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29/95

その29


冬休みが明けて遂に学校が始まってしまった。 雰囲気はもう受験一色、俺も休みの日にいろいろあったりはしたが切り替えなきゃ。



「玄〜、久し振り」

「確かに久し振りだな、クリスマスのあの時以来だ」

「お、おう…… 出来ればその黒歴史は掘り起こされたくなかったぜ」

「お前あの3人トリオに告白したのに黒歴史なのかよ? どうだったんだ実際は」



聞くと亮介は苦い顔をした。



「速水にめっちゃ怒られた」

「やっぱりな」

「そんでもって七瀬が必死になって仲介してた」

「あーなんか想像出来るわ」

「けどそのお陰か木村と友達になれたぜ!」

「あ…… 亮介後ろ」

「誰が篠田と友達だって?」

「うわッ!」



コッソリと木村が亮介の後ろに立っていた。



「篠田〜、あんたある事ない事言ってないでしょうねぇー?」

「言ってない! なぁ玄?」

「由比ヶ浜、知ってると思うけどこいつアタシら3人に数撃ちゃ当たると思って告白してきたのよ!」

「こ、声がデカい木村」



時既に遅し、亮介がクリスマスに3人に告白した事はうちのクラス中に広まってしまった。 これは卒業までネタにされそうだ。



「おはよ玄ちゃん…… ん? あけおめ? あけおめ玄ちゃん」

「あけおめ美子」

「お正月も遊びたかったんだけどさー、忙しくて遊べなかったよぉ、従兄弟来たり勉強しろって言われてさ」

「うん、それはLINEで見たけど……」

「結局クリスマスの時以来だしパァーッと遊ぼ?」

「え? いつ?」

「ん?? んー、今日…… とか?」

「いきなりだな。 もう慣れたけど」

「ほらほら、琴音も葎花もそれ以来だったしさ、きっと喜ぶよ!」



何故こいつは速水も木村も俺らと遊びたがってる前提で話すんだろうか…… 木村は知らないが速水に関しては多分遊びたくないんじゃないか? それについこの間速水には会ったし。



「あ、琴音ーあけおめ!」

「?」



速水が教室に入って来たので美子は早速速水を呼んだ。 そして俺を見て速水は一瞬表情が崩れた気がしたがすぐにいつも通りになる。



「朝から元気だね美子は」

「そりゃあ久し振りだもんね! 会いたかったよぉ琴音〜!」



ガシッと速水に抱きついて美子は頬をすりすりさせていた。



「あー、もうこの子は…… 何よ?」



その光景を見ていた俺に速水は冷たいトーンで一言。



ええー? なんかめちゃくちゃ冷めてる、この前はそんなんじゃなかったのに…… いやそれだけこの前の事は忘れろって言いたいのか? 



「琴音?」



そして速水は嫌悪丸出しの視線も向けてきた。



…… あーわかった! そこまで速水が嫌なら忘れてやるさ、多分インパクトが凄かったから無理だろうけど墓場まで持って行ってやる!!



「琴音ッ!!」



美子は大きな声で速水を一喝した。 当然周りの注目を浴びる美子、しかも速水相手だから余計に注目されるぞ?



だが美子はそれから黙って速水の目を見つめていると速水は根負けしたのか美子から目を逸らし肩に触れていた美子の手を上から握った。



「何よ美子? いきなり大きい声出すから皆ビックリするじゃん……」



何事もなかったかのように速水は周りになんでもないよという感じに美子に笑顔を向けると周囲の連中はなぁんだと各々視線を戻したがこっちはまだ終わってない……



美子はそんな事じゃ誤魔化されないぞ(何に?)という目を速水に向ける。 美子にしては険しい顔してる。



「美子ちゃん」

「ひゃあああッ!!」

「ひいッ!! ご、ごめんなさい」



が、不意に遥から後ろから話し掛けられとても間抜けな声を出して驚いたので一緒に遥も驚いた。



「あ、遥ちゃん! あけおめ」

「明けましておめでとう美子ちゃん」



LINEで何度も言ったであろうくだりを何度も何度も…… 律儀な奴だな。



「ええと…… 去年はありがとう、呼んでくれて」

「ううん、全然いいの!」



遥が来た事で美子の気は遥に向いたようで速水はホッとしたように胸を撫で下ろしていた。



「何々琴〜? 美子となんかあったの?」

「何もないよ」

「そぉ? 美子のあんなただならぬ感じなかなか見た事ないよ」

「そう? ウチからすればいつもの美子みたいに見えたよ」

「ええ〜?」

「ッ!?」

「ええ〜?」



木村は「ええ〜?」を速水に言って何故か次に俺の方へ来てまたも「ええ〜?」と言った。 



知らない! 俺は何も知らないぞ!!



HRの時間になり先生の話を適当に聞いていると美子にふと目が留まった。 そのままボーッとしていると美子は視線を感じたのかこちらに目をやった。



目が合うと美子はフフッと微笑み先生の方を向いた。 なんだ今の顔は!? やれやれみたいに向き直しやがって! くそーッ! 見てたと思われたじゃねぇか! 見てたけど……




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