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92/95

その92


「お前って普段からこんな早起きなのか?」

「早起きって…… もう朝の6時だよ? むしろ遅いくらい」



マジかよ、休みの日にこんなに早く起きるなんて…… 寝よ。



「あー! ダメダメ、遅刻しちゃうよ?」

「遅刻? 何にだ?」

「へ? あ、冬休みだった」



だぁーーッ! 実はこいつ寝呆けてんじゃないのか? そう思って美子を見るとニヤニヤしている。



「なんだよ?」

「えへへ、玄ちゃんの寝呆けてる」

「お前がだろ」

「メリークリスマス!!」

「うわッ、耳元で叫ぶなよ」

「メリークリスマス!!」

「いやだからなんだよ?」



俺がそう言うと美子は少し頬を膨らませて怒ったような顔になる。



「メ、メリークリスマス……?」

「うん!」



なんだ、そう返されたかっただけか。 じゃあ満足したかなと思って再び横になろうとすると肩に手を回されて阻止された。 ち、近い……



「寝ちゃダメ」

「ていうか近いんだけど……」

「わッ!」



短くなった美子の髪が俺の顔を覆うくらいまで接近していたのに気付いたのか美子は顔を離した。



「ち、近くても別にいいんだった!」

「いや心臓に悪い」



てか目も覚めてしまった。



「姉貴は?」

「まだ寝てるよ」

「だろうな、それでこんな早くに起きて何するんだ?」

「んーとね、いつもはそう! お弁当作ったり髪の毛直したり、ナオちゃんの相手したり」

「直也も早起きなのか、流石子供」

「もう子供扱いしないでだって。 だってナオちゃん朝早くに起きてアニメ観てるんだよー」

「めちゃくちゃお子様じゃねぇか」



美子はどうやら張り切っているらしく母さんが起きるとキッチンへ下がって行き一緒に朝ご飯を作っていた。



「へぇー、美子ちゃん料理が出来るのか。 うちのカヤはさっぱり作らんからなぁ」

「ははは……」

「ちょっと私を引き合いに出さないでくれるー?」



にしては美子の顔色は冴えない。 何かやらかしたな?



「なんかそれにしては魚焦げてない?」

「それ私です…… ごめんなさい」

「ああ……」

「かくなる上は私がまとめて処分します!」

「ちょッ! 全部食べる気!? 流石にそんなに食べれないでしょ?」

「が、頑張ります!」



それが頑張らなくても余裕で食べられちゃうんだよなぁ。



朝食を食べ終えて父さんは仕事へ母さんは俺に留守番を頼んで早朝スーパーへ行ってしまった。 姉貴も彼氏の家に行ってくると言って美子と2人きりになってしまう。



「なんかみんな出て行っちゃったね」

「そぉいやお前帰らなくていいのか? 心配してんじゃね、美子の父さん」

「知らない! …… でも流石に午後には帰るけど」



あれ? 美子にしては厳しめの反応、明らかに怒っているような気が……



「まさかこんな事になるなんてな」

「うん、引っ越しとか聞いてないよ」

「え?」

「あ!!」



美子が口を抑えてしまったという顔をするが時既に遅し。 カマをかけて言ってみたけど引っ越し?? え? 嘘だろ……



「「…………」」

「あの…… 美子?」

「ううッ…… グスッ」



泣き出してしまった、この様子だとマジっぽい。 美子だから上手く隠す事も出来なさそうだからマジなんだろうけど。



「いつ…… なんだ?」

「ひぐッ…… 年が明けて学校始まったらすぐに……」

「なんだよそれ……」

「ご、ごめんッ、私行きたくなくて嫌だって何度も言ったんだけど」



嫌だって美子が言ってもそうはいかないだろうな。 



美子が来年には居なくなる…… せっかく付き合う事になったのに? これからだって思ったのに? あの時電話で美子が声を荒げてたのもこの事で?



「私ずっとここに居たい、みんなと一緒に居たい、玄ちゃんと離れたくないよぉ……」



俺も今更美子と離れるなんてごめんだけどそれって俺や美子がどうこうできる問題でもなさそうだ。



「………… ええと…… せっかくのクリスマスなのにごめん」

「速水達には言ったのか?」

「玄ちゃんにも言えなかったのに言えるわけないよ、とりあえずクリスマス終わったらって思ったけど新年にこんな話もしたくないからお祝いしてからって」



それってどんどん言い難くなって直前で言うパターン……



「あのさ……」

「私なんとかする!」



泣き止んだ美子が立ち上がり力強く拳を握って言った。 なんとかするってなんとかなるのかそれ?



「どうするつもりだよ?」

「お父さんお母さんに行きたくないって抗議する!!」

「いや今までしてたんだろ?」

「してたけど……」



だったらダメなような……




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