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その21


「ああーーッ!! お父さん姉ちゃんにだけプレゼント渡してる! 俺のはー?」

「はははッ、直也の分を忘れるわけないじゃないか。 ほら、これ欲しがっていたゲームだぞ?」

「わーい! サンキューお父さん」

「うんうん、直也も可愛いなぁ」



それでも直也にはアッサリとしているのな…… まぁ男同士だしそういうもんだよな。 うちの父さんも姉貴にはここまでじゃないが可愛い女の子として扱ってるし。



「てかお父さんなんでここに居るの?」

「今日はクリスマスだ、お姉ちゃんにお父さんも一緒に祝っていいかってちゃんと尋ねて許可を貰ったんだよ。 それにお父さんのバトルフェイズはまだ終了してないんだ、だからいいだろ〜?」



バトルフェイズって一体なんのなんだよ……



「よくないじゃん! 親とか一緒なんて嫌だし! ただでさえ姉ちゃんだけでも鬱陶しいのにお父さんもとかってやめろよな!」

「「ガーーーーンッ!!」」



美子とお父さんは2人とも同じ表情で直也の言った事に対して石化してしまった。 



「お、お母さん! 来てくれ! 直也が…… 直也が遂に反抗期に突入してしまった!!」

「お父さんこそこっち来なさい! いくら美子が可愛いからっていい歳こいて子供のクリスマスに親が乱入するなん直也じゃなくても恥ずかしいわ!」

「え? ちょ…… お、お母さん!? 話はまだ」



美子のお母さんが微笑みながらお父さんの首根っこを掴んで「あとは皆で楽しんでね」と言って出て行った。 



石化した美子とオロオロしている遥とせっせとどこ吹く風でTVにゲーム機をセットしている直也…… クリスマスを祝うんだよな?



「直也、姉ちゃんあんなんなってるけど大丈夫なのか?」

「え? あーこれね、いつもの事だよ」

「いつもの事なのか…… でもあの状態で居られると俺も遥もちょっとアレなんだけど」

「姉ちゃん静かだとゲームに集中出来るからちょうどいいと思うんだけどなぁー」



仕方なしといった感じに直也は立ち上がり美子の元へ行くと「さっきの嘘、姉ちゃん大好きだよ」と耳元で囁くと瞬く間に美子は復活した。



「ナオちゃん! 私も大好きだよぉ」

「わあッウッゼェ、だから嫌なんだよー、お菓子かなんか持って来いよ」



お菓子で籠絡されてた辺り直也も直也だけどな。



「あ、そうだ!! 私からは2人にプレゼントがあるんだった」



美子は思い出したかのように呟いて部屋から出て行った。 なんだろプレゼントって?



とまぁそれはそれとして俺はいいが遥はちゃんと馴染めてるだろうか? オロオロしっぱなしだし俺がゲームやっちゃったら…… うーん。



「ああ、このげーむか。 遥もやらないか?」

「わ、私?」

「ええ〜? 遥姉ちゃんトロそうだけど大丈夫かなぁ?」

「どうだろうな? やってみないか?」

「…… やる」

「4人対戦出来るしいいんじゃないか?」

「そだね、じゃあ俺はハンデでNPCと組むから玄兄ちゃんは遥姉ちゃんとタッグで!」



寧ろやった事がないであろう遥と組む方がハンデでは? と思ったがいいか。



「遥、これは相手吹っ飛ばして場外すれば良いだけだから」

「出来るかな? やった事ないけど……」

「俺が教えるからさ」

「う、うん…… よろしくお願いします」



遥は使うキャラにゴリラを選んだ。 なんだそのチョイスは……



ゲームが始まると直也はそっこーで遥を狙いに来た。 何も出来ない初心者狙うのは当然だけどボコボコにして弱らせて場外に突き飛ばす所業は美子似の可愛い顔してるくせに鬼だぜこいつ。



「うぇーい! やったぁ」

「ごめん玄君……」

「ははは…… まぁ最初はこんなもんだ。 ええとこう来たらこうして」

「ひゃッ!」

「え?」



遥が変な声出すから何かと思えば教えるのに遥が持っていたコントローラーを触ったので手と手がぶつかったらしい。 なんて生優しい事ではなくめっちゃ近付いてしまった、肩がぶつかる程に。



「やほーい! また俺の勝ち〜! 玄兄ちゃんもついでにぶっ飛ばしたぜ。 ってどうかした?」

「いや、なんでもない!」

「う、うん! なんでもない!」



いやぁー、そんなに反応されると教えづらい。 と同時に亮介が言ってた遥が俺の事を好きかもしれないってのがチラついて変な緊張感も湧いてくる。 



「よぉーし、次々!」

「遥、大体こんな感じだ、わかった?」

「ぜんぜ…… あ、わわ、わかった!」



全然わからないって言おうとしなかったか?



「そうか、なら気を取り直して次はやっつけてやろうぜ」

「うん」



これから反撃だ! というご都合展開は起こるわけなく何度か直也に遥がぶっ飛ばされた時美子が戻ってきた。



「またそれやってたの? あ、遥ちゃんもやってたんだ? どうナオちゃん」

「姉ちゃんと同じで激弱ッ! 玄兄ちゃんはまぁまぁかな」

「もう〜、ナオちゃんはそれ得意なんだから当然でしょ? そろそろゲームやめてケーキ食べない? なんとこれ私が作ったんでーす!」

「そうそう、姉ちゃん頑張って作ってたよな。 ようやく食べれる物になったから玄兄ちゃん達も食べてみなよ」

「あーんナオちゃん! 余計な事言わないの! お恥ずかしいけどこれが私からの2人へのプレゼント…… なんだけど」



美子はチラリと俺達を見た。 そっか、美子の手作りか。 美子が持ってるホールのケーキを見ると確かに手作りって感じがする。



「凄い美子ちゃん、ケーキなんて作れるんだ」

「美味しくなかったらごめん」

「いや凄いよ、こっちはなんも用意出来なかったのに良いのか?」

「う、うん! 食べてくれたら嬉しいな」

「じゃあ遠慮なく!」

「あ!」



すかさず直也がケーキを指で摘んで食べてみた。 うーん、ケーキまでそっこーで形を崩してしまうとは。



「うん、いけるよ姉ちゃん」

「お行儀悪いよナオちゃん、でも美味しいなら良かった。 じゃあ皆食べよう?」



美子が作ったケーキを俺達はご馳走になった。 直也が言う通り美味しいケーキだった、そして俺は初めて女の子の家でクリスマスを過ごした。





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