65 スキンヘッド
オレは、アシスト情報を確認して、スキンヘッドがいる方に向かう。
もしあの男も、今の遠距離攻撃を使えるとしたら……。
とにかく、早く倒すしかない。
園池さんは、壁際に追い詰められていた。
放って置いたら、負けたのは園池さんの方だっただろう。
オレは隙を付いて、スキンヘッドの後ろに回り込む。
そのまま勢いをつけて、タックルを仕掛ける。
しかし、スキンヘッドは寸前で気が付いて、見事に回避した。
「小僧、俺の仕事を失敗させやがったな。この埋め合わせは、絶対にして貰うぞ。」
どうやら、かなりご立腹の様子だ。
この男は、未来から来た意識に乗っ取られている筈。
ということは、未来から来た意識って奴の仕事が、あの派手男の護衛って事になる。
あの派手男は、米国大統領暗殺の実行犯だったはずだ。
という事は、こいつは……。
「お前らが、どういう素性の者なのかは知らん。答える気も無いのだろう。脳波のジャミングも、かなりのハイクラスだな。サンプルとして持ち帰って、研究材料にさせてもらう。」
ものすごいスピードで、オレを攻撃してきた。
派手男の攻撃よりも、ずっと素早い。
かろうじて、パンチの連続攻撃を手で払いのけて捌いた。
と、思った瞬間に足を三発も蹴られる。
オレは必死で、距離を取った。
右、左、右、とリズムが良いキックだったが、感心している場合じゃない。
痛みはそんなに無いものの、何度もやられたら倒れそうだ。
股間に当たったら、一発でアウトかもしれない。
ヤバイ、こいつ超強い。
守りに入ったら、絶対に負ける。
オレは、必死で殴りかかった。
常識外れのスピードのパンチの筈だが、動きに無駄があるのだろう。
スキンヘッドには、簡単に避けられてしまう。
クソ、これじゃ勝ち目が無い。
焦るオレの目の前で、スキンヘッドが横に吹っ飛び、入り口の壁に叩き付けられた。
「この人、演習よりずっと強いし頑丈。あと三十秒位で決着をつけないと。」
園池さんの仕業だった。
残り三十秒程で、園池さんの活性化時間も切れるのだろう。
かなり、憔悴した様子だ。
そりゃそうだろう。
もし、その三十秒で決着が付かなかったら、特殊攻撃で吹っ飛ばして殺すか、オレ達が研究材料になるか、どちらかしか選べない。
「二人がかりで、一気に決めよう!」
言い終える前に、倒れているスキンヘッドに駆け寄る。
こいつはもう、何度も活性化状態の打撃攻撃を受けているはずだ。
多分、パンチやキックでは倒せない。
残された手段は、スタンガンか特殊攻撃。
特殊攻撃での決着を避けるなら、園池さんのスタンガンで勝負を決めるしかない。
そして、オレはその為の隙を全力で作る。
悩んでいる時間は、もうない。
スキンヘッドは立ち上がったが、まだふらついている。
オレは素早く近付くと、スキンヘッドの肩を両手で掴んだ。
攻撃が当たらないのだから、相手を固定して当てるしかない。
何発ものボディブロウを、なんとか耐える。
しゃがむ様な体制から一気に立ち上がって、鼻面に頭突きした。
唯一、身長の低い者の方が有利な技らしい。
通信教育の眉唾な実戦技術だったが、とにかく当たった。
もちろん、オレの頭もかなり痛い。
反撃が来る前に、もう一度叩き込む。
何度もやったら、オレもスキンヘッドになりそうだ。
「下がって!」
オレはフラフラしながらも、指示に従って下がった。
顔を上げると園池さんが、スタンガンを持ってスキンヘッドの後ろに回っている。
もうスタンガンというより、レーザーナイフみたいな状態になっていた。
それを押し付けると、バリバリバリ、っというもの凄い音がしている。
あれで倒せないなら、何をやってもダメだろう。
スキンヘッドは、焦げ臭い匂いをさせて倒れた。
なんとか、倒せたか。
「ふうっ。……お疲れ様。大変だったね。」
そう言って寄って行くオレを完全に無視して、園池さんはどこかへ行ってしまった。
肩を叩こうとしたオレの手が、空しく空を切る。
何故ですか?




