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その43


体育の時間美子と話していると遠くの方に居た速水がこちらに近付いてきた。 なんだろうと思い、さては昨日の事の何かか? と思ったのだが……



「あ! そうだ、私と琴音の番だった」

「え? お前ら2人ペアなの?」

「うん、なんか偶然。 あ! 仲良いから先生が気を利かせて同じくしてくれたのかも!」



んなわけあるかよ、ただの偶然に決まってるだろうに。



「まったく! 自分の番忘れないでよ美子」

「ごめーん! じゃあ玄ちゃんまたね!」



美子を連れ速水は行ってしまった。 



もうあいつはなんとも思ってないんだろうな、はぁ…… 告白して見事に玉砕、つーかこれって亮介と同じだな。 あいつもこんな気分だったんだろうか?



俺の方はまだ時間があるので美子と速水の試合の様子を遠くから見る事にした。 速水は背が高いだけではなくショウゴと張り合っていただけに運動神経もなかなかいい。



相手のペアが届かないだろうとシャトルを放った場所に見事に追い付きそこからスマッシュを叩き込む。 



美子はまぁそれなりなので…… それなりかな? 見ていると美子があまり役に立たない分を速水がカバーしているように見える。 



美子はシャトルに反応して追い掛けるが速水の方が先に反応し拾う。 一方の美子はそれではダメだと思い予測して動いた。 まったく逆の方へと…… 何してるんだあいつ?



美子のサーブ、シャトルを上げサーブを打とうとした瞬間虚しくラケットは空を切った。 そして美子の頭の上にシャトルが落ちる。 ギャグか!! 鈍臭過ぎるだろ!



速水はそんな美子に溜め息を吐くがドンマイと背中を叩く。 そうして試合が進んでいると相手がスマッシュを放つと美子の顔面にシャトルがぶつかる。 だからギャグかよ!? 狙ってやってんのかと言いたくなる。



が、そんなポンコツ美子が居ても速水のお陰でなんとか相手ペアに勝つ事が出来た。 散々速水にお世話になった美子だがえへん! という感じで得意げな顔になっていた。 お前……



「おい由比ヶ浜、俺達の番だぞ」

「あ、ああ」



見ているうちにこっちの番になった。 はあー、美子の力の抜けるプレイを見ていてこっちも脱力してしまわないようにしないと。



コートに行こうとすると対戦相手のチームの1人が声を掛けてきた。



「由比ヶ浜つったっけ?」

「あ? 誰?」

「あー俺? 佐原さはら かずってんだけど隣のクラスの」

「ふぅんそっか。 よろしくな」



適当に挨拶をすると陽キャっぽい佐原は尚も絡んできた。



「よろしくな! てかさ、速水とお前って知り合いなんだろ?」

「まぁそうだけど?」

「付き合ってる奴とかいんのかなー?」

「なんだよそれ?」

「あいつめちゃ美人じゃん? 彼氏とかいるのかなって思うのは自然じゃね?」

「ああ、速水の事気になるのか」



無駄だと思うぞ? こいつは彼女とか居てもおかしくなさそうな見た目だしモテそうだけど速水と? となると速水の好みではないと思う。



「察しが良くて助かるぜ! ちなみにお前って七瀬って奴と付き合ってるのか? あいつも超美人だよなー、天然っぽいけど」

「いいや、ただあいつが絡んでくるだけだし」



けどなんだろうな、速水の事気になるって俺本人に直接言ってこられてこいつに対して変なイラつきを覚え始めてきた。



「おい佐原ー! さっさと来いよ」

「由比ヶ浜もなー!」



俺と佐原は両チームから早く来いと急かされコートに行くと……



「玄ちゃーん! 頑張れー!」



美子…… 他の奴らも居るのに俺を名指しでなんて恥ずかしい事を。 隣に速水と木村、少し下がったところに遥まで居るし。



美子はともかく速水の前では恥ずかしいプレーを見せたくないな。



「由比ヶ浜大人気じゃん、お前って凄いの?」

「いや全然、ぶっちゃけ並かどうかすらわかんねぇよ」

「なのに七瀬に大注目されてんだけど?」

「あいつは仲良くなればそういう……」



そういう奴なんだろうか? 中学の時は本当に後半からしか仲良くないからわからないけどこんな光景見た事ないし。



「来たぞ由比ヶ浜!」

「え? ああ」



ボーッとしていたので相手がボールを持ってこちらに向かって来たのを華麗に抜かされてしまった。



「おい! 素通りかよ!」



しまった、さっそく速水にカッコ悪いところを…… って速水は見てないし。 それにボール持ってたのってさっきの佐原かよ。



佐原はそのまま並み居るディフェンスを潜り抜けてシュートを決めた。



「すげー佐原! お前めっちゃバスケ上手いじゃん!」

「そうか?」



佐原はチラッと速水の方を見ていた。 が……



「あーん玄ちゃんドンマイ!」

「由比ヶ浜チームあっさり抜かされすぎじゃんウケる!」

「別にこんなもんでしょうよ、美子は由比ヶ浜のスーパープレイでも期待してたの?」

「うーん、でもちょっと親近感! ねぇ遥ちゃん」

「へ!? ああ、ええと……」

「美子に親近感覚えられるなんて運動音痴確定じゃーん、ある意味可哀想アハッ」



佐原の方には目もくれずこちらのチームの方を見ていた美子達に佐原の俺に対するヘイトが貯まったのか俺のチームはボロ負けした。






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