その37
4クラスあるうち隣のクラスに行くと亮介が居た。 あいつもあいつで新しい奴らとよろしくやってたようで……
「おー玄! 今から俺らもそっちに行こうとしてたんだ。 ええと、玄の隣のは……」
「俺は矢吹英二だ、よろしくな。 玄の友達の亮介だろ? って玄が砕けた感じでいいって。 俺も英二でいいから」
「全然構わねぇよ。 よろしく英二」
「亮介こそそこのは……」
「あー、俺は西川 明だ、俺も明でいいよ」
西川明…… 間違いなく俺らの中で1番イケメンだな、原田と同じでモテそうなタイプだ。
亮介らと同じクラスになった速水と木村とこちらに一瞬目が合った、そうすると木村は小さく手を振って微笑むが速水は俺から目を逸らしてプイッとそっぽを向いた。
やっぱあの件から速水の秘密を知ってから嫌われてんなぁ俺……
「今木村手を振ったぞ?」
「まぁあれは俺に向けてだな」
なんの根拠もないくせに明にそう言われて亮介は得意げに答えた。
「亮介って木村と仲良いらしいからな。 木村も可愛いけど隣のクールそうな速水もなかなかいいよなぁ、今のだって俺らをゴミでも見るような目をしてたまんねぇ。 背も高くてモデルみたいだしそれでいて意外と肉付きのいい太腿もいい。 紹介してくれよ亮介」
「まぁ明がそう言うなら考えてやらんでもない」
顔はいいのに中身は性欲丸出しだな明って。 それにしても亮介の奴絶好調だな、3人に告白した奴は肝が座っていると言うかなんと言うか……
そのまま亮介のクラスで昼飯を食べ終わり3人と話していると俺の向かいに座っていた英二が俺の後方を見ていた。 何かと思い振り返ろうとしたら視界が暗くなった。
「だーれだッ!?」
「美子だろ」
「ええ〜!? 正解!」
目隠しをパッと解かれ今度こそ振り向くと美子と遥が居た。
「お、お邪魔します」
「流石玄ちゃん! 遥ちゃんも居るのにいとも簡単に見破られちゃった」
そもそも遥が居たなんて振り向くまで知らないし居たとしても遥はそんな事しそうにないしどう考えても美子一択だろうに。
「入学式に見た俺が目を付けてた可愛い子2人だ……」
「へ?」
明が口をパクパクとさせて美子と遥を見ていた。 遥は可愛い子と聞いて美子を見てあとひとりは? という感じでキョロキョロと周りを見ていた。 お前の事だよ……
「玄ちゃんのお友達?」
「玄! お前この子と仲良いのか? 彼氏なのか!?」
「そ、そんなぁ…… 彼氏だな……」
「いいや。 まぁ友達だけど」
「そうか」
美子が俺の肩に手をついてガクリとしたような気がしたが明も今の反応見るになんだか亮介と似たようなタイプかもしれない。
「俺は西川明、よろしく」
美子と遥に爽やかなスマイルで自己紹介した。 さっきまで取り乱し気味に驚いてたのはどこ行った?
「宮野遥です。 よ、よろしく、ひゃッ!」
遥の手を取り明は握手した。 遥にはそれ逆効果だと思うぞ?
「うええッ!? な、なぜそっちに?」
握手が終わったかと思うと遥は俺の後ろにいそいそと移動して怯えたような目で明を見ていた。 言わんこっちゃない、言ってないけど。
「遥ちゃん恥ずかしがり屋なんだよ? ねぇー? 私は七瀬美子、よろしくね!」
「ま、まぁいいか。 よろしく七瀬」
今度は美子に握手をしようとした明だったが美子は遥の両手を握って楽しそうにお話をしていたので明は手を引っ込めた。
なんか顔はイケてるのに残念な奴だなこいつ……
「美子ー、そっちのクラス慣れた?」
「私達が居なくて大丈夫? バカにされたりしてない?」
「されてないよー! でも琴音と葎花居ないとちょっと寂しい。 遥ちゃん居てくれて良かったよ」
「うわわッ、美子ちゃん苦しいッ」
「あッ、ごめんね!」
美子は遥の頭を胸に押し付けていたのでパッと離し遥の乱れた髪の毛を撫でながら直していた。
「俺もああしてもらいてぇ」
英二がボケーッとして呟いた。 あ…… いつぞや美子の家に行った時美子が俺が怒ってると勘違いして仲直りって事で似たような事してもらったな。
そんな様子を見ていると美子のすぐ後ろに居た速水と目が合ってギロッと睨まれた後廊下に出ろと言わんばかりに目配せする。
げ…… 確かに速水の事チラ見してたけど美子と遥を見てたんだからな。 って言い訳はキモいからやめておこう。
速水の言う通り? 廊下に出ると少し遅れて速水も出て来た。
「何よ? ジロジロ見るんじゃないわよ」
ほらやっぱり見てると思われてた……
「な、何も…… あ! 明が速水と仲良くなりたがってたぞ!」
明すまん、だけど紹介して欲しがってたから俺が紹介しとくよ。
「明? 誰それ?」
「ほら、俺らと一緒に居たイケメンの……」
「あー別に私から見たらそんなに…… ってそんなのどうでもいいの!」
明…… やっぱ速水は厳しそうだぞ。