、よく言いますね。」
「ははっ、冷たいねぇ。あっ、そうそう、隣国の……あれ、名前なんだったっけ?」
「隣国とおっしゃいますと、エリハイアでございますか。」
「あーそうそう、そこそこ。そこの姫様も呼び出したんだ、もうすぐここにつくだろう。」
「なっ!?何を勝手なことを……!まぁいい。おい、迎えに行ってーー」
「しなくていいから、迎えは。」
「いくら貴方様がそうおっしゃっても、国賓ですので。」
「それはいいって言っているんだよ?」
「……アマドリ様、もしかして……?」
「その通りだよ!遊びとは、コレ、のことだよ!!」
「皆のもの、かかれ!そして早く避難勧告を出すのです!」
「出してもいいけど、それより……自分の身の心配をしなよ!」
「クソ!早く、何をボーとしているんだ!そして、何よりも直ちに魔王を……ラルフ様を連れて逃げなさい!!」
「おや?声が、届いていないようですね~?ほら、兵士たちがキョトンとしているんだろ~?」
「アマドリ様……これは、一体……!?」
「まーだ教えないよーだ!さぁ、二人だけのパーティーを、始めようぜ。」
「くっ……!」
「さぁ、早く来なさいよな、我が愛らしいドールよ……くくくく……うぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」
(終わり)