第四章 初めての旅
まだまだ(^▽^)/なえー段階かも・・・
「うわっ!!まぶしい!!」
開かれた扉の向こう側の太陽が二人を照らした。
しばらくしてまわりをみるとそこは公園の中だった。
「ここって・・・」なおみには見覚えのある場所だった。
「つか・・・ジャージの人が沢山いるよ!!!白、オレンジ、青、黄色、緑・・・
げ!!!バッタみたいなのもいるし・・・きもいよっ・・・鳥肌が・・・」
人間と同じ数のジーザスがいた。
「せや。うじゃうじゃおるんや。もー人込みとかなってきたら自分の担当の人間追いかけるん
どんだけ大変かわかるやろ。」
「すごすぎる。・・・神様たちも大変ね。見えないって・・・怖っ・・・
あれ?そういえば私・・・他のジーザスもみえるんだ・・・そういえば・・・なんで?」
「あー、お前はここに本来存在せんからな。見えへんのは自分が生きてる現生だけや。」
「じゃあ、もしも今、元の世界に戻ってもセイビアだけなの?私が見えるのは?」
「そうやな、そういうことになる。」
ここは私が住んでいた家の近所の公園だ。遊具がまだ新しい・・・
「あ、お母さんだ!」なおみは若い自分の母親をみつけた。
母親は手招きしていた。
「なおちゃん!こっちこっち!!」
なおみは母親のほうへ楽しそうによちよちと歩いていく小さな子供を見つけた。
「もしかして・・・」なおみがいった。
「せや。1歳になる前のなおみ・・・お前や。」
「これが私の最初の不幸ってこと??」
「人間ゆーもんはな、だいたい3歳までに性格が決まってくるんや。
今からそのきっかけになることが起こるはずやからモントルがすぐ知らせてくれるやろ。」
「きっかけ・・・?」
「まあ、みといてみ」
「うん」
そして
過去の小さな、なおみがつまづいて転んでしまった。
ピーピーピー!!!!!!!
セイビアの腕につけたモントルが赤く点滅しアラームをならせた。
「ほらモントルが叫んどるな。ここや!」セイビアが言った。
0歳のなおみが泣いている。
「うううぇーーーーん!!!」
「あー大丈夫、大丈夫痛くないよー。」
なおみの母親がすぐになおみを起こしにきた。
その姿を見てなおみは言った。
「え??どういうこと!これがそうなの??なんで??」
「モントル!」セイビアはモントルに向かって叫んだ。
「了解です。三日後に設定しました。」
「うわっーーー!!!!」
モントルから鋭い光が放たれ、なおみは目をつぶった。
二人のいたその場所の風景は変わり、そこはなおみの自宅近くの歩道だった。
手をつないで母親と歩く幼いなおみがいた。
たまたま母親の手が離れたなおみは、よちよちと歩き出すが、転んでしまった。
泣いたまま立ち上がろうとしない自分を見たなおみは思わず言った。
「もう!早く立ちなさい!何をしているの!?お母さんが起こしてくれるの待ってるの!?」
なおみはイライラしながら幼い自分を見ていた。
「どういうことかわかるか?なおみ。」セイビアは言った。
「どういうことかって?」
「一見大した事やないように見えるこの普通の親子の光景は、なおみの将来を左右するかなり
重要な出来事が起こっとる。」
「重要な?」
「そうや。最初に母親がお前を起こした時に幼いながら自分の力で物事を成し遂げる
言うことを放棄しはじめたんや。」
「たったこんな事が?」
なおみはこの時セイビアの言葉を聞き子供の頃から今までの自分の行動を思い出していた。
そしてセイビアが続けた。
「人間ちゅーもんはそういうもんなんや。伊達に何年もセイビアやっとるん
ちゃうんや。自分の胸に手をあててよー考えてみ。
母親が行かせた習い事も心のどっかではやめたいのに親に逆らうゆーこともせんかった。
幼稚園のときも母親が目の前に連れてきてくれんかったら、
友達すら作れんかったんとちがうか?いつもなにかあったら親が助けてくれる。
だからずっと親に逆らえんかったんや。いや逆らわんかったんや。」
その言葉はなおみの心を突き刺した。
「どうして解っちゃうの??もしかして??」
なおみはセイビアの目をじっとみた。
「いやいやちゃうちゃう!!」
セイビアは焦ったように答えた。
「絶対にちゃうて!!別に心が読めるわけちゃう!お前の過去を一応・・・
全部見てきただけや。それにこれでも神様や、一応・・・
だいたい、わいの経験から・・・せや!一応・・・想像がつくんや!」
「そ・・・そうなの?・・・そっか。そうよね!よかった!心の中の声が聞こえて
るのかと思ったじゃない!」
なおみはホッとした。
「ははは。それはない。ちゅーか、そんなに心の声が聞こえてみー、むちゃくちゃ
うるさすぎるやろ。」
はー危ない危ない・・・心が読めるんばれたらあとあとめんどくさいからな・・・
