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セイビア  作者: うきみ
3/18

第三章 時空を繋ぐ部屋

部屋の中で一人になったなおみはとても寂しくなった。


あんなに沢山喋ったの1年ぶりだった・・・あのバッタは本当にまたここに帰って

くるのかな。それとも夢だった?


なおみはもう一度自分の手の臭いを嗅いでみた。


「げ!臭っ!夢じゃない夢なんかじゃないよ!こんな臭いの!手を洗わなきゃ耐えられ

ないわっ!!」


ガチャ。


なおみは部屋を出た。


「あら、なおみ。ご飯出来たわよ」なおみの好きなオムライスの入ったお盆を持った母が

言った。

「うん。そこに置いておいて。ちょっと手を洗ってくる。」

なおみは母親の顔は見ずに答えた。

「あ、じゃあここに置いておくわね。」そう言って寂しそうになおみの後から階段をおりて

いった。


わたしの好きなものしか作らないのね。去年まではいつも大嫌いな野菜がたくさん入ったもの

ばかりだったのに・・・


ガチャ。


部屋に戻りオムライスを一口ずつ口に運んだ。

昔はもっと美味しく感じたのに・・・何食べても同じ味・・・


なおみはスプーンをおいた。

ベッドに横になり、さっきのセイビアのことを考えた。

1日経てばまた来るのよね。眠ったら次の日になってるかな。それとも本当はこれも全部夢で

つまらない明日になっちゃうのかな。


なおみは目を閉じた。

      ・

      ・

      ・

      ・

「おい!そろそろ起きたら?」


なおみは飛び起きた。


あの声だ!!あの変な大阪弁のバッタの声!・・・


なおみは目をぱちぱちとさせた。



「きゃー!!泥棒!!」

近くにあった虫取り網をすばやく取り、構えた。

「泥棒て!!人聞きわるい!つかもーえーて!虫取り網は!!」

なおみは頭が混乱した。

目の前にいたのは、緑色のジャージを着た、それはまるで人間だった。



「わいや!セイビアや!!」

「えっ??」なおみは動きを止めた。

「セイビア??」聞き覚えのある声ではあったがあの化け物とはまるでちがう姿だった。

「せや!ゆっくりさせてもらったで!!きれーに洗ろてきたった。」

「うそ!何?どういうこと?」

気持ち悪いバッタと同じ声をした青年を目の前に訳がわからなくなっていた。

「いや、せやから、ゆーたやん!男前になって帰ってくるて。」

スラリとした少し色黒の青年は黒髪をかきあげながら言った。

「何?じゃあ1500年お風呂に入らないとバッタになっちゃうって事?どっちが

本当の姿なの?」

「そんなもん知らんわ。ひよこと、にわとりどっちが先か?って聞いてるんと一緒やわ」

セイビアは答えた。

「でもほんとに昨日のバッタ?信じられない。」

「あまりに男前やからときめいたか?」セイビアはなおみに顔を近づけた。

そのときだった。

なおみの記憶の中にセイビアの目から涙があふれている光景がうかんだ。

「どないしたんや?惚れてもたか?」

「ううん・・・そうじゃなくて、今、何か古い記憶を思い出したような気がして・・・」

「古い記憶?昔好きやった男か?」

「ちがう。よくわからないけどデジャブかな。」

「ふーん」セイビアは気にはならなかった。


「でもさ、何なのそのお風呂どこにあるの?」

「あー地獄の中や。」

「地獄??ほんとにあるんだ!でもなんで地獄??」

「そらー極悪人が風呂掃除するんや。」

「は??何それ」なおみはまたその話を聞いて少し気持ちが楽しくなってきた。

「なんぼ地獄に行ったやつでも反省して努力しとるやつがほとんどや。

大救世主は毎日その風呂に入るんやけど、その地獄の中から人間に戻すやつを選ぶんや。」

「え?じゃあ大救世主ってみんなイケメンなの?」

「ん?」

「お風呂に入ればイケメンになれるなんて、女性はいるの?あたしも入りたいわね。」

「入るか?500度やけど。」

「そんなに??」

「ん??風呂入ったらイケメン言うたか??それはわいがイケメンやて認めてる

 ゆーことやな??」

セイビアはニヤリとした。

「え?・・・うん・・・イケメンだと思うよ・・・」

「はは。なんや正直やなあんた。」

「あ、うん。だからこうなったんだけどね。」

なおみはそう言いながら嫌な記憶を思い出していた。


「なんか色々あったみたいやなあ。あんた。」

「うん。つかあんたって呼ぶのやめてよね。なおみっていう名前があるんだし・・・

 神様のくせに口が悪いよ。」

なおみは昔、自分をいじめた子にもそう呼ばれていた事を思いだした。

「あーそうか悪かったなあ。なおみ。」

