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その24


「どう? こんな感じ?」

「うーん、近付いた?」

「いいかもいいかも♪」



俺は木村に顔を弄ばれている。 いつの間にか3人ともこっちのテーブルに来ているしもうどにでもなれだ。



「あらー、玄ったら可愛くなっちゃって。 私がなかなかイケてるからかしら?」

「だったらなんで彼氏が、イッテェ!!」



またもや姉貴にゲンコツをお見舞いはれた。



「こら由比ヶ浜動くな」

「由比ヶ浜こっち向いて?」

「あ?」



速水に言われそっちを振り向くと姉貴と俺を交互に見つめた。 そんなに見られる機会もあまりなかった速水にこんなに見られると後ろに下がりたくなる。 がサッと速水は顔を逸らした。



「うん、そっくりかもね」

「アタシ凄いっしょ! 流石にアイラインは男の子なので遠慮させて頂きました〜、ガッツリやるとオカマになるからホスト風メイク的な」

「玄ちゃんが本当に玄ちゃんになったみたい」



どういう意味だそれ?



「玄ちゃん髪はまぁそれなりの長さだしベリーショートって事にしとけば良いかもね」

「こんな事ならドンキでカツラ買ってくればよかったぁ」

「由比ヶ浜と会うなんて思っても見なかったし仕方ないね」

「玄、あんた鏡で自分見てごらんよ?」



姉貴から手鏡を渡され自分の顔を見てみると……



なんだこれ? 確かに姉貴みたいだ。



「こう鏡じゃなくて立体物で私を見ると結構いい線いってるわねぇ」

「自画自賛かよ!?」

「いやいやマジでイケてるよ、正直こんな化粧映えするなんて思ってもみなかった、こりゃあもうちょっとビシッと決めたら高校デビューすればモテたりして?」

「いやそれはないだろう」

「ダメダメッ! そうだよ、それはないよ! 玄ちゃんは無理に変わろうとしなくても今でも充分!」

「いや美子、冗談で言ったのにそんなにムキに反応しなくても。 しかも軽くディスッてるし。 ねぇ琴? おーい」

「え? あ、そうね」

「うっすッ!! 何その聞いてませんでしたみたいな薄い反応は!?」



それから速水は俺の方を向く事はなかったが何が気に障ったかしらないがキツい目線を俺に送るようになった。 



一体俺は速水をどこで怒らせてしまったんだ!? 美子と仲良いこいつらを怒らせたらいろいろ面倒そうだし。



「あ、アタシメイク落とし持って来てないわ」

「そういえば私も……」

「ウチもだわ」

「女子力低ッ!!」

「あんたもね!!」

「まぁまぁ、私も持って来てないし面白いし玄は今日このまま帰ろうね」

「マジかよ…… 」



結局全員女子力低いんじゃねぇか、化粧する前に気付けよな。



美子達と姉貴が話が盛り上がったせいで必要以上にファミレスに長居してしまってようやく帰る事になった。



「じゃあね由比ヶ浜とお姉さま」

「ばいばい」

「玄ちゃんまたね!」

「ばいばーい、可愛い後輩(仮)達〜」



3人と別れ俺も家に向かう。



「あんたあんな美女達と中良さそうだったじゃない。 やるわねぇ〜」

「うっせぇよ」



仲良いか…… 逆に速水とはなんか絡みづらくなったような気もするけど速水は元々トゲがあったからそんなに絡んではないけど。 よくわからん……



それから数日経ち学校が始まる少し前、勉強の息抜きにゲームでも買って気分転換しようとして行きつけの古本屋に出掛けている最中だった。



「ゆ、由比ヶ浜……」

「速水?」



なんてこった、速水と単品で会ってしまった。 いつも美子トリオと一緒だったイメージがあるからピンて会うとこの前の事もあって少し気不味い。 



速水も同じ気分だろうな、ここは軽く挨拶してとっととやり過ごした方がいいよな?



「ひとりで何してるの? 暇なの?」

「あー、暇って言えば暇なんだけど勉強の息抜きでちょっとそこらをグルッと。 速水こそ何してんだ?」

「別に。 似たようなもんなんじゃない?」



はい終了! バッサリと切られました。 やっぱなんか知らないけど速水の地雷でも踏んでしまったのかもしれない、心当たりないけど。 



以前は良いなと思って見ていた速水とこうして美子繋がりでなんとなく仲良くなったような気もしたが美子がいなけりゃこんなもんなだよな。



「じゃあ邪魔になると悪いし行くわ」



そうして速水の前を横切ろうとした時パーカーの帽子をグイッと掴まれた。



「え?」

「待って…… それだけ?」

「いやそれだけって言われても他に何かあるか?」



予想外の展開。 というより何がなんだか意味不明なんだが?



「暇って言ったよね?」

「言ったは言ったけど速水は何かする事あるんじゃないのか?」

「ウチも似たようなもんって言ったよね?」

「…… 言ってた」

「じゃあちょっとついてきて!」

「は!? お、おい! え?」



そのままパーカーを引っ張り速水はどこへ向かうのか知らないまま俺は連れて行かれた。




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