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その4


昨日の美子との一件は昨日だけで終わるような出来事じゃなかったんだなぁ。 俺はてっきりなんだかんだで話すのも公園の時で最後かと思ってたぜ。



「由比ヶ浜!」

「え?」



授業中外を見てボーッとそんな事を考えていると先生から指名されていたようだ。



「え? じゃないだろ、この問題をやってみろ!」

「この問題?」



やべぇ、全然聞いてなかったからどこのどの問題すらわからねぇ…… そんな俺の状況を察してか他の奴らはクスクスと笑う。 



くそー、こんな事で周りの奴らの注目を集めるとは! 



その時チラッと美子ともうひとり速水はやみが視界に入るが…… 美子の方がなんか変だ。



な、なんだ? 何かちっちゃい紙をさり気なく俺の方へ向けている。 は!! そうか! あれは先生の問いの答えが書いてあるんだきっと!



ナイス美子! なんていい奴なんだ、凄く…… 凄くありがたいんだけど。



紙が小さすぎて答えが見えねぇーーッ! 美子の席とは少し距離があるしそんなんじゃ見えないんだよぉぉおッ! 俺の視力もそんなに良くないし。 よって……



「わかりません」

「やっぱり聞いてなかったか。 もういい、じゃあ前川」



チラリと美子を見ると「なんで!?」と言いたげにあからさまにショックを受けた顔をしていた。 だって見えねぇんだもん……



そして授業が終わると俺の所へと美子が歩いて来たので俺はそしらぬ顔をして美子を大きく逸れ廊下に出て早歩きで階段の方へ向かった。



危ねぇー! なんかまたこっちにあいつが来そうだったから思わず逃げた。 美子にとっては何気ない事なんだろうけどクラスの連中からまた注目浴びるのはなんか嫌だしな。



「玄ちゃん!」



だが後ろから美子の声がしてギクリとした。 おいおい、追いかけて来るなよな…… 流石にここでスルーするほどの度胸はないので振り向く。



「なんだ?」

「そっちに行こうとしたら玄ちゃん出て行っちゃうんだもん!」

「あー、トイレ」

「ああトイレか! これまた失礼しました。 ん? でもトイレって逆だよ?」

「はッ!!」



そうだった! くそ…… ん? くそ?



「普通のとこで出来るかよ? 大だぜ、大! もし大してる時変な奴らが入って来たら俺のあだ名ウンコマンだ、だから

職員室のトイレに行くんだよ」

「あわあわ…… そうだったんだ、私ったらデリカシーない事聞いてごめんなさい」



あわあわしているだけあってチョロい…… あっさりと通じた。 



「あれ? 私何言おうと…… あ! そうだ、玄ちゃんさっきの授業答えに詰まった時に私紙に書いたのに!」

「ああ、あれ見えなかった」

「え? 見えなかった? なーんだ、そうだったの。 てっきり無視されたんじゃないかと思っちゃった、早とちり〜」



いっけねぇ〜という感じに頭に手を回して照れているようだった。



「もしまたあったら今度は大きく書くね!」

「いや、中間くらいにしといてくれ」



だってこいつ大きく書くなんて言ったらノートを思い切りこちらに向けてきそうでそれはそれで目立ちそう。



「玄〜、こんなところで何…… な、七瀬!」

「やっほー篠田君」



美子の笑顔を向けられ亮介は顔を赤らめ俺の後ろに隠れた。 何? こいつ乙女なの?



「お…… おふたりで何か秘め事? 邪魔したかな?」

「言い方! なんか怪しさしかねぇじゃねぇかよ!」

「玄ちゃんトイレに行くとこ私が呼び止めただけだよ」

「トイレ? 逆じゃね?」

「あ、ええと」

「まさかお前…… でけぇ方か? ウンコマンじゃん!」

「ほ、ほんとだ! ていうか篠田君って変な人だったんだ……」

「「え?」」



美子は亮介を見てたじろいでいる。 あ! 俺のさっき言った事を鵜呑みにして!? 中学3年にもなって大してるからって人をそんな風にウンコマンとか罵る低俗な輩なんて…… いたわここに!



「お、俺って七瀬の中で変な人なのか?」

「あー、それは……」



亮介はガビーンと口をパクパクさせている。 



「ふうー、誤解が解けて良かったぜ。 にしてもさっきの授業中ボーッとしてやがってまた速水でも見てたのか?」

「なんでそうなるんだよ?」

「だってお前速水の事よく目で追ってるじゃん? まぁ美人だから気持ちはわかるけどよ、でも七瀬と仲良くなればあいつって速水と仲良しだし近付くチャンスあるんじゃね?」

「別に速水の事好きってわけじゃねぇし。 お前の言う通りあいつは美人だから人の目を引くだけだから俺が見たって普通の事だろ? お前だってあいつが通り掛かってたら目で追うじゃん」

「ま、そりゃあな!」




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