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その20



「ささッ、大したとこじゃないけどどうぞ〜!」



へぇー、これが美子の部屋か。 姉貴の部屋は何度も見てるから家に招待された時ほど緊張はしないけど姉貴以外の女子の部屋ってこんなんなのか〜」



清潔感のある白を基調として所々女子っぽい小物類があって…… なんてもはやテンプレだな。 綺麗な部屋という事でいいだろう。 



いや、でもなんか部屋の片隅にダンボールが積み重なってる、引越ししてきてからそのまま? でもこいつが来たのは去年だし……



「あ、そこはあんまり見ないでねぇ!」

「姉ちゃん余裕ぶっこいてて来る直前になって慌てて片付けてたもんね」

「わあッナオちゃん! 何言ってるんだろう〜?」

「そういう事か。 でも別に気にする事ねぇよ、姉貴の部屋はもっと汚いから」

「き、汚いッ……」

「げ、玄君、汚いで引き合いに出すのはちょっと……」

「え?」



美子を見るとil||li (OдO`) il||liな顔していた。 



「わ、悪い美子。 よく見ればあれも味があっていいよな、ほらこんな所にマラカスが置いてあるのもクリスマスっぽいし」



いや、マラカスあるとクリスマスっぽいか? なんで自分にツッコミ入れなきゃいかんのか、我ながら適当だわ。



「で、でしょ!? マラカスあるとクリスマスっぽいよねぇ〜!」



美子が俺からマラカスを取ってシャカシャカとリズムを刻んだ。 良かった、美子の独特の感性で通じたわ。



「タンバリンもあるの!」

「ほ、ほう……」



俺にタンバリンを渡してきたがこれを一体どうしろと? 



試しに叩いてみると美子がそれに合わせてマラカスを振った。 次にタタンと小気味良くタンバリンを叩くとそれに合わせて美子もマラカスを振る。



こういうノリなの? つーかいつ終わればいいんだ? 



遥がその様子をポカンとして見ていたのでタンバリンを遥に渡した。 あとは頼む……



「え? え?」

「ほらほら! 遥ちゃんも!」

「わ、私よくわかんなくて……」



と言いながら遥はタンバリンを叩くとまたも合わせてマラカスを振った。



「イエーイ! メリークリスマス!」

「あ、はい」

「ああ、メリークリスマス」

「てことで玄兄ちゃん借りてっていい?」

「ダメだよー、ゲームならここでも出来るからこっちの部屋でやらなきゃ玄ちゃん呼んだ意味ないし、ね? 玄ちゃん達はそこのテーブルの辺りに座ってて」

「ちぇーッ、まぁいっか」



直也は一旦ゲームを取りに自分の部屋に戻ろうとドアを開けるとそこには美子のお父さんが立っていてこちらと目が合いギョッとしていた。



「お父さん! なんで部屋の前にいるの!?」

「あ、いや! 楽しそうだからお父さんも混じろうかと。 ダメ?」



「やめてよ恥ずかしい!!」とか美子の口から出ると思えば……



「そっか、仕方ないなぁ」



いや、あっさり…… 普通に迎え入れるのかよ!!



「流石美子、どれ失礼するよ」



美子のお父さんが入り俺の隣に何故か座った。 その気はないのに思いっきり警戒してるよ……



「さあ、遥ちゃんも遠慮せずにどうぞどうぞ」

「は、はい」

「美子もこっちに」

「お父さん、私の部屋だよ!」

「あははは、ごめんごめん」



美子はお父さんの隣に座ると計画通りに行ったのか美子のお父さんは満面の笑みだ。 なんだこの空間は。



「さて今日はめでたい、去年とは違う美子のお友達が祝いに来てくれたし今の学校で美子は順調に過ごせている証拠だ」

「は、はぁ……」

「時に玄君、君は手ぶらで来たようだが?」



ギクリッ…… そうだ、プレゼントも何も持ってきてないんだった。 デリカシーなし男だと思われたか。



俺が言われたのだが自分にも思い当たる遥もギクリとした顔をしていた。



「美子、今日はお父さんから美子にプレゼントがある」

「え?」



そう言うと美子のお父さんは部屋から出て行ったと思うとデカいプレゼント用に包装してある箱を持ってきた。



「さあ開けてみなさい」

「えー? なんだろ?」



美子が箱を開けるとこれまたデカいウサギのぬいぐるみが出てきた。



「わあ!! 可愛い、お父さんありがとー!」

「うんうん、そうかそうか」



美子はウサギに抱きつき頬擦りをしていた。 そして美子のお父さんがチラリと俺を見た、微かに口元が笑っている。 次はお前のターンだぞ? と言いたげだ、これが狙いかぁーーッ!?



「み、美子」

「なぁに玄ちゃん?」

「実はさ…… こういうのって呼ばれ慣れてなくて俺と遥うっかりしていて何も持って来れなくて……」

「え?」



美子は俺と遥をキョトンとした顔で見た。 それを見た美子のお父さんは今度はお前のターンなんて永遠にないんだよ! と言いたげだ。 



「いいんだよ! そんなの気にしなくてさ、2人とも来てくれたじゃん。 それだけで充分私にはプレゼントだよ」

「な、ななな、何ぃ〜!?」



美子がそう言うと今度は∑(゜Д゜)な顔して驚く美子のお父さん…… うん、親子だわこの2人。



「み、美子…… やはり美子は天使のように優しい子だ。 お父さんしっかりと今の言葉心に刻んでおくよ」



急に目頭を押さえて美子のお父さんは物思いにふけっている。 うん、このなんとも掴みどころがないところ、親子だわ……





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