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セイビア  作者: うきみ
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第十七章 リョウの決断

「なおみ・・・頼もしすぎやろ!」リョウが笑って言った。

「うん・・・自分でも驚いてる。」

「人、言うもんは、は守りたいもんがおったら何でも出来るんや!わいがええ例やろ?」

「守りたい人・・・?それって・・・」


「お前の事やろ・・・」


リョウは少し寂しそうに言った。


「リョウ・・・」


「これでもう現世へ帰ったらバラ色の人生や!」

「そうだね。」

「最後にケイに会いに行くか?」

「最後・・・だね・・・うん・・・行く。」



「もしもーし」リョウはモントルを操作した。

「げ?!何??そんなことも出来るの??」なおみはリョウのモントルを見て言った。

「あれ?言うてへんかったっけ?あ・・・ケイか?」リョウはモントルに向かって

話した。

「リョウか。なおみは?」モントルからケイの声が聞こえた。

「ああ・・・今、過去から帰って来たとこや。」

「そうか。」

「お前今、どこにおる?」

「ああ、現在アシスト中だ。長い間ほったらかしだったからな。お前のせいで俺が

 どれだけ師匠に・・・!」

「わかった!わかった!10倍・・・いや100倍にして返すから!」リョウは頭を

かきながら言った。

「とーぜんだ!」突然ケイは後ろから現れた。


「うわー!!お前びっくりするやんか!いつからそこにおったんや!!」

「ずっとだ。」

「え・・・?」リョウは驚いた。

「俺も師匠も心配なんだよ!お前らが・・・リョウ!ちょっと来い!」



「なんや?!」

ケイはリョウをなおみから少し離れた場所に連れて行った。

「お前・・・なおみをちゃんと返せよ。本来いるべき場所に・・・」

「わかってる!」

「なおみは分かってるのか?現世に帰った後の事。」

「なにも聞いてこーへんな・・・気づいてるかもわからん。でも・・・もう一度・・・

 今度は未来へ連れていく。」

「未来・・・?リョウ、お前は見事、完璧になおみの過去を変えた。

そしてなおみ自身の性格まで強くたくましく変わっている。

現生に帰れば以前とは全く別の世界になっている・・・なのにわざわざ未来に行く

必要などないだろう。無駄なことしてもし黒にばれたら・・・」

「ああ。もう少しだけ・・・あいつといさせてくれ。そのあとに、必ず現世に返す

 から・・・」

「リョウ・・・」ケイは少し困ったような顔をした。



「ねえーーまだーーー?」なおみが二人を呼んだ。

「リョウ。本当にこれで最後にしろ!」ケイはきつい口調でリョウに言った。

「ああ、わかってる。」



リョウとケイはなおみのいる所へ戻って行った。

「ケイ・・・本当にありがとう。本当に感謝してる・・・なんて言ったらいいか・・・」

なおみはケイに言った。

「あーいい。分かってるよ!なおみの声はずーーーっと聞こえてた。」

「え?どういうこと?」

「あれ?言わなかったっけ?俺たちが人間の心読めるって。」ケイが答えた。

「えっ・・・?えーーーーーーーーー!!!ちょっと何それ・・・何なの!リョウ!!!

 何で言ってくれなかったのよ!?え・・・ちょっと・・・待ってよ!いつから?

 いつから読んでたのよ!リョウ!!!」

 「そんなの最初からだろ。」ケイが笑って答えた。

「あーーーえーと・・・何考えてたんだっけ・・・えーと・・・」

「だから!なおみがリョウを好きだってことは、ずーーーーとまえからみーーーんな

 知ってたんだよ!」ケイは楽しそうに答えた。

「えーーーー!!!嘘でしょう!!!あーーーー穴があったら入りたい。

 恥ずかしい!!」なおみは両手で顔を押さえた。

「おい!ケイ!!ばらすなよ!!」リョウは言った。

「今までの迷惑料だ!」

「裏切りやがってっ!・・・ま・・・あの反応はちょっとおもろいけどな。」

「だな!」



「なおみ!」リョウが、なおみを呼んだ。

「行くぞ!」再びリョウはなおみに言った。


「・・・・・・・・・」なおみは無言のままだった。


「おい!何か言え!!」リョウはなおみに言った。

「だって!読めるんでしょ!!」

「あのなあ!読める言うても神経集中せな読まれへんねん!口で言うてくれ!

