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その7


休みの日になりする事がないので家でゲームをしながらボーッと過ごしていた。 ちょっとは勉強した方がって思うけど家に居るとなかなかやる気にならないよな。



「ねぇ玄、暇してんならちょっとそこのコンビニ行って来てぇ〜?」

「姉貴が自分で行けよ、そんなんだから最近太ったんだぞ?」

「冬に備えて脂肪を蓄えてるの」

「お前は冬眠前の熊か? つーかとっくに冬なんだけど?」

「いいから行って来てよぉー、お願い玄ちゃーん!」

「あー! ウザい、ゲームに集中してんだからひっつくなよ!」

「ねぇー? お姉ちゃん寒くて家から一歩も外に出たくないの、わかるでしょー?」

「俺も同じ気持ちなんだけど?」



とは言うものの押し切られてしまった。 はぁー、面倒だけど行くか、姉貴の御所望はおでんにお菓子類か。 おでんの具何も言われてないけど俺が適当なの選んでいいんだよな?



コンビニに着き入りお菓子のコーナーに入って行くと一瞬俺の刻が止まる。



仲良くなったからかなんなのか知らないが会ってしまった美子に。 これまではこんな形でも会う事なんてなかったのに…… あちらも同じなようで俺を見て固まっていた。



「よぉ、偶然だな」

「なんか最近よく会うね!」



まぁ美子の方は普通にこんにちはな感じだから俺もそれに合わせる、だが美子の方へ走ってくる小さな男の子が。



「姉ちゃんこれ買って!」

「いいけど無駄使いするとママに怒られるから内緒だよ?」

「やった!」

「じゃあ家に帰る前にどこかで食べてこうねぇ?」

「わかった、内緒にする!」

「あ、ナオちゃんお姉ちゃんのお友達に挨拶して」



そう言うと美子の弟は俺の方を少し警戒しながら見て美子の後ろにサッと隠れて体半分を出して言った。



七瀬ななせ 直也なおやだ、べー!」



美子の後ろに隠れながらなかなか挑戦的な自己紹介だ……



「俺は由比ヶ浜玄だ、よろしくな直也」

「はい、よろしくー。 最後のべーは余計だけどね」



隠れている弟の頭を手で下げてよく出来ましたという感じで頭を撫でた。 



「玄ちゃんは何しに?」

「何しにってただ買い物頼まれてさ、姉貴のパシリ」

「そうだったの、じゃあ私の似たようなもんだね、私も弟のパシリ!」

「ドヤ顔で言う事でもねぇだろ、じゃあな」

「え? あれ?!」



そのままカゴに姉貴から言われたお菓子類を詰めてレジに向かい適当におでんを選びコンビニを出るともう帰ったかと思った美子と弟が外に居た。



「あれ? お前らまだここに居たのか?」

「まだ居たのかって…… せっかくだし玄ちゃんちょっと付き合ってくれる?」

「え?」

「えー? こいつも一緒?」

「こらナオちゃん!」

「付き合うって?」

「ナオちゃんに余計なお菓子買っちゃったからさ、前に玄ちゃんと行った公園で食べさせようかなって思って」

「ああ……」

「え? 姉ちゃんこいつとデートしたの?」

「こいつじゃないでしょー? それにデートじゃありません! どこでそんなの覚えたの?」

「わぁッ! 頭わしゃわしゃするなよ!」



うわー、俺ナオちゃんに好かれてねぇなぁ。 まぁこいつの弟が思ってるほど美子となんかあるわけでもねぇけど。



「俺は別にいいけど?」

「あはッ! じゃあ多数決で決定だね」

「ずりぃぞ姉ちゃん! 最初からこいつ行く気満々だから多数決の意味ないじゃん!」

「悪いな直也、お前見てたらだんだんと行く気満々になってきた」

「うげ……」



だんだんこのガキにこいつ呼ばわりされて腹が立ってきたので仕返しをしたくなってきたぞ。



「じゃあ行こっか」

「よし、行くか」

「ちッ!」



それから3人で公園に着くと直也はお菓子を取り出した。



「ねるねるねるねーッ!」

「そこにお水あるから作ってね」

「おりゃー!」



直也はお菓子を作って食べるとまた買ってきたお菓子を漁ると美子に「あとはダメだよ」と言われ物凄くブーたれる。



「いいじゃん!」

「もー、そんなに食べたらすぐなくなっちゃうよ?」

「ケチー!!」

「だったら俺が買ったのやろうか?」

「え!? いーの?」

「いいよ?」

「玄兄ちゃん太っ腹! 流石姉ちゃんが初めて連れてきた男!」

「あはは、コンビニで偶然会っただけでしょー? 連れてきたは連れてきたけど。 変な言い回し誰に似たのかしら?」



どう見てもお前だけど?



「玄ちゃんありがとね、玄ちゃんが買ったのに」

「別にこんくらいどうって事ねぇよ」



ぶっちゃけ姉貴のお金だから痛くも痒くもないしパシられたしな!



「玄兄ちゃんは大した男だぜ! もぐもぐ……」



お菓子で手のひらクルーとはなんて籠絡しやすい弟なんだ…… まぁ子供だしな。



「ほら、ちゃんとお礼言いなさい」

「ありがと! もぐもぐ」

「なんかこうして見ると美子ってちゃんと姉ちゃんしてるんだな」

「え? でしょでしょ! なんせお姉ちゃんですから! あ、玄ちゃんお菓子食べる?」



いやお前さっき弟にそんなに食べたらすぐなくなるよとか言ってたくせに。 正にこの姉ちゃんあってこの弟ありだな。




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