その15
図書館へ着くと端っこの方にちょうどいいテーブルがあったので俺達はそこへ座った。
「ナオちゃん、これから私達お勉強するの、だから静かにしてなきゃダメだよ?」
「ええー? ゲーム持ってくれば良かったー!」
いや、だったらなんで連れて来たし? こうなるのは予想出来るだろ?
直也は美子と本棚の方へ行き数分経つと本を数冊持って戻って来た。 恐竜図鑑や昆虫図鑑、まぁ直也が観るものだろう。
「姉ちゃんこれティガレックス!」
「わぁー、怖い顔してるねぇ」
ティガレックス違うだろ! それは狩りゲーに出て来る方だし。
「あとこれはねぇ…… グレート・モス!」
「うんうん、カラフルだねぇ。 ところでさっきからナオちゃんが言う名前と図鑑の名前が一致してないよ?」
「………… なあ宮野、お前って高校どこに行くんだ、もう決まってるんだろ?」
「え? えーと…… 玄君はどこ行くの?」
質問を質問で返されてしまった、まぁ俺から聞いたんだし。
「俺は四葉高校だけど」
「へ、へぇ〜、そうなんだ。 私もなの、近いから」
「宮野もか。 じゃあ一緒だな」
「ふあッ…… うん」
「え! 遥ちゃんも!!」
俺の真正面に座っていた美子は宮野に顔がくっつきそうになるほどに前のめりになって言った。 ”も”ってなんだ? てことはまさか……
「美子は?」
「実はねぇ……」
「秘密なんだろ?」
「うぐッ…… そんな事言ったっけ? じゃーん!! なんとネタバレ! 私も実は四葉高校なんです!」
「美子ちゃんも?」
「リアクションで大体予想出来た」
そんな時周囲からジロっと見られる。 そう、美子がうるさいからだ。 ここの図書館って結構そういうとこ厳しいんだよな。
「み、美子ちゃん、声のボリュームもうちょっと下げた方が……」
「え? あ……」
そう言われ周りを見て察したのか静かに座り直した。 そして小さく咳払いして直也にシーッと人差し指を立てる。 お前だろがいッ!
「姉ちゃんあれ……」
「ふひゃあッ!」
直也が美子の耳元で何か言うと美子は変な声をあげた。 だからボリューム下げろって。
「げ、玄ちゃん遥ちゃん」
持っていた鞄をゴソゴソさせ袋を取り出し俺達の目の前に置いた。
「これは?」
「開けてみて?」
少し照れながらニコッと笑う美子を尻目に袋を開けると……
「あ……」
「これは……」
「えへへ」
俺と宮野は固まってしまった。 中には手作りっぽいクッキーが入っていた。
「私食べるの好きでたまには作ってみたいなぁって思ってこの前作ってみたらこれがなかなか結構なお手前に出来ちゃって。 さあ、遠慮せずどうぞ!」
その言葉にまたしても俺と宮野は固まる。 美子には見えていないのだろうか? すぐ横を向けば本棚にデカデカと張り紙してある飲食厳禁の張り紙が……
「………… え!? も、もしかして2人ともまさかのクッキー嫌い?」
美子は顔を∑(゜Д゜)にさせて俺達を見た。
「いや、そういう事じゃないぞ…… 左側向いてみろ」
「え? 左はナオちゃん」
「コントか!? 逆だ!」
「へ? …… 飲食厳禁。 ええーッ!」
またもデカい声を出すので周囲の視線が美子に釘付けになる。
「み、美子ちゃん!」
「はッ! はぁ〜〜ッ!」
ハッとした美子はそのままテーブルに突っ伏した。
「姉ちゃんドンマイ」
「ふふッ……」
俺の隣に居た宮野は笑いを堪えているが声が漏れている。
「ご、ごめん…… なさい、でもやっぱり美子ちゃんって面白くて。 ふふふッ」
なんか美子と居ると宮野はよく笑うな。 学校じゃこんな風に宮野が笑う事って見た事ないし。
「でもクッキー凄く美味しそうだよ! ね? 玄君」
「あ、ああ」
「ほんと? ありがとう遥ちゃん。 みんなで後で食べようね」
テーブルの上に置いたクッキーを下げると宮野の前に勉強道具が置かれた、そうだ、勉強しに来たんだった。 美子のせいでぶっ飛んでしまったぜ。
美子の方を見ればこいつもそうだったと言わんばかりに教科書や何やらを取り出した。
「宮野って結構成績いいのか?」
「ええと…… そんなに」
「そういう玄ちゃんは?」
「俺は160人中78位だったから俺もそんなにって感じだな」
「ふ、ふぅーん…… ほッ」
「なんだその反応? 美子は?」
「遥ちゃんは?」
「おい」
結局答えたのは俺だけかよ!!




