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その72


夏休みが明けて2学期が始まる。 なんかクラスの男子と女子が髪を染めてる奴がチラホラ……



「久し振り玄!」

「おー、お前はいつも通りだったか。 なんか安心した」

「なんだそれ? 当たり前じゃねぇか。 ってああ……」



英二は辺りを見回して俺の言った事に納得した顔になる。



「夏休みデビューしてると思ったのか? 野球部の俺にそんな事出来るわけねぇだろ」

「だよな〜」

「まぁ俺も何もしてなかったら…… って坊主だし染め甲斐もねぇしやっぱやらねぇか。 でもまぁお前も変わってなくて良かったわ、金髪とかになってたらリアクションするの面倒だし」

「それは一理ある」



としたとこでフワッと隣から良い匂いが漂ってきたかと思えば遥だった。



「おはよう玄君」



遥はニコッと笑って挨拶した。 なんか後半は地元に居なかったから会うの久し振りに感じるな、ていうか遥ってまた可愛くなったか? 髪に緩やかなウェーブが掛かっている。



「こ、これ? ええと葎花ちゃんがやってみてって……」

「葎花ちゃん? 遥いつの間に」

「あ、夏休みに琴音ちゃんと葎花ちゃんと仲良くなってその」

「ああ、そういう事か。 似合ってるよそれ」

「………… う、嬉しい」

「あのー…… お前らがとても仲睦まじいのはわかったけど俺はスルーなの?」

「ご、ごめんなさい! 矢吹君」

「お、おう…… それにしてもこの差よ」



そんな事をしていると遥の後ろからそーッと美子が近付いてきた。 俺が気付くと美子は人差し指を口に当ててシーッと仕草をする、驚かす気だな。 だが……



「美ー子ッ!!」

「あひゃあッ!!」



その後ろからどこから来たのか木村がやって来て逆に美子を脅かした。



「美子ちゃん!?」

「あーん、サプライズ失敗…… もぉー葎花何するのー?」

「あひゃひゃ、サプライズのサプライズ、大成功だね!」



おどけた木村はめちゃくちゃ日焼けしてる…… 黒ギャルにでもなるつもりなのだろうか?



「遥ちゃん可愛いねその髪型!」

「それをご教授したのはアタシなんだけどー?」

「葎花も流石! 遥ちゃんも流石! それと琴音は?」

「なんかミスコン部の先輩に朝早々に呼ばれたそうな。 服でも出来たんじゃないの?」



ああ、そういえば速水は背が高いから特注か。 



「へぇ、どんなのが出来たのか見てみたいね遥ちゃん!」

「美子〜、あんた余裕そうにしてるけど大丈夫なの?」

「ふえ? お料理は勉強してるよ?」

「いや、内面的な事を鍛えるのは悪い事じゃないけど……」

「うん! 家事も育児も頑張ってます!」

「そういう事じゃなくて…… つーか育児ってナオちゃんの事でしょ? まったく」



相変わらずのズレ様、こっちも聴いてて不安になってくる。



そして夏休みなんてあったっけ? と思うくらい日にちが経った。 暑い…… 9月半ばまだ残暑の中。 昼休みに亮介達のクラスでお昼を食べ終わり速水と木村達も来て話していた。



「暑い…… 溶ける」

「だねぇー、琴は平気そうにしてるけどもしかして痩せ我慢?」

「ウチはもともと冷え性なの、そんなのわかってるでしょ?」

「いいよねぇ、アタシらは汗だくになってるってのに。 それにしてもこの学校エアコン付けろよって感じだよね、美子なんて溶け掛かってるし」

「おおッ! 玄今の見たか!?」

「暑苦しい、くっつくなよ」



亮介が俺の肩を揺さ振り興奮気味だ。 なんせ木村がスカートで扇いでたからパンツが見えてしまっていた。 つーか真正面に居るのに見てないわけないだろう。



「はいそこの2人むっつり確定〜!」

「いや俺はオープンだろ!」

「得意な顔して言う事でもないだろ」

「玄君……」



美子の隣に居た遥からジトッとした目で見られた。 いやこれは木村のせいだろう……



「葎花〜、扇ぐなら私を扇いで」

「うわッ! 余計に暑くなるから抱きつかないでよ。 てか夏バテしてるくせに食欲はあるよね美子は」

「そりゃ勿論! 食べなきゃ夏バテしちゃうよ」

「食べても夏バテしてるでしょーに。 美子、暑いならウチと一緒に売店にアイス買いに行かない?」

「行く行く! 玄ちゃん達も食べる? 買ってくるよ」



やっぱ何か食べるとなると活き活きし出すな、ちょうど俺も食べたいと思ってたので美子に頼むと美子と速水は売店に行った。



「ところでさ〜」

「ん?」

「由比ヶ浜に言ってなかった事があるんだけど」



そう言うと木村は亮介の事を見た。 というかお互い見つめ合ってる。 なんなんだ?



「アタシら付き合う事になったんだぁ〜! いえーい!」

「てことなんだ」

「え? はあッ!? いつの間に?」

「うふふ、いつの間にでしょ〜? ねぇ亮介」

「なあ葎花」



ビックリだ、亮介と木村が? いやでも結構仲良かったって言えば良かったけどまさか付き合うとは……



「悪いな玄、お前には言おうと思ってたんだけどお前はお前で七瀬と宮野が奪い合いしてるって聞いたからもしどっちからもフラれたらと思うとなかなか言い出せなくてさ」

「言い方! 奪い合いじゃないっての、美子も遥も焦ったいけどピュアなだけなんだから」

「どっちからもフラれるってのはフォローしないんだな……」

「二兎を追うものなんたらって言うだろ」

「そうそう、由比ヶ浜も頑張ってね!」

「あ、ああ…… 木村は亮介のどこが良かったんだ?」

「え〜? 惚気ろって言うの? まぁ強いて言えば亮介はスケベだけど面白いし……」



あ、聞くんじゃなかった。 もうぶっちゃけたからか亮介と木村は俺の前でベタベタし出したのを見て見てるこっちは余計に暑苦しくなってしまった。



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