セイビアはなんとかごまかした。
「あはは・・・なんかセイビアって神様らしくないよね・・・」
なおみは笑った。
「そっか?まあそうかもな。ジーザスも、もともと人間やからな。」
「え?そうなの?」
「せや。前世は人間や。」
「へー人間だったんだー」なおみは今まで思い描いていた神様とは全く違うセイビアの
話し方や行動を納得できた。
「さっき言ってたあなたの名前は・・・たしか・・・」
「あーリョウ・カイト・セイビアや。」
「あ・・・そうだったね。」
「わいの本来の名前はリョウ。カイトはわいの師匠の名前や。ここにはセイビアは
ぎょうさんおるからこれからはリョウってよんでくれたらえー。」
「あ、うん。じゃあリョウ。私はさっきの所に戻って、もしお母さんが来るよりも
先に自分で起き上がれば過去を変えれるって事なんだよね?」なおみはリョウに聞いた。
「お、飲み込み早いやないか!!すばらしい!!出来るか?」
「うん!!これで変われるのなら!がんばってみる!」
「よっしゃー!ほな時間戻すで!モントル!時間をさっきの場所へ!」
セイビアはモントルに向かって叫んだ。
「了解しました。」モントルが答えた。
そして――――――――
風景は公園にへ戻った。
「よし!ほな用意はええか!」リョウはなおみの背中を勢いよく押そうとした。
「ちょっとまって!リョウ!小さい私の横にいるあのオレンジ・・・邪魔だよ?」
「あー、えーんや。無視無視!!お前が入ったらわいから話しつけとくから。」
「わかった!じゃあ行ってくる!」
「おう!ほな行け!!」
リョウはなおみの背中を押した。
「きゃーーーー!!」
自分の体に吸い込まれたなおみは母親の方へ歩いて行こうとした。
なにこれ!重っ!!足重っ!!おまけに地面がすごく近い!!あーなんかうまく
歩けないよ・・・体のバランスが・・・よいしょよいしょ・・・あっ!
なおみは転んで、顔面をすりむいた。
痛あー・・・あー・・・なるほどねー小さな子がよく転ぶわけが解ったわ・・・
そのときだった。なおみの母親がかけよってきた。
あ!!やばい!!早く・・・早く起き上がらなきゃ!!なおみ!!立て!!早く!!
お母さんが来る前に!!あ!!間に合わない!!早く!!
幼いなおみはゆっくりと立ち上がった。
「うわーなおちゃん!自分でおっき出来たのね!!えらいえらい!!」
近づいてきた母親は両手を叩いてなおみをほめた。
よかった!間に合った・・・!!
なおみは心で叫んだ。そしてリョウの方を見た。
リョウも優しくなおみを見て微笑んでいた。
「よし!なおみ!出てこい!」リョウは叫んだ。
「どうやって?」
「目を閉じたらええ!」
「あ、うん。」
なおみはリョウに言われた通り目を閉じた―――――
「もうええで。」
近くにリョウの声が聞こえてなおみは目を開けた。
ピーーーーーー。
リョウの腕のモントルは白く点滅していた。
「その点滅は?」なおみはリョウに聞いた。
「よし!成功や!!白く点滅したらオッケーってことや!なおみ!よー頑張った!」
「うん・・・なんか・・・ありがと・・・リョウ。」
「ああ。神様としてとーぜんの事しただけや。まだまだ先は長いからな!よし!次いこか!」
「えー!!次って??次があるの??」
「あたりまえや!そんな簡単に終わるわけないやろ!」
「・・・そうなの。」
「そらここで終わるのは自由やで。今回はうまくいったからな。でもな、
過去のいろんな場所に行って変えなあかん所はいくつかある。次第にお前の現生の状態も変わっていくはずや。」
「そっか!わかりました。よろしくお願いします!」
「よし!ほなパンデュルの所に戻るで!」
「あ、はいっ!神様!!」
「お?なんか笑顔になってきたやないか!」
「うん!」なおみは少し楽しく感じた。
リョウは優しく笑った。
「ねえリョウ・・・ひとつわからないんだけど・・・」
「ん?なんや?」
「私は自分の意志を持ってここにいるけど、ほかの人は眠っている間に連れてくるん
でしょ?そのあとどうやって自分の過去を変えるの?」
「いや、普通に起こして指示するだけや。都合のえーことに人間ちゅーんは夢ゆーもんを
見るからな。ジーザスが記憶を消すだけや。よーおるやろ、私夢って見ないのーとか、
起きた瞬間に忘れるやつ。あいつらはわいみたいにタイムスリップ型のジーザスが
ついてるんや。」
「あーなるほどね納得。」
リョウはモントルを操作していた。
「なおみ・・・さっきの振り子時計の部屋番覚えてるか?」
「うん。ドアに10って書いてたけど。」
「10か・・・モントルを10にセットして・・・と・・・」
リョウはなおみの手をとり、また時空をつなぐあの薄暗い振り子時計パンデュルの
部屋へと向かった。