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その69


「うーん! 玄ちゃんとドライブ楽しいね!」

「玄君だけでなくお父さんも居るんだけど……」

「だってお父さんが後ろの席に玄ちゃんだけにさせるんだもーん、せっかく一緒に座ろうと思ったのに」

「ははは、お構いなく……」



やめろ美子、お前が何か言う度にお父さんの俺に対してのヘイトを募らせていくから。



しかしかれこれ1時間近くドライブしてるぞ? 美子が行きたいところなかなか決めないからだぞ。



「このままドライブして今日はお開きにするか美子?」

「お父さんそれ本気で言ってる?」



美子はムスッとした顔でそう言うと美子のお父さんは慌てて取り繕った。



「少しお腹が空いてきたかも……」



まだ10時半、お昼には大分早い。 俺は美子のお父さんの静かな威圧のせいでまったく食欲が湧かないのに。



「そうか! ならあそこに食堂あるからそこで軽く食べて行こうか?」



ちょうど信号待ちをしていて少し前方に寂れた食堂があった。 美子の間食しないはフリだったな。



あんな少し小汚い食堂を選ぶとは…… 美子ならもっとお洒落なところがいいと言うと思いきや。



「うん! いいんじゃない」


 

寧ろ喜んでいた、案外そういうの気にしないタイプなのか。



「玄ちゃんもあそこでいい?」

「俺は全然構わないよ」

「よし、じゃあ決まりだ」



いつの間にかこいつのお父さんまで一緒の流れだ。 



店内に入ると寂れた外観の通り店内もボロい、まぁ2人は気にしてないようだし。 というか美子の隣にお父さんが座り自然と俺は美子とお父さんに見つめられている、これは気不味い。 



「さあ、奢りだから遠慮しないで食べてくれ」



と言われても遠慮しないわけにはいかないが。 どれどれとメニューを見てそんなに空腹でもないので適当な安いおかず的なメニューを注文した。 



美子は予想通りガッツリ食べるらしくチキン南蛮定食を注文したのに比べお父さんはコーヒーのみ、こっちは普通なんだな。



それよりもまさか美子はここで定食を食べてお昼まで食べるつもりなのだろうか? 注文したものが来たので食べ始めると……



「玄君、美子の食べっぷりを見なさい。 素敵だろう?」



え? なんか唐突に自分の娘自慢し出したぞ…… いや違う、美子の食べっぷり見てお父さんがうっとりしてるよ。



パクパクと軽快に食べている美子だがピタッと箸が止まった。



「どうした美子?」

「…………ッ。 お父さんはともかく玄ちゃんにそんなに見つめられたら恥ずかしくて食欲なくなっちゃうよぉ!」

「と、ともかく!?」



その割には今度はご飯を勢いよくかき込みおかわりしてしまった。



「食欲なくしたんじゃなかったのか?」

「ううッ、これは恥ずかし食い……」



結局食うんじゃねぇか!!



「ん? お母さんからメールが……」



その時美子のお父さんが携帯を見て絶句した。



「み、美子…… お母さんからお怒りのメールが来ている」

「え? ああ、さっきお母さんからLINEきて今なにしてるー? って聞かれたからお父さんとドライブって返したけど」

「美子ぉおおおッ!」



美子のお父さんはそのままテーブルに突っ伏した。 あー、いきなり仕事休んで言わないで来たからだろう、言っても同じような気がするけど。



その後食堂から出て美子のお父さんは俺達を近くで降ろして帰って行った。 足取り重そうに……



「なんだかドタバタさせてごめんね玄ちゃん」

「まぁいいけどこれからどうするんだ?」

「お腹空かすために少しブラブラしよっかなぁ?」

「食い意地張ってんなお前……」

「そ、そんな事ないもん! お昼は別腹!」



駅周辺までの道のり美子は喋る喋る、いつも喋ってるけど今日は特にだ。



「随分テンション高いな?」

「え、そうかな? 玄ちゃんもでしょ?」

「いや普通」

「ガーーンッ!」

「あ、いや! 高い高い、高かったわ」

「なら良かった」



危うく美子が石化しかけるとこだった、でもこの美子の反応面白いな。



「今はそんなでもないけどな」

「ガーーーンッ!!」

「嘘」

「………… むぅーーッ! 意地悪してるでしょ!?」

「悪い悪い、美子が面白かったからさ」

「え? うふふッ、そっかぁ」



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