最終話
そして年が明けて学校が始まっていた。
「おはよ玄ちゃん!」
「おはよう、なんだよニヤニヤして?」
「だってこうして玄ちゃんとまた一緒に投稿してるんだよ? ちょっと前までもう無理かもって思ってたから」
まぁ確かにそうかもな。 ていうかもし美子が速水達にも言ってたら結構な騒ぎになっていたかもしれない。
「でもそれは美子がお父さんに言ってくれたお陰だしな、じゃなかったら今頃それどころじゃなかったかも」
「…… そうなったらイヤ?」
「え?」
今となってはイヤだって思う、けどなんかそう言って欲しそうなウズウズしている美子を見ているとイヤだと言うのが恥ずかしくなってくるけど……
「イヤ…… かな」
「!! そっか、そっかそっかぁ!」
ほらなぁ〜! やっぱすげぇ恥ずかしいじゃん……
「でも私が引っ越しちゃうってなったら玄ちゃんどうしてた?」
「どうって…… うーん」
「や、やっぱり遠くの女より近くの女が!?」
「そんなんじゃないけどってそれはもう解決したからいいだろ」
「そだね! ねぇねぇ、そういえば今日部活に呼ばれてるんだけど玄ちゃんも?」
「ん? あー、そうだった。 なんだろう? 説明くらいしてほしいよな」
あれから大した活動…… というよりもとから大した活動もしてないが今日はミスコン部に呼ばれていたのだ。
「もしかしてお祝いにお菓子パーティでもやるのかな?」
「なんのお祝いだよ? お祝いなら文化祭終わってすぐにやっただろ」
「あ、そうだったね」
「察するに引き継ぎとかじゃねぇの? 出雲先輩達も今年卒業だし」
「そっかぁ、寂しくなるねぇ。 あんまり部活活動とかなかったけどさ、先輩達優しかったし」
圧倒的美人な出雲先輩が居なくなるのか。 それにしても出雲先輩がもしミスコンに参加してたら美子や速水もグランプリ取れたか怪しかったな。
あれ、グランプリ取った美子と速水って今年と来年はミスコンに参加しないんだよな。 出雲先輩みたいに進行役やるのかな?
「何?」
「いや、美子ってミスコンにもう参加しないんだろ?」
「あ、うん。 もうあれ心臓に悪すぎて」
心臓に悪すぎる以前にお前ミスコン部の部員だろ? けど出ることないんだけどな。
「てかお前と速水司会進行だろ?」
「お前に出来んのか? って言いたげな視線を感じるような。 心配御無用! 私そういうのやってみたかったんだぁ」
「それの何が心配御無用なんだ? 速水が居れば大丈夫だろうけど」
「な、なんでそこで琴音に!? 玄ちゃん!!」
美子が頬を膨らませて俺の服をグイグイと引っ張る、これは妬きもちだろうか?
「私だってちゃんと出来るもん! アンテンションプリーズ! 本日はお日柄もよろしく……」
「なんだよそれ? いろいろごっちゃになってないか、やっぱ……」
「あー! 今のは声を出す練習!」
そうして学校に着いて席に鞄を置くと美子はすぐにこちらに向かって来た。 と思ったら遥に抱き付く。
「ん〜ッ! 遥ちゃん!」
「わわッ、美子ちゃんくるひぃ……」
「お前ら相変わらずカップルみたいにイチャつくなぁ、どっちか俺に抱き付いて来てもいいんだぜ?」
「何言ってんだお前」
そんな2人に英二がつっこむのも見慣れた光景だ。 そんな時速水が廊下からうちのクラスを見ているのに気付いた。
「美子、速水が来てるぞ」
「え? ほんとだ、手招きしてる。 玄ちゃん行こう」
「いやどう見てもお前呼んでるだろ行ってこいよ」
「うーん…… わかった、ちょっと行ってくる!」
そう言って美子は速水のところへ行くと遥が俺に話しかけてきた。
「美子ちゃん最近元気になったね」
「え? 元気ないように見えたか?」
「あ、ううん。 ちょっと前まで少し落ち込んでたように見えたから」
あれ? それって引っ越し云々の時のことじゃないか? 速水達でさえ気付かなかったのに遥が気付くとは……
「遥って美子のことよく見てるんだな」
「え!? べ、別にそんなことないよ?」
「あーごめん、変な意味じゃなくてさ、よくわかったなって意味で。 確かにちょっと落ち込んでたんだけどもう大丈夫みたいだし」
「そっか。 なら良かった、玄君との間見てると少し複雑な時もあるけど美子ちゃんが元気で玄君が幸せそうにしてるのが1番だからね」
「遥…… ええと」
「いやぁー、宮野も成長したなぁ。 俺も居るのに堂々とそんな事が言えるようになるなんて」
「え? あッ!」
遥は急に我に帰ってきゅうっと縮こまった。
「あ、玄ちゃん、遥ちゃんどしたの?」
戻って来た美子が遥の様子を見て聞いてきた。
「美子こそ話は済んだのか?」
「うん! 琴音ったら私が今日ミスコン部に呼ばれてるの忘れてないかって確認しに来たんだよー、忘れてないのに」
「ああ、大変だな速水も」
「玄ちゃんまで酷いよぉ〜」
「あはは、ごめんな」
いろいろあったけど美子とのこの学校生活はしばらく平和に過ごせそうだ。 また何かあったって美子のこの明るさとそれを支えてくれる遥や速水達と居ればきっとこの先だって楽しくやっていけるんだろうな。
「玄ちゃん」
「ん?」
「ううん、見てただけ〜!」
「なんだよそれ」
「玄ちゃんの家にまた遊びに行きたいなって。 今日とか!」
「いつもいきなりだよな美子って。 でもいいよ」
「やったぁ!」
fin
ここまで読んでくださりありがとうございます。 また新しい小説を書いたら読んでやって下さいm(__)m




