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セイビア  作者: うきみ
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第十六章 変わり始める過去

なおみはシュラインから出てくるリョウを待っていた。

元気になったリョウはなおみに手を振った。

「なおみ!」

「リョウ!」

「よし!今度こそ最後の過去・・・行くで!」

「うん・・・」



そして二人はまた新たな過去へと旅立った。

リョウとなおみは高校生のなおみを見ていた。


「こうき・・・」なおみは幼馴染の男子生徒を見た。

「そうだよね・・・ここだと思ってた。」

なおみがいじめられている時にいつも声をかけてくれるのは幼馴染の彼だった。



クラスの男子生徒たちがなおみの周りに集まっていた。

「なあ!なおみ!もしかしてさあ、こうきのおやじって借金取りか?お前幼馴染

 だろ?知ってんじゃないの?」

「え?なんでそんなこと聞くの?」

「昨日俺の友達んとこに来たんだよ!そいつ・・・怒鳴り声あげやがって!

 やくざかよ!」

「でもこうきのお父さん本当はいい人なんだよ!」

「ってことは・・・やっぱそうなんじゃん」

「・・・・」

このなおみの一言でこうきの父親の話は瞬く間に学校中に広まった。


学校の帰りに、こうきはなおみに会った。

「なおみ・・・なんで父さんの事・・・みんな知ってるんだろ・・・」こうきが

なおみにつぶやいていた。

「こうき・・・」なおみは何も言えずにいた。なおみに向けられていたいじめは、

こうきに向いていたのだ。


「モントル!」リョウが叫んだ。

「次の日に設定しました。」


教室で座っていたなおみにゆう子が話しかけた。

「ねえ・・・なおみ・・・こうき最近よく学校休んでるけど、もしかしていじめが

 原因なのかな・・・」

「わからない・・・ゆう子・・・気になるの?」

「え?ま、まさかあ。」

なおみはこうきがゆう子を好きなことを知っていた。

「ゆう子・・・今日こうきの所にプリント届けるんだけど・・・一緒に行かない?」

なおみはゆう子に聞いた。

「え・・・なんであたしが・・・別に関係ないし。なおみが一人で行けば

 いいじゃん。」

「分かった・・・」


なおみは放課後こうきの家へ行った。母親が出てきた。

「あーなおみちゃん!いつもありがと!こうき頭が痛いって言うからここのところ

 休ませていたんだけど勉強が分からないみたいだから、ちょっと上がって教えて

 あげてくれない?」

 「あ、はい・・・」


なおみは、こうきの部屋へ入った。

「こうき・・・?」

「あ、なおみ・・・いつもありがと。」

「あ、うん・・・分からないところって?」

「・・・・・」

なおみはこうきは頭が痛いわけじゃないことは分かっていた。

「あ、ここなんだけど・・・」こうきは教科書を広げた。

「なあ、なおみ・・・ゆう子・・・僕の事・・・何か言ってなかった?」

「あー、何で休んでるのかって聞いて来たから、今日誘ったんだけど・・・」

「来るわけないよね・・・あ、で・・・ここの問題・・・」

こうきは悲しそうだった。



そして――――

次の日の朝・・・こうきは自殺した。


再びこうきの自殺を目にしたなおみは泣き崩れていた。

「なおみ・・・」リョウはなおみの肩に手をおいた。

「わたしちゃんと変えられるのかな・・・」

「大丈夫や!わいがついてるやろ。」

「うん・・・」なおみは涙を拭って立ち上がり自分の体に入って行った。



なおみは教室で同級生と話していた。

「昨日俺の友達んとこに来たんだよ!そいつ・・・怒鳴り声あげやがって!

 やくざかよ!」


 そう言った同級生の男子になおみは立ち上がり大声で言った。

「は?!自分の方がやくざみたいじゃない!弱い者いじめばっかしてばかなんじゃ

 ない?!こうきのお父さんはすごく優しい人だよ!やくざなわけないじゃない!

 つか!なんで私に聞くの?本人に聞けばいいじゃない!」

なおみは激しい口調でその男子に言い放った。

「なんだよ・・・どうしたんだよ・・・急に」

「わたし・・・もう誰にもいじめられたりとかしないし誰もいじめさせない!

