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その13


あれから数日本格的に冬休みに入り俺は休みを満喫していた。



「また来てる……」



遅めに起きた昼前、携帯をふと見れば美子からメッセージが何件か来ていた。 交換した時からちょくちょくと美子は俺にメッセージをくれた。



こちらが既読して律儀に返事を返しているからだろうけど日常の何気ない会話程度なのだけど俺とのやり取りは退屈しないだろうか? などと思っていると写真付きで返事が来た。



どうやら弟とお昼を作っていて一緒に作っている光景が写真には写っていた。



ほーんと、仲良いな。 ところで美子とはこうして普通にやり取りしているが勉強しようって言ってきた宮野は俺の連絡先わかんないよな? まさかこのまま企画倒れするのではと思いそれとなく美子に聞いてみた。 そしてすぐに電話が鳴った。



げ…… メッセージでやってたのにいきなり電話きてしまった。 



『はい』

『私! 私だよ!』

『いやわかるよ。 つーかなんだ?』



どこぞのオレオレ詐欺みたいだなこいつは。



『遥ちゃんから連絡来てない? 私カラオケの時のトイレで遥ちゃんの連絡先聞いてて玄ちゃんの連絡先も教えてもらってそのまま遥ちゃんにも教えたんだよね』

『そうなの? 聞いてないぞそれ』

『言ってませんでした、ごめーん!』

『まぁそれはいいか、俺も聞かないでしまったし』

『んー、じゃあ私が遥ちゃんにいつにするか聞いてみよっか?』

『そっちのが早そうだしそれで頼むわ、じゃあな』

『え!? ちょッ』



なんか美子がまだ話す事あったようなのに電話を切ってしまった。 とりあえずメッセージで謝り返事が来る前に下から母さんがお昼と叫んでいるので携帯を置いてリビングの方へ行った。



昼飯を食べ終え部屋に戻って来て携帯を確認してみると既読は付いているが返信が来ていない。 流石に怒っちゃったかなと思い直接電話をして謝ってついでにさっき言い掛けた事はなんだったのかと思ったので聞いてみよう。



今度は俺から電話を掛けると通話に出た。 出たのだが反応がない、反応はないが周りから声が聴こえる。



『ほら姉ちゃん! ドンと来い!!』

『う…… うぅ、私が…… 私が丹精込めて作りました!! だから食べに来て下さい!………… どうかな?』

『なんかそう言われると行きにくい』

『や、やっぱり? じゃあ安心して、変な物は入ってないよ!』

『逆に変な物が入ってるんじゃないかと思う』

『ええ!? な、なら…… ほら! この通り食べてもピンピンしてるよ! だから安心だね!』

『今のと何も変わってないじゃん!』

『あーん! ナオちゃん厳し過ぎるよぉー!』

『姉ちゃんの言い方が変なんだよ!』



なんだ…… この茶番は? そしてこれを俺に聴かせてなんの意味が?? 



『なんなら俺が玄兄ちゃん誘う? 姉ちゃんさっきからいろいろと酷いもん、その代わり学校の宿題やってね!』

『ほんと!? ナオちゃんなんて姉思いな良い子なんだろう!』

『うわッ、姉ちゃん息出来ない!』

『うん? う…… ん??』

『姉ちゃんどうしたの?』

『こ、これ…… ナオちゃんこれ通話中になって…… なんで?』

『え? あー、なんか震えてるなって思って触った時かな?』

『きゃああああッ!!』

『び、びっくりするじゃん!』

『ど、どうしたの美子!?』

『あわあわあわ…… な、なんでもない、とにかくなんでもないったらなんでもないの! 今のは全部忘れてー!!』



そこでブチッと通話が切れた、最後の方は美子の母さんらしき人の声まで聴こえたけど……



忘れてって明らかに俺に向けて言ってたけどなかなか忘れられそうにもない。 なんか作って俺の事誘ってくれようとしたのかな? 



普通に言えばいいのにと思ったが俺がもし同じ立場だったとして考えたら凄くドギマギしてしまうかもしれない、だってもしそんなとこクラスの誰かに見られたとしたら?



絶対ネタにされるだろ…… それ以前にそんな事したら美子に何故? と思われるかも。 いや、あいつの事ならもっと斜め上か下に捉えるかもしれないが。



てか聞いちゃいけないような事を聞いた気がするので気不味いな。 仕方ないのでゲームでもして忘れよう。



ゲーム機を持ってベッドに転がる、TVでプレイするゲーム機よりも携帯型のゲーム機の方がお手軽だ、いちいち起き上がって消すのもゴロゴロしてるとしんどいがこれだとどのタイミングでも寝れる。



ほら…… 昼飯も食べた後だから眠くなってきた、やべぇ今日こそ勉強しようと思ってたのに。 まぁいい、冬休みは始まったばかりだ。





「いてッ!」

「グータラしてだらしないわねぇ」

「いきなり何すんだよ!? てか勝手に俺の部屋に入るなっていつも言ってるだろ!」

「あー、私もあんたがナニしてないかっていつも入る時はドキドキよ」

「だったら来るなよ!」

「だってあんたの着信うるさいのよ、ずーっと鳴ってたわよ?」

「着信?」



あ、本当だ。 美子から着信が入ってる、俺から掛けてまた変な場面で取ったら失礼かもしれない。 つーか普通そんな心配する奴いるか? 



「うふふ、意味深に見つめちゃって彼女? 例のあの子?」

「いや、そんなんじゃねぇしそれに宮野は友達だっての!」

「それはそれは。 んー、七瀬美子? わお! 違う子じゃーん!! あんたにあの子以外の女友達なんて居たんだ!? ママァー!!」

「ちょ待てよ!」



急に姉貴が飛び出して行くもんだから某アイドルみたいなセリフになってしまった……



すると電話がまた掛かってきた、やはり美子から。



『はい』

『やっと出たぁー、私だよ!』

『知ってる。 何?』

『えーと…… さっきのは忘れたよね?』

『お前が言うから今思い出した』

『い、意地悪!!…… それでね、遥ちゃんに連絡したら明後日なんてどうかなって』

『大丈夫だと思う』

『わかった、そう言っておくね。 それとさっきのは忘れてね? さっきのは忘れてね?』

『なんで2回言った?』

『いいの! じゃあバイバイ』



切られた。 明後日か……


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