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その38


速水にクラスから離れた廊下の方に連れて行かれた。



「てかどういう事よ!? 美子も居るのにウチをチラチラ見て!」

「だから誤解だって! てか見てるって気付くって事は速水こそ人の事見てるんじゃないのか?」

「ぐッ…… ウチがあんたなんか見るわけないでしょ!」

「じゃあなんで俺が見てるって思ったんだ?」

「やらしい目線はゾワッとくるの! エッチ!!」



昔はどこ触られようが構わず男子と喧嘩していたくせに。 しかも本当の好きなタイプは男の娘……



なんでよりにもよって速水が男の娘が好きなんだよ! ッて嘆きたくなるわ。



「とにかく! 由比ヶ浜はウチのクラスに来る事禁止!!」

「無茶言うなよ、亮介だって速水のクラスに居るんだから」

「琴音ーッ!」



遠くから美子の声が聴こえたと思ったら遥と一緒にこちらに走って来た。



「げ…… 美子じゃないの。 あんたのせいよ!」

「速水が呼び出したんだろ!」



もはや不毛……



「もぉー! 2人とも居なくなっちゃうんだもん!」

「ウチらはちょっとこいつが…… 由比ヶ浜が用事あるからって」

「え? 玄ちゃんが琴音に?」



バカ! 何適当な事言ってんだよ…… 何か、何か速水に用事ってないか? ええと……



「あ! そうなんだよ、速水の事気になって」

「「「えッ!?」」」



焦ったら誤爆った……



「な、何言ってんだろねぇー? 由比ヶ浜は」



速水から鬼のような視線で睨まれた。 だってお前が適当な事言うからだろ! 俺もついポロッと出たのはマズかったけど。



「俺じゃないぞ、明…… 明がさ! 速水の事紹介して欲しいからって」

「え? 西川君が?」

「そう、そうなんだよ」

「相変わらず琴音モテモテだねぇ」

「そっか…… 西川君が速水さんを」



ふぅ、なんとか誤魔化せたかな? 明がちょうど速水に紹介してもらいたがっていて本当に良かった。



「ふーッ、てっきり玄ちゃんが琴音に告白でもするのかと思っちゃったよ」

「やめてよね! ウチのタイプは由比ヶ浜なんかじゃないわ!!」



まぁわかってはいたが化粧していたとはいえ、あれも俺だったしそんな俺にあんな風になっていた速水にそう言われると少しばかり…… いや、結構心身的なダメージが大きい。 ガーーーンッ!



「まぁまぁ。 私からも西川君の事琴音に友達になってもらうように頼むからさ」

「そ、そうか……」

「玄ちゃんなんか落ち込んでる?」

「……ッ! ご、ごめん由比ヶ浜、言い過ぎた、タイプじゃないけど友達だとは思ってるわ」

「ああ…… わかってるって」



いかんいかん、精神的ダメージが表にまで現れていた。 平静を取り戻さなければ。



「あ、あれ? 琴音がそう言ったら玄ちゃん元気になった……」

「ッ!! やっぱあんたなんかタイプじゃないわ!」



に、二度も言われた……



「え? え? 玄ちゃん?!」

「ごめん! 今のなし!」

「あんたらコントやってんの?」

「葎花…… と誰だっけ?」

「ガクッ! 俺は西川明、玄達と友達の。 良かったら友達になってくれ!」

「だってさ〜琴、なってあげたら?」

「はぁー、わかったわよ。 よろしくね西川、私は速水琴音」



どうやら木村伝いに亮介が頼んだようだ。 



「玄君元気出して?」

「俺は何も落ち込んでないぞ」

「嘘…… 落ち込んでるよ」

「なんでわかるんだよ?」

「だって私ずっとげ…… ううん! なんでもない、落ち込んでないならいいけど」



授業が始まるので教室に戻って来ると遥に図星を突かれた。 俺って速水に冷たい態度取られると傷付くんだな……



そして放課後になりその日は何もないのでまっすぐ家に帰る、美子達はどこかへ寄ってから帰るようだ。 美子から誘われたが速水をまた怒らせてしまうかもしれないと考えると行く気はしなかったので断った。



亮介らも各々用事があるみたいで別々に帰るみたいだったので俺はひとり帰路を歩いていた。 すると……



「玄君!」

「は?」



え? 遥?? こいつも帰ったかと思ったのに。



「どうしたんだ?」

「あっとえっと…… な、なんとなく! 駅辺りまで帰り道一緒だよね」

「いやでも…… もう駅だぞ?」

「うッ…… あれ!? ほんとだ……」



遥が美子みたいなボケかましてる……



「ご、ごめん。 帰るね」

「え? あ、ああ。 気を付けてな」



クルリと後ろを向いた遥の足が止まる。 モジモジと肩が揺れて再度俺の方を向いた。



「………… や、やっぱり用事があったの。 それで私なんかが本当にごめんなさいなんだけど……」

「ん?」

「つ、付き合ってくれますか?」

「俺に? 遥の用事に?」

「非常に申し訳ありませんが……」

「なんでそんなに改まるんだよ? …… いいよ、わかった。 俺でいいなら付き合うよ」

「ほ、ほんと!?」

「ああ」



そう言うと遥の表情が明るくなり俺はその用事とやらに付き合うことになった。 その遥の後ろの方の影から何か物が落ちる音がしたような気がしたが気のせいだろう。




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