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その74


そして文化祭の準備が始まった頃放課後ではクラスの出し物と部活の出し物でみんなてんやわんやしていた。



うちのクラスではマーケットを開くようだ、各人売れそうでいらなくなった物などを持ってきてという事だがぶっちゃけそれってゴミじゃないのか? と思うが……



「美子は何持って来るんだ?」

「売れそうな物だよねぇ? ナオちゃんのもうやってないゲームソフトなんかが良いかなぁ? 遥ちゃんは何持って来るの?」

「私は…… 読み終わった小説とか? 玄君は?」

「俺はうーん…… 何にしよう? 姉貴の読み終わったファッション誌」

「それとっくに読み時終わってるまさにガチのゴミじゃねぇか」



英二につっこまれる。 やっぱそうだよな、俺もやってないゲームでも持って来るかなぁ。



でもうちのクラスは割と準備に手間取らない分いいのかも。



「玄ちゃん!」



そんな事を考えていると美子に笑顔で肩を叩かれた。



「なんだ?」

「今日の放課後ミスコン部に行こう」

「え?」

「今日ね、試しにドレス着てみてって言われてたの。 遥ちゃんも着るし玄ちゃんも行こうよ?」

「それって俺行っていいのか?」

「わ、私も玄君に来て欲しいなって……」

「ほら、遥ちゃんもそう言ってるんだし玄ちゃんも同じミスコン部だから何も問題ないって」



いやー、それでも基本ミスコン部って女ばっかだし。 それにドレス着たら感想聞かせてって言われそうだし普通に恥ずかしいじゃん、だってこの2人ドレス着たら普通に可愛いってもうわかるし。



「玄君?」

「ん?」



あ、遥が目線送ってる、ここは行かなきゃダメだよって感じで。 



「わかった、じゃあ行こうか」

「よーし! 決まり!」



美子はテンション高く俺と遥の前を歩いて部室の方に歩いていた。



「美子ちゃん嬉しそうだね」

「ドレス着るのが楽しみなんだろ」

「それもあると思うけど玄君に来たとこ見て欲しいからだよ」

「そうなのか?」

「わ、私も…… そうだし」

「へ?」

「や、やだ、私ったら何バカな事言ってるんだろ」

「おーい2人ともー。 ほぎゃッ!」

「「あッ!!」」



後ろを振り向いて歩いていたもんだから美子は前に居た奴とぶつかった、つーかほぎゃッ!って……



そしてぶつかった相手なのだがコケて美子をプレスしてしまった。 よりにもよって亮介のクラスのデブでオタクグループに属している太田に。 大丈夫なのか?



「ぐ、ぐるじい〜……」



太田にプレスされた美子の手が僅かにはみ出ていてジタバタしているのがわかる。



太田はむくりと体を起こすと下に潰されている美子の無防備な姿を見てポッと顔を赤らめたと思えば今度は驚愕の顔に変わる。



「ほああああッ!! な、ななな、七瀬さん!? だ、大丈夫?」

「大丈夫か美子?」

「美子ちゃん!」

「玄ちゃん遥ちゃん私は大丈夫…… あ、あれ? 太田君? 太田君こそ大丈夫?」

「はうッ!! 自分の心配より僕の心配とは。 やはり七瀬さんは天使だ」

「それよりお前早く美子から離れてやったらどうだ?」

「え?」



太田が下を再度見ると重くて若干苦しそうな顔をしている美子を見て慌てて退いた。



「あわわッ! ごめん七瀬さん」

「えへへ、気にしなくていいよ最近私も食べ過ぎでちょっと体重が…… わぁーーー! 今のなし!」



ほとんど核心に触れる事を喋っておいてもう遅いだろう……



「あれ? 宮野さんまでいる」

「あ、あはは、宮野です」



突如話を振られた遥は慌てて答えた。 意外だな、美子と遥って太田と知り合いなのか? まぁ亮介のクラスには速水達が居るから顔くらいは知ってると思うけど。



「ごめんね太田君、私前方不注意だった」



美子はぶつかった際に太田が落とした用紙や筆などを拾って太田に渡した。



「はいこれ!」

「め、滅相もない、こちらこそ潰してごめんなさい」



もじもじと太田はそれを受け取ると美子に聞いた。



「あの七瀬さん……」

「うん? なぁに?」

「風の噂で聞いたんだけど文化祭のミスコンに出るとか出ないとか」

「そうだよ! 私も出るし遥ちゃんも出るの!」

「存じております」 



風の噂とか言ってたくせにそこまで存じておるのかよ?



「やっぱり! だったら僕2人を応援するから! 友達にも言っておくね」

「え? いいの?」

「勿論! 七瀬さんと宮野さんはキモいとか臭そうとか言われてた僕に普通に接してくれて嬉しかったんだ、だからせめてものお礼に。 あ、あの…… 頑張って下さい!」



そう言うと太田はいそいそと去って行った。 つーか俺空気じゃね? まぁいいけどさ。



「太田君…… 美子ちゃんが隣のクラスに朝行った時にちょうど太田君が通り掛かっておはようって話しかけてそれから」



なるほどな、それでか。 美子からしてみればそれは普通の事で太田がどうだとかには左右されないからな。 太田にとってはそれが衝撃的な事だったんだろう。 遥は美子によくくっついていたし遥もその流れでって事だな。



「あはは、私が悪いのになんかリスペクトされちゃった」

「次からはちゃんと前見て歩けよな?」

「はーい!」



まぁ太田とその友達が美子と遥を応援したところでたかが知れているけどこいつの性格上こういうので得してるな、もともとみんなと仲良しになりたいって言ってたし。





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