表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由落下  作者: あお
4/7

死ぬことはもうない

 その後、あっという間に僕のアパートは警察や救急車に取り囲まれて黒山の人だかりができた。

僕はそんな様子を、化物とともにアパートの屋上から眺めていた。

「お疲れ様でした。本当に」

化物はにたにたと笑いながら言った。

僕はそれに答えない。ただ、先程まで僕がいた場所を見ている。

「これからの話をしましょうよ」

これから。何のだ。僕は死んだのだ。次なんて、ないはずだ。どうなるというのだ。

にたにたと笑い続ける化物を見ていると、無性に腹が立ってきた。

なにか言ってやろうと思うが、声が出ない。

必死に声を出そうとする僕を見て、化物は高らかに笑った。

「今の貴方には、視覚と聴覚、そして意識しかありません」

僕の実態である身体はもう失われたらしい。

幸い、自慢できるような体躯でなければ、見惚れるような容姿でもない。しかし、声は低くて透明感があると言われたことがあり、少し自慢だった。

それを言ってくれた人にもう一度会うことができていれば、こうはならなかったのかもしれなかったのだけれど。つべこべ言ったって仕方がない。

これからの話とやらを聞こうか。

化物の方を見やる。

「貴方は幸せですよ。自殺するなんて」

化物はそう言いながらまたにたにたと笑った。

僕の実態などないはずなのに、僕の視線や考えていることまで分かってしまうなんて、こいつは一体何者なのだろうか。こいつに僕はどう見えているのだろうか。

怪しいやつだが、今はこいつを信じることしかできない。

もう死んでいるのだ。

どうなろうと怖いものはない。

どうせ、死ぬこともないのだから。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