その47
「あー、アタシら見学です」
「そう、見たところ1年生ね?」
「はい」
「見学…… ねぇ。 見学するだけじゃもったいないくらいのがチラホラ。 まぁ今は活動らしい活動はしてないけど入部希望の子達が来る時期だからみんな居るから入っていいわよ、ちょうどもうひとり来てたから」
先輩らしき美人の生徒はそう言うと俺達に入るように促すと木村は「失礼します」と言い速水達の手を取って中に入って行く。
「げ、玄ちゃんと遥ちゃんも!」
「え!?」
美子は俺と遥まで呼んでしまった。 俺行ってもいいのか?
「あなた達も遠慮しないで来なさいよ、そっちの子も凄く可愛いじゃない」
「ひええ…… か、可愛い」
遥はそう言われてタジタジだ。 俺と亮介も部室へ入るとそこには思ったより人が居た。
さっきの超美人の先輩と負けず劣らずの女子3人と上級生らしき男子2人にチラッと見た事ある女子2人。
あ! こいつって俺らと同じ1年生だ、長い髪をツインテールしてるちっちゃい女子の。 子供っぽい顔付きでこいつも確か可愛いって噂されてたっけ…… その隣の女の子はこいつの友達か?
「ああッ! 七瀬と速水と木村じゃん!」
「あれー? 栗田達も来てたの?」
どうやら既に顔見知りみたいだ。
「亮介、知ってるか? 俺あの2人の事噂くらいしか知らないけど」
「ああ、あのツインテールの可愛いの栗田 愛菜で隣のはその友達の斉藤 亜里沙だろ? どっちも可愛いけどやっぱ栗田のロリフェイスはたまんねぇよなぁ」
そこまでは聞いてない……
「それよりいいかしら?」
扉を開けた美人な先輩がパンと手を叩くとみんなその人に注目して静かになった。
「私は一応この部活の部長をやらせてもらってる3年の出雲 渚です。 この部活は多分よく知らない人だと凄く自意識過剰な人が入るんじゃないって思われてるかしら?」
まさしくそう思ってました……
「でも実際は推薦された人だけが入っていいっていう部活だったの。 でもそれだとなかなか部員が入って来なくてね、それに何より近付き難いってのもあったみたいで。 あ、それとこの子達は2年の葉月 玲奈ちゃんと白石 久留美ちゃんね」
あ、そっちの2人は2年生だったのか。 この人達までは推薦があったってだけに出雲先輩並みに綺麗だ。
「よろしくね」
「今年の子達って可愛い子いっぱいね」
2人は俺達にニコッと愛想良く挨拶をしたのでこちらもお辞儀した。
「それとこっちの男子2人は私が誘ったの、男手がないと困る時があるしね」
「3年の南 和也だ、よろしくな」
「同じく3年の新井 真司、よろしく」
「どうも……」
てか男手って何するんだろうな?
「まあそれでね、今年からは個人の自由に任せる事にしたの。 入りたければ入ってって。 でもあなた達推薦なんかなくても凄く可愛いから入ってくれたら嬉しいかなぁ」
「あー、ウチらは別に……」
「うん、あたしは入ろっかなぁ」
「マジ? 琴音、美子、栗田入っちゃうって」
「勝手にさせとけば? 好きにすればいいじゃない」
「そだね、私もお腹空いてきちゃったし」
栗田は軽く答えたが速水はやはり興味はないみたいだ。 美子は腹が減ってどうでもよくなってきている……
「あ、お菓子あるわよ、食べる?」
「え! いいんですか?」
「うん、どうぞ」
美子はよっぽど腹が減っているのかどうもどうもという感じにテーブルに置いてあったお菓子を貰う。 結局食うんだな!
「美子ったら……」
「それより速水〜、あんた自信ないのね? まぁあたしの方が可愛いってのを自覚してるんでしょ?」
「はあ? チビが何言ってるの?」
「あちゃー、また始まったよ」
栗田が速水に対して挑発めいた事を言い出した。
「木村、もしかしてあの2人って仲悪いの?」
「そうなのよ、なんか栗田から突っかかってきてね。 琴が美人だからって僻んでるっぽい」
「聴こえてる!」
「あははッ、冗談冗談」
「喧嘩はやめなよ2人とも。 お菓子あるよ?」
「黙ってなさいよ大食いお化け!」
「大食いお化け…… 玄ちゃん違うよ! 私少食だからね!?」
いや別に大食いだろお前…… それに今言ってもなんの説得力もないぞ?
「ちょっと! その手どけなさい!」
「あははー、チビのあんたじゃウチに手は届かないみたいねぇ」
栗田がブンブンと手を回して突っ込んでくるのを速水は栗田の頭を手で抑えて制止する。
「うふふ、賑やかな子達ねぇ」




