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89/95

その89


今日から冬休みになった、そして美子は俺の家に遊びに来ている。



「いやぁー、玄が彼女として家にご招待するとはお姉ちゃんなんか感慨深いわ」



別に美子がアポなしで俺の家に来ただけなんだけどな。



「玄ちゃんのお姉さんお久しぶりです」

「堅苦しくなくカヤでいーよ美子ちゃん」

「はい、カヤさん」

「あらあら、玄の彼女さんったらうちに来ても玄じゃ大したもてなしも出来ないでしょうに。 そういえば明日はクリスマスだからついでに泊まって行く? なんちゃって」



母さんがそう冗談まじりに言うと……



「いいんですか!?」

「は!?」



予想外に美子は食い付いた。 冗談だぞ?



「私玄ちゃんの家にお泊りしたいです!」

「あ、あらぁ〜、でも美子ちゃんのお家の人は大丈夫かしら?」



そうだよ、美子が俺の家に泊まるなんて美子の父さんが聞いたらツノが生えて怒りそうだ……



そして母さんも姉貴も美子の反応に本気なのかと戸惑っている。



「私の家なら大丈夫です! なんせ玄ちゃんですし」



いやいや、なんせ俺だからヤバそうなんだけどわかってるのだろうか? わかってるはずないよなぁ美子だし。



「いいのぉ〜? 玄ったらこう見えてむっつりスケベなのよぉー? 美子ちゃんと2人きりになったら何されるかわかんないよ?」

「姉貴何デタラメ言ってんだよ!!」

「うふふ、お年頃だもんねぇ」

「玄ちゃんは…… ハッ! 玄ちゃんは堅苦しいのでそんな事になりません」



こいつ何か言おうとして途中で誤魔化したな? 堅苦しいってなんだよ……



「ぶッ! 堅苦しいって、あははッ!」

「ま、間違った! 玄ちゃんはその優しいですし……」



家族の前でそんな事言われると恥ずかしい……



「まぁ…… まぁまぁ!! よっぽど玄の事が好きなのねぇ! なんなら美子ちゃんうちで暮らさない? 私昔からこんな可愛い妹が居たらって思ってたんだよねー!!」

「本当ですか!? は、はい、そうします!」

「おいおい美子、本気にすんなよ?」

「へ? もしかして冗談ですか?」

「美子ちゃんあからさまに落ち込み過ぎ〜。 もしかして本気だった?」

「ああ…… いえ、その」



そうに決まってんだろ……



「あははッ、でも2人が末長く付き合ってたらそうなるかもよって事だよ」

「そうですか……」

「どんだけ落ち込んでんだよお前」

「で、でも今日玄ちゃんの家にお泊りしたいです!」

「うーん、うちは構わないけどやっぱり美子ちゃんの親御さん次第ね」



すると美子はパァァッと笑顔になる。



「そこら辺は任せて下さい!」



どこから来るんだその自信? それから美子と俺は部屋に行った。



「玄ちゃんのお部屋〜!」



美子は俺のベッドにバフッと座ると枕をギュッと抱きしめた。



「お前さっきの話本気か?」

「ここで問題です!」

「なんだよ唐突に」

「いいのいいの! 玄ちゃんの好きな人は誰でしょう〜? はい!」



問題を出しといてはい! と言って手を上げた。 自分で答えを提示してないか? なので俺は考える素振りをした。



「うーん……」

「え? え!? じゃあヒント1! その人はなんとミスコンで1番になりました!」

「うーん……」

「へ? じゃ、じゃあヒント2! その人は少食です!」



おっと…… ここに来て美子とかけ離れてる人物になってきたぞ。



「あれ?? それでは最後のヒントです! その人の得意なスポーツはバレーボールです!」



いやどこの速水だよ!! そう思って考えるフリをしていると段々美子が目に涙を溜めてウルウルとしてきた。 意地悪し過ぎたかな?



「美子…… だな」

「正解!! うわーん! 答えなんか決まってるようなのに酷いよ玄ちゃん」



俺のところへ来て服を掴んでゆさゆさ揺らす。 それにしても美子の自己評価は大丈夫だろうか?



「あ、そうだ!」

「ん?」

「はい!」



美子は両腕を広げる。



「えーと?」

「正解したご褒美に抱きしめて」

「お前がご褒美もらう方なの?」

「だって玄ちゃんなかなかハグしてくれないんだもん」



してくれないって言っても俺からすればしていいの? という感じだったから……



「ねえ早く早く!」



急かされるので美子を抱きしめると顔を俺の胸にすりすりしてきた。



「あったかーい! それに玄ちゃんの匂い!」

「いい匂いなんてしないけどな」

「んーん! 好きな匂い」

「盛り上がってるとこ悪いんだけど」

「は!?」



姉貴がドアの隙間から俺達を見ていた。 どこから見てた? てかこの場面見られてただけでも死ねる。 俺はサッと離れて姉貴に何しに来たのか問い掛けると……



「流石に玄の部屋でお泊りするってのは厳しいから美子ちゃんは私とね」

「あ、はい」

「うふふ、その顔は玄の部屋でお泊まりしたかったって顔ねぇ。 でも玄が間違いすると危ないからさ」

「俺そんなケダモノか?」

「あ!! えっと私親にお泊まりの事連絡して来ますね!!」



美子は部屋を出てどこかに走って行った。 どこで電話するんだよ?


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