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その19


「さあ、遠慮せずに2人とも上がって」



美子の案内で家に着くと引っ越して来たから借家なんだろうけど女の子の家にこの歳になって招待されて行くなんて初めてだ、緊張するなぁ。



美子は年頃の女の子だ、おまけに可愛いと来たら両親、特にお父さんは俺にいい顔はしないと思うが……



「こんばんは、お邪魔します」

「こんばんは……」

「あ! 玄兄ちゃん!!」



ドタドタと直也が玄関まで走って来て迎えてくれた。



「ナオちゃん待ってたんだよねぇー?」

「玄兄ちゃん、ゲームしよ!」



直也は俺の手を取り家に上げようとするがいきなりそんな粗相をするわけにはいかない。



「ナオちゃんダメだよ、お父さんとお母さんが2人に会いたいって言ってたんだから」



うん、そうだろうな。 遥は女の子だからともかく俺なんかガッツリ警戒されそうだ。



そして美子に俺と宮野はリビングへ連れて行かれるとソファに鎮座する重苦しい雰囲気のお父さんが……



おい美子! 全然歓迎してくれてないぞ!? 嫌な予感はしてたけどやっぱりじゃねぇか!



「あらあら、いらっしゃい。 玄君に遥ちゃんよね? 美子から話は聞いてるわ。 琴音ちゃんと葎花ちゃん以外にもうちに連れてくるくらい仲良いお友達が居たのねぇ」

「ど、どうも。 いつも美子さんにはお世話になっています」

「堅苦しいから美子でいいのよ玄君」



やべぇ、ちょっと緊張してたせいでなんか美子にいろいろしてもらってる感じの挨拶になってしまった。



「玄君と言ったね? いつもお世話になっているとは何を美子にお世話になっているのかな?」



ほ、ほら、さっそくつっこまれた。



「あ、ええと…… クラスメイトとしてですね! その……」

「お父さんがそんな重々しい態度だから玄ちゃん答え辛いでしょ? それにいろいろお世話になってるのは私の方だしさ」

「…… 聞けば美子が家出をした時も一緒に居たそうだね?」



げげッ…… 美子め、余計な事まで話してるんじゃねぇか。



「それはたまたま…… 偶然居合わせたというか成り行きで」

「そうだよ、玄ちゃんは落ち込んでた私の事手取り足取り慰めてくれてただけなんだから」

「な、何ぃ〜ッ!?」

「お、おい!! なんでそういう変な表現の仕方をッ」

「あらまぁ」



それから数分美子のお母さんに宥められながらお父さんはようやく冷静になった。



「ふ、ふぅ。 まぁ変な事はしていないようだね、とりあえず安心したよ」

「ごめんなさいね玄君、美子が男子連れてくるのなんて幼稚園児の頃以来だからこの人も気が気じゃなかったのよ。 お父さん美子バカだからね」

「ちょっと母さん、美子の友達の前で威厳崩れるからやめてくれない? あー玄君、美子が呼んだ以上は仕方ないがクリスマスだからと言ってハメを外しすぎないように! 遥ちゃんは楽しんでってくれ」

「はぁ……」

「はい……」



俺と遥の温度差よ……



「じゃあ部屋に行こっか玄ちゃん遥ちゃん」

「な、なんだと!! ここではなく美子の部屋に直接上がらせる気か!? それになんだ美子の格好は! これ見よがしにお洒落なんかして…… ま、まさか!」

「お父さん、私から言わせてもらうと美子のお友達の前でどれだけ醜態晒す気?」

「ぐッ…… ぬぬぬッ」



うわあぁ…… 後ろから刺すような視線を感じる、やっぱり俺来ない方が良かったんじゃね? 



「ほら行こう玄ちゃん」

「あ、ああ」



階段を登っている最中何気なく前に居る美子に視線が行きそうになると目の前が真っ暗になった。 



な、なんだ!? ていうか冷たッ!! これ手だよな? 俺の後ろからって事は遥か?



「上見ちゃダメ……」

「へ?」



なんで? と思えば美子は結構短めのスカート履いてた。 まさか見えてるのか!? 普通に考えればウッホホーイ!な展開だけど美子のお父さんの事もあるからな。 しかしこれじゃあ前に進めない……



「何してるの2人とも?」

「ふえ!? これは玄君がええとそのッ」

「ん? 玄君?」



美子がこちらに降りてくる音が聴こえると遥がパッと目隠しを取ると目の前に美子の顔が……



「そっか! うんうん、そっか!」

「え?」



美子はニッコリ笑い「早く行こうよ」と俺達に言って階段を登って行った。



あ、 パンツ見えたわ。 ピンクだった……





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