 いじめなんて!絶対に許さない!!文句ある?!」

「なんだよ!わけわかんね!うるせー。」同級生の男子はそう言ってなおみから離れた。

なおみは目を閉じた―――



「リョウ!どう?変わるよね?私とこうきの過去・・・」

「いや・・・こうきの父親の事が広まるのは止められへん・・・ただ、これでお前に

 対するいじめは無くなる。でもそれはこうきへと向いたからじゃなく、お前自身の力や。」

「でも・・・こうきは?」

「もう一度こうきの部屋へ行くところからや。」

「うん!絶対こうきを死なせない!」



なおみはこうきの部屋にいた。

「なあ、なおみ・・・ゆう子・・・僕の事・・・何か言ってなかった?」


不安そうなこうきになおみは笑顔で答えた。

「うん!すごく心配してたよ!早く学校に来ればいいのに!ってゆう子はこうきのこと

 ・・・好きなんじゃないかな。あ、これ私が言ったって内緒だよ!明日迎えに来るから

 一緒に学校行こう!」

「ほんとに??」

「うん!こうきを誰にもいじめさせないから!絶対私が守る!」

「えー大丈夫かなあ・・・」こうきは笑って言った。

「絶対明日学校行くんだよ!もしも行かないって言ったらゆう子を好きなこと本人に

 言ってやる!」

「うわーやめてやめて!わかったよ!行くから!・・・なおみ・・・なんか性格

 変わった?」

「え・・・あ・・・気のせいだよ!もともとこうなの!!」


なおみは目を閉じた―――――



「なおみ・・・めっちゃ強いやん!!初めて会った時と全くちゃう女や!こわ!」

「もう!リョウ!!」

「ははは。」

「どうかな?ねえリョウ!明日の朝、こうきちゃんと生きてるよね?自殺なんて

 しないよね?」

「モントル!」

「明日に設定しました。」



なおみはこうきの家の前にいた。そして家の中からこうきは出て来た。


良かった・・・こうき・・・生きてる・・・リョウ!こうきちゃんと生きてるよ!


「こうき!おはよう!!」なおみはこうきの家の玄関の外から叫んだ。

その時だった。

同級生の男子3人がやって来た。

「こうきくーんおはよう!朝からとってもリア充だねー!!」男子たちは後ろから、

こうきとなおみをからかった。

なおみは後ろを振り返り同級生の前まで歩いて行った。

「は?何してるの?もしかして待ち伏せ?何時から?こうきを迎えに来たわけじゃ

 ないんでしょ!?暇だね!あんたたち!わざわざからかいに来るなんて!」

「あ?!何だよお前!ちょっと来い!」男子はなおみに近づき、腕を掴んだ。

「いや!」なおみは男子の手を振り払った。が、また掴んできた。



「やめなよ!」


女子生徒の声が聞こえた。そう言ったのは、ゆう子だった。


ゆう子・・・今日ここに来てたんだ・・・じゃああの日・・・こうきが死んだ日

・・・いたんだ・・・ここに・・・


 なおみはゆう子がその日の朝、こうきを迎えに来ようとしていたことを初めて

知った。そしてゆう子は大声で同級生の男子達に言った。

「見たよ!今のいじめだよね!動画も撮ったから!これをネットで流す!」

「なんだと!!」同級生は怒ってゆう子の方に走って掴みかかろうとした。

それを見たなおみはしゃがんでその男子の両足を後ろから掴んだ。

男子は倒れて顔面を強打した。

 そして、もう一人の男子がなおみに掴みかかった。

「キャー」なおみは悲鳴をあげた。

それを見たゆう子は持っていたカバンでその男子を叩いた。

倒れていた男子ともう一人の男子はなおみとゆうこに殴りかかろうとした。

そのとき・・・

こうきが持っていた傘で男たちを殴って叫んだ。

「やめろー!なおみとゆう子から離れろ!!!」

男子たちはこうきの強さに驚き逃げて行った。

「ゆう子!なおみ!大丈夫??」こうきは傘を投げ捨て二人に駆け寄った。

「遅いよこうき!剣道2段が!!」なおみが言った。

「え・・・うそ?!」ゆう子は驚いた。

「は・・・初めて外で戦った・・・」そう言ったこうきは震えていた。なおみは

スカートについていた砂を掃いながら立ち上がりこうきに言った。

「こうき!わたし先に行くから。ゆーーっくりゆう子こと来て!彼女に言いたいこと

 あるんでしょ!」

「え・・・あ・・・」

「じゃあね!ちゃんと言わないとわたしがバラすからね!わかった!」

「あ・・・」こうきは恥ずかしそうにしていたがそれは笑顔に変わっていった。

「なおみ!ありがとう!!」そう言ってこうきは、なおみに手を振った。

なおみも無言で二人に手を振った。


そしてなおみは目を閉じた――――

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