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その18


その後亮介と一緒に店に行き俺はゲームソフトを買ったのでそのまま帰ったがあいつは本気で告白するつもりなんだろうか? マジっぽかったけど。



にしてもそれで俺が行った時には雰囲気ぶち壊れてて美子がお通夜モードになってないといいんだが……



そして夕方になり俺は公園に行くとブランコに座っている宮野の姿があった。 



「あッ…… こんばんは」

「早いな宮野、こんな寒いのにいつから来てたんだ?」

「さっき着いたばかりだから」

「そっか」



俺は隣のブランコに腰を落とした。 



なんか周りもシーンとしているし宮野も黙ってるしちょっと気不味い。 



「美子の奴そろそろ来るかな?」

「あ、うん。 どうだろう?」

「…………」

「…………」



いや俺の引き出し少なすぎだろ! ええと他に何かないか? なんかもっと最近のトレンド的な話題は……



「普段宮野って家では何してるんだ?」



絞り出したが全然トレンドじゃねぇわな。



「え? ええと、本読んだりとかお勉強とかTV観たり…… ごめんなさい」

「なんで謝るんだ?」

「つまんないかなって…… 」

「いやいや、そんな事ないさ。 一人っ子だっけ?」

「うん、だからお姉さん居る玄君ってちょっと羨ましいかも。 な、なんて!」

「居たら居たでウザいけどな」

「玄君は普段何してるの?」

「俺こそつまんねぇよ、ゲームとか漫画読んだりTV観たり宮野とそんな変わんないだろ?」

「じゃ、じゃあ私の話ってやっぱりつまらなかったって事?」



し、しまった、誤爆った……



「玄君」

「え?」

「あ、あのね相談があるんだけど」



宮野は申し訳なさそうに俺を見た。 話題がないよりは相談でもあった方がいいか。



「俺に相談? 俺でいいなら聞くけど」

「実はこんな事なさ過ぎてそれと緊張し過ぎて私何も用意出来なかったの」

「用意? …… あッ!」



俺もその言葉でハッとした。 こういうイベントってもしかしたら何かプレゼント交換的な事が起こるかもしれない、それに女子はそういうの好きそうだ。



「やべぇ、俺も何もないわ。 どうしよ宮野……」

「玄君も? もし私達が何もないってわかったら美子ちゃんガッカリしちゃうかな?」

「だっていきなり言われたしなぁ。 女にプレゼントなんて何あげたらいいかわかんないし俺にはハードル高いや」

「ええと…… 玄君が選んでくれた物ならなんでもいいと思う」

「へ?」

「あ!! 私、私の場合はだからよくわかんないけど美子ちゃんならそうだと思うなって。 凄く綺麗で優しくてちょっぴり天然だけど同じ女の子の私から見ても美子ちゃんってとってもいい子だなって……」

「それを言うなら宮野もだろ?」

「私が?」

「だって宮野って学校とかでも掃除とかみんなが気に掛けないようなとこによく目が行くしゴミ出しだってこまめにやってくれてたろ? 日直の時とかも黒板綺麗にしておくしやる事ちゃんと真面目にこなしてるじゃん」

「玄君見てたの?」



やべ…… ジロジロ見てると思われた? 俺本当に誤爆ってるな。 でもそんな風にやってくれてたらどこかで目には留まるって。



「見てたというかなんていうか目に入ったっていうか。 とにかく宮野だって自分で気が付かないだけでいいとこあるって事だからさ」

「そ、そうかな? 私はそんな事くらしいか出来ないから」

「そんな事くらいもやらない奴らよりよっぽど偉いよ、俺も出来てないしいい奥さんになれそうだな宮野は」

「お、奥さん」



宮野が急に斜め下を向いてクネクネとし出した。 奥さんはマズかったか……



「そ、そんな。 …… あのね玄君…… 私も………… 」

「何?」

「遥、遥でいい。 遥って呼んで欲しい、せっかくお友達だし」

「あ、そうか。 わかったよ遥」

「えへへ、なんか変」

「やっぱ変か? やめとく?」

「ううん! そういう変じゃなくて…… やめないで」



さっきの気不味さが嘘みたいに自然に話せるようになった頃、遠くから美子らしき姿が見えた。



「あ、玄ちゃん遥ちゃん!!」

「結構遅かったな」

「そ、それはですね……」



美子は俺に何か言い辛い事があるようで言葉を濁す。 なんとなくわかるような気がした、だって昼間に亮介から聞いてたから。



「何かあったのか?」

「じ、実は…… 怒らないで聞いてくれる?」

「うん? 怒らないけど」

「篠田君にね、告白されちゃったの」

「ええッ!?」



物静かな宮野…… じゃなくて遥が声をあげた。



「それでね、断っちゃったの…… ごめん玄ちゃん!!」

「なんで俺に謝るんだ?」

「だって篠田君は玄ちゃんの親友でその親友を傷付けたかもしれなくて…… だからごめん!!」



あー、美子に告白しちまったのかぁ〜、そして玉砕とは。 速水と木村はどうなったんだろう?



「それだけ?」

「そ、それだけ!? 篠田君の一世一代の告白なのにそれだけって……」



一世一代って…… 結構軽い気持ちの告白だと思うぞ、3人考えてる時点で。



「あ、ごめん、言い方悪かった。 他に何かなかったか?」

「実はそれだけじゃなくて篠田君私だけじゃなくて琴音と葎花にも告白してたみたいで」

「す、凄い篠田君……」



確かに凄いけどゲスなやり方だからな! どうなったか聞くのは怖いが友の骨を拾う意味で聞いてみよう。



「それでどうなったんだ?」

「琴音がそれを知って最低って怒っちゃったんだけど篠田君が反省して凄い勢いで謝ってたら琴音が呆れて葎花が面白かったから許してあげるってなってそれからはワイワイしてたんだけど…… 怒ってたりしないかな?」

「美子に対して? そりゃないだろ、元は亮介が原因だしそれなのに美子がそんなに気にしてるなんてあいつからしたら仏の対応だろ」

「こ、これが原因で絶交なんてしないでね!?」

「しないって」

「ホッ…… 良かった。 じゃあ2人とも私の家に行こっか?」

「俺も行っていいの?」

「玄ちゃん行けないなら誘わないって。 大丈夫だよ、うちの親なら多分」



多分ってなんだよ? 不安になるからやめてくれよ。




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