「うん。」


セイビアは少し沈んだなおみの顔を見ながらいった。

「よし!ほな!行こか!!」

「何処に?」

「せやな-まずはだいぶ昔にいく!」

そういうとセイビアはベッドの上の白い天井に向かって両手をかざした。

すると天井の中からグレーの霧のようなものが出てきて、丸い大きな穴があいた。

「何これ?!」なおみは叫んだ。

「時空の狭間にある部屋に通じる道や。ほら!行くで!」

セイビアは、なおみの手をとりその中へと連れていった。


その穴の中はまるで嵐のような強い風が吹いていた。二人は少し離れた所に白い扉を

みつけた。

「あのドアの所まで行くで!ちょっと風きついけど耐えろ!」セイビアは叫びながらなおみに言った。

「う、うんっ。」

10と書かれた扉の前に二人はたどり着きセイビアがノブに手をかけた。



ぎいーーーー



そして静かにドアを開けた。



中は小さな部屋が一つだけあった。

外の嵐がうそのようにその部屋は静まり返っていた。薄暗く部屋の中には何もない様子

だった。


「ここは?」なおみはセイビアに聞いた。

「ここが時空と時空をつなぐ部屋や。横を見てみ。隣のへやもその隣のへやもジーザスが

人間を連れてきてるんや。」セイビアが説明し始めた。

「ここは渦巻き状に部屋が分かれてるんや。ぐるぐるとドアが並んどる。」

なおみはガラスばりになっている部屋から隣の部屋を見た。青色のジャージを来た女の人が

20代くらいの眠っている男性を抱えていた。


隣の部屋は女の人??ていうか・・・。青のジャージ??ブルージーザス??

すごくきれいな人・・・


そう思った時だった。


「ボーン・・・ボーン。」


突然振り子時計が現れた。その時計には手がついていた。怖いような気持ち悪いような感じだった。


「よう!パンデュル!!」セイビアが振り子時計に叫んだ。

「セイビアだな。通行許可書を出す。必要事項を答えよ!」振り子時計は聞いた。


「旅人の名は、なおみ。まずは過去に行く。ポイント地点へ連れて行ってくれ。」


「な!!なんだその人間は?!なぜ起きている?!」

振り子時計のパンデュルはなおみを見て驚いた。


「あーこいつは自分の意志でここにきたんや。」

「自分の意志とはどういうことだ?!パンデュルはセイビアに聞いた。

「あー話すと長なるけど聞くか?」

セイビアは答えた。

「いや、私には関係の無いこと・・・というよりあまりややこしいことに関わりたくない

からな。では案内人であるお前の名前は?」


「わいは・・・リョウ・カイト・セイビア――――」


そんな名前だったんだ・・・


なおみはセイビアをじっと見ていた。

「モントルを!」セイビアが振り子時計に言った。

振り子時計は男性用の腕時計をセイビアに放り投げた。セイビアはそれをキャッチして

自分の腕につけた。

「それは?」なおみはセイビアに聞いた。

「これはモントルちゅーてな、時間の微調整。あの振り子がなおみの不幸ポイントに

連れて行ってくれるんや。で、こいつはその場所で、なおみの行動の修正箇所を知らせて

くれて、なおかつ時間も少し前に戻す。なおみはそこでその時の自分の中へ入っていくんや。

そして、実際に起こった行動とは別の意志を今のなおみが念じる。

強く念じればなおみが念じた通りの行動に変わるちゅー訳や。」

セイビアは簡単に説明したが、なおみにはよくは理解できなかった。

セイビアは、なおみの両肩に手をおいて言った。

「まあ、やってみたらわかるやろ。とにかく行くで!過去へ!」

「うん・・・やってみる。」

すると振り子時計のパンデュルが言った。「チャンスは1度。なおみが過去の自分を

変えられなかった時、また何らかの原因で体から離れられないときはリョウ、必ずなおみを

体から離脱させなければならない。二人が失敗した場合は・・・」

「あーわかっとる。」セイビアは答えた。

「なおみの存在は消滅する・・・」パンデュルとセイビアは口を揃えて言った。

「大丈夫!・・・・どおせ・・・・死ぬつもりだったんだし。」

なおみは答えた。

「ここへ来る人間はみんなそうだ・・・では幸運を祈る!!」

そう言ってしてパンデュルは姿を消し、代わりに黒い扉が現れた。



セイビアは扉をあけた。                                                                                                                                   

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