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その10


美子がトイレに行って速水はそれを見送ると俺の方を向いた。



「いいの? 行っちゃったけど?」

「え?」



速水はジト〜ッと俺を見て言った。



「美子と遥。 由比ヶ浜を誘ったのは美子だし遥も由比ヶ浜が居たから来たようなもんじゃないの」

「一応アタシらも気を遣ったけど逆効果だったかなぁ〜? なんせ美子が遊ぶのに男子誘うの初めてだったからねー。 美子はあの通りズレてるとこあるからよくわかんないけどさ」

「そうなの? 俺らが初めてだってよ玄」

「いや、由比ヶ浜はともかく篠田はついででしょ。 ねぇ葎花?」

「ねぇー」

「ちくしょー!!」

「とにかく由比ヶ浜も行ってみれば?」



速水に背中を押されて部屋から追い出された。 けどなぁ……



トイレの方へ向かうと美子と宮野は居なかった。 当たり前か、トイレの中に居るんだろうからな、入っても行けないし。 



仕方がないので俺は男子トイレに入りゆっくりとクルッと回ってそのまま出る、外へ出るとまだ居ないので往復4回。 何やってんだ俺?



最後にトイレを出ると2人もちょうど出たところなのかバッタリと会う。



「あ、玄ちゃん」

「お、おう」

「玄ちゃんもトイレ?」

「そりゃトイレに来てたらトイレだろ」

「あはッ、そうだよね」

「宮野は……」



宮野に視線を向けると美子の横にサッと隠れた。



「あれ? 遥ちゃんほら! 玄ちゃん、私達すっかり仲直りしたの」

「ええッ!? け、喧嘩はしてない」

「え!? じゃあ喧嘩はしてないから仲直りはしてないよ! …… じゃなかった、この通り私達ピンピンしてるよ! ん…… 違うなぁ、元鞘に収まった? ううん、なんかそれも違うような」

「そ、そうか……」

「ううッ……」

「は、遥ちゃん!?」



急に宮野がその場でお腹を押さえて蹲ってしまった。 心配して美子と俺は宮野を覗き込むが……



「遥ちゃん笑ってる?」

「ご、ごめんなさい! 七瀬さんが想像してたよりずっとへ…… 面白い人なんだなって思っちゃって」



今絶対変って言い掛けて咄嗟に言い直したよな宮野の奴。 気持ちはわかるが。



「面白い? えへへ、ありがと」

「あの…… 私こういう場って全然慣れてなくてみんなの前で歌うとかも凄く恥ずかしくて。 だから七瀬さんに歌勧められて………… 謝らないと。 私…… そ、それがい…… い……」

「ごめんなさい!」

「へ?」

「一緒に歌いたかったんだ遥ちゃんと」

「私…… と? でも私みたいなのと」

「あのさ宮野、美子は変な言い回しだからややこしいんだけどさ、こいつはもうお前の事友達だと思ってるよ。 自分みたいな奴とか思ってるようだけど美子ってそういうのお前が思ってるより…… ていうかまったく気にしてないよ。 ………… 多分」



思わず美子の言いたそうな事を代弁してしまったのだけど全然見当外れな事言ってたりして? と恐る恐る美子を見るとポカンとした顔をしていた。 ミスったか!?



「玄ちゃん……」

「は、はい……」

「凄くわかりやすかった! ありがとう、そういう事なの遥ちゃん」



パァアアッとした笑顔で美子は言った。 良かった、合ってたか。



「私が七瀬さんの友達……」

「七瀬じゃなくて美子でいいよ? ね、呼んでみて?」

「美…… 美子さん?」

「”さん”もいらないよ」

「美子…… ちゃん?」

「はい!」



恐縮したように呼んだ宮野に美子は元気に応えてギュッと手を握った。 



「よろしくね! 遥ちゃん」

「よよよッ…… よよッろしく……」



噛みすぎだろ……



「ねぇー! だから私達3人もう仲良しこよしだよね!」

「え?」

「あ!」



美子は真ん中に立ち宮野の手を繋ぎ直して俺の手を取り宮野の手を握らせ輪になった。 なんだこれ…… てか年頃になって女子とこんな感じで手を繋いだのなんていつぞやフォークダンスとかやった時以来だ。 いつぞやのトラックの時は例外として。



「遥ちゃん顔真っ赤」

「ひあッ! な、なんだか恥ずかしくて」

「ん?」



美子は俺と繋いだ手を見ると途端に顔がパニクッていた。



「あわわわッ!」



俺から手を離し宮野に繋がせていた俺の手を離して両手で宮野の手を掴んだ。



こいつ…… やっぱ無意識でやってたのか。 そんなに2人にアタフタされるとこっちもめちゃくちゃ恥ずかしくなってくる。



「とりあえず私達はお友達って事で」

「は、はい」

「ああ……」



部屋に戻ると俺達が部屋から出ていた時間が長かったのか速水と木村に睨まれた。 お前らが行けって言ったん

だろうが……






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