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その51


「速水?」

「なんであんた達が?」

「俺ら呼ばれたんだけど。 なあ玄?」



テストも終わり1ヶ月過ぎた頃の放課後ミスコン部から呼び出しがあった、だが速水と俺と亮介なんだけどなんの用だろう?



とりあえず部室に入ると出雲先輩と南先輩、新井先輩が居た。



「あ、来た来た、突然呼び出しちゃってごめんね」

「あのー、今日は一体?」

「うーんとね、琴音ちゃんに合うドレスあるかなぁって。 琴音ちゃん身長高いでしょ?」

「え? ああまぁ。 ウチの着るドレスですか……」



速水は身長175センチある俺と同じくらい背が高い、この中の女子でも速水よりデカい奴はいなかったしな。



「今琴音ちゃんに合うドレスないと思うから。 隣文芸部でしょ? だから採寸してもらって作ってもらいましょうかって事にしたの」

「え? わざわざ? 別にウチのドレスなんていいですよ」

「じゃあ制服のまま出るの? まあ琴音ちゃんそのままでも素敵だけどやっぱりひとりだけドレスないなんて浮いちゃうから遠慮しないで」

「あの俺らは?」

「ああ、玄君と亮介君はそこのお二人に体育館の照明の使い方とか教えてもらって? あなた達の役割になるんだからさ」



ああ…… そぉいや初めてこの部に入った時説明されたっけ、俺達裏方だし。



「うわー、だりぃ……」

「おい、聴こえるぞ亮介」

「聴こえてるぞ?」

「ギクッ」



南先輩が亮介を笑顔で睨んだ…… ような気がする笑顔。



「うおおおッ! なんかやる気出てきた、なあ玄!?」

「あ、ああ……」

「あら…… 玄君やっぱり」

「え?」



出雲先輩が俺をジッと見てきた。 なんだ?



「あ、ううん。 後で琴音ちゃん連れて体育館行くからね」

「うあッ、ちょっと待って下さい」

「いいからいいから♪」



出雲先輩に背中を押され速水は隣の文芸部に連れて行かれた。



「さて、じゃあ俺らも行くか」



新井先輩が俺と亮介の肩をポンと叩いて体育館へ向かう。 



体育館へ行くとバレー部、バスケ部などの様々な部活動を尻目に俺らは舞台裏に行く。



「これがこうでこうだ、わかったか?」



なるほどわからん。 新井先輩の説明が早くて……



「こいつミスコンで1度しくってるから」

「おい南、余計な事言うなよ」

「失敗するとやっぱマズいんですか?」

「ああ、出雲が1位になったのにこいつは違う奴に照明当てちゃったんだ」

「ドッと受けたから結果オーライだろ?」



やっぱ出雲先輩1位に選ばれたのか。 ていうか俺もやりそうだ、速水が選ばれなかったとしても速水速水ばっか考えてるし、注意しないとな。



そうしてしばらく先輩と喋っていると出雲先輩が顔を出した。 



「やっほ! そっちは順調?」

「来たのか、まぁ大丈夫じゃないか?」

「あらー、新井君が言うと説得力ないわねぇ」

「ほっとけ!」

「そっちはどうだったんだ?」

「こっちはバッチリ! いやー、今回のミスコンはもしかすると琴音ちゃんにかっさらわれるかもしれないわ」

「いや別に……」



出雲先輩の後ろからひょっこりと速水がぶっきらぼうな顔をして現れた。



「琴音ちゃんったらもうちょっとやる気になってくれればいいのにねぇ」

「そうそう、スタイルもモデルみたいだし出雲よりいいとこ行くかも、いでッ!」

「本人目の前にして失礼でしょ南君!」

「くそー、ゲンコツしやがって。 いい先輩振りたくてお淑やかキャラ作るんじゃなかったのか!?」

「余計な事言わんでよろしい」



南先輩はまた出雲先輩にゲンコツを食らう。 キャラ設定だったのか……



「あ、俺そろそろ帰らなきゃ!」

「なに!?」



亮介に肩を掴まれコソコソと話される。



「今日新作のゲームの発売日だろ? 俺予約してたんだわ。 店閉まる前に買いに行かなきゃいけない」

「いや俺は?」

「すまん玄、明日やらせてやるから俺はもう帰る!」

「お、おい!」

「ちょっと用事があるので失礼します! あとは玄に」

「あらそう、気を付けてね」



亮介は帰ってしまった。 亮介が行くのを見送った後、出雲先輩が俺に振り向いた。



「玄君、私試してみたい事があるんだけど」

「はい?」



そう言って出雲先輩が取り出したるは化粧道具だった。 まさか……



「玄君映えそうなお顔してるなぁって思ってさ」

「「げ……」」



俺と速水はハモッた。



「へぇ、俺も見てみたいな」

「俺も」



南先輩と新井先輩もノリノリだった。



「てことで!」



ガシッと先輩2人に抑えつけられ俺は出雲先輩に化粧されてしまった。



「あーやっぱり予想通り! ねえ琴音ちゃん、いいと思わない?」

「え? ああ、はぁ」

「あらー、薄い反応。 こういうの苦手なのかしら?」

「いえ別に」

「ほぉー、なかなかやるなぁ出雲。 いや由比ヶ浜の方か」

「違和感ないな」

「はぁー……」

「そんな溜め息つかないの! 可愛いわよ玄君」



そうこう喋っているといつの間にか体育館が静かになっているので覗いてみると運動部の面々が居なくなっていることに気付く。



「あれ、もうこんな時間? 帰りましょっか」

「だな、行くぞお前ら」



先輩達の後に続くと速水は別方向へ行った。



「琴音ちゃんどうしたの?」

「先帰ってて下さい、バレーボールが落ちてるので片付けて行きます」

「んー、そう。 じゃあ行ってるね!」



体育館から出るとこまで来て振り返ると用具入れに入った速水が出てこないので先輩に言った。



「俺速水に用事があるので行ってて下さい」

「え? うーん、わかった。 じゃあ私達先帰ってるから後はよろしくやってね?」

「ああ…… いえ、別に変な意味じゃないので」



出雲先輩は何を思ったのかニヤッとしていたがまぁあながち下心がないわけではないけどボール返してくる割には遅いなと思っただけだし……



そうして用具入れに行くと速水は開けっ放しになっていた小窓を閉めようとしていた。 結構高いので身長ある速水でも手こずってるようだ。



「速水」

「わあッ!! って由比ヶ浜か、脅かさないでよ。 何してんの?」

「お前が遅いから何かあったのかと」

「余計なお世話、見たらわかるでしょ? 閉めようとしてただけよ。 まったく適当ね、どこの誰かしら?」

「うん、それはわかったけど足場になるものあるんだからそれ使えばいいじゃん? 跳び箱とか」

「重いからなんとか届かないかやってみてただけよ、惜しいくらいで届かないけどちょうどいいわ、あんたやってみて?」



そう言われ試しにやってみるが俺と速水の身長はほぼ同じだ、俺も惜しいとこで届かなかった。



「役に立たないわね」

「悪かったな、もう跳び箱そっちに移動させるからいいわ」



足場を作って小窓を閉めて体育館から出ようとしたら……



「開かない……」

「は?」



ほんとだ、鍵閉められてる…… もう戸締りしたってのかよ? てことは速水と2人きり!?


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