 めんどくさい!!!」

「そうなの?」

「ああ。せやから全部が全部読んでたわけちゃう!」

「何なの?神様のくせにシステムが中途半端ね!」

「知るか!わいが作ったシステムちゃうわ!」

「ははは。じゃあなおみ・・・!お別れだな!」二人の言い合いを見ながらケイが

言った。

「あ、うん。」なおみはケイに抱きついた。

「本当にありがと。」涙ぐみながらなおみは言った。

ケイはなおみをぎゅっと抱きしめた。


「・・・・・・」


「おい!ケイ!はよ離れろ!」

「いやだ!」ケイはさらになおみをぎゅっと抱きしめていた。


「お前なー!」

「はは・・・冗談だよ!じゃあな!なおみ!」

「うん!」

ケイは二人の前から去って行った。



「リョウ・・・今から現世に帰るんだよね!?」

「いや、一回だけ未来に行ってからや。」

「未来・・・?」

「そうや。」

「未来って・・・何処に行くの?」

「10年後の未来や。」

「10年後?」


二人はパンデュルの部屋へ戻って行った。



「なおみ。現世に帰ったら、長く生きるんやで!」

「うん!長く生きてここに来るよ!リョウ!ずっと見ててくれるよね!わたしのそばに

 いてくれるんでしょ?」

「いや。」

「え・・・?」

「帰るんはお前だけや。もうなおみには、初めて会ったときみたいにわいの姿は

 見えへん。そもそももう引きこもりとかせんやろうし、過去は、かなり

 変わっとるからな。」

「もう、会えないって事?ううん・・・だってあの時飲んだじゃない!師匠の

 お酒・・・」

「ああ。見てみろ10年後のお前・・・」



なおみは病院にいる自分を見た。

「え?病気?」

「いや、ちゃう。妊娠してるんや・・・明日生まれる。男の子や。」

「男の子・・・?」

「なおみ・・・お前に頼みがある。生まれた子にリョウって名前・・・

 つけてくれ。」

「え?」

「ビッグセイビアになったらわいはお前の一部になる。」

「え。いやよ!私の子供になるって事?いや!子供じゃなく、私はリョウと・・・」

「よー考えてみ!お前は現世に帰ったらわいのことも今までの事も全て忘れるんや!

 お前が死ぬのを待っても、また探さなあかんかも分からん。見つけた所で、

 覚えてへんかもしれん。わいにはもうそれは耐えられへん・・・」


「だったら!ここに残る!!」


なおみの頬に大粒の涙があふれた。

「それはあかん!黒に隠れて一緒におってもいつかはバレる。それこそ二度と

 会われへん!ほらみてみろ!なおみ!・・・あんなに幸せそうやないか・・・

 わいはお前の笑顔のそばでずっといたい。」リョウは静かになおみに微笑んだ。

「リョウは?私の子供になったら・・・今までの事、忘れちゃうんでしょ?」

「ああ。でも1年間は覚えてる。それに松田龍之介、あの家族見たやろ?家族にさえ

 なれば・・・ああやってまたいつか会えるんや。頼む!わいの頼みを聞いてくれ!」

なおみの溢れる涙は止まらなかった。


「分かった・・・リョウ・・・私、子供にリョウって名前付けてくる。そして

 長生きして絶対にビッグセイビアになる!忘れない!リョウの事は絶対に

 忘れないから!」

なおみは10年後の自分に入っていった。


しばらくしてなおみはリョウのもとへ帰ってきた。

「リョウ!ちゃんとリョウってつけてきたよ!」なおみは泣き続けていた。

「ああ。ちゃんと見てた・・・なおみ・・・」

リョウはなおみを抱き寄せた。

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