22 採用
少し気持ち悪かったが、敵の残骸を転送する作業に移った。
まぁ、近くに行ってZボタン押すだけだし。
転送作業は、あっという間に終わった。
さっさと屋上の入り口に戻って、カギを閉める。
適性検査だからな。
レアアイテム探しとかのやり込み、やってる場合じゃないから。
さて、この屋上への扉のカギはどうしよう。
少し悩んだが、結局カギは持って帰ることにした。
現場に痕跡を残すよりはマシだろう、という判断。
堂々と十階に降り、エレベーターに乗る。
地下駐車場のスタート地点に戻って、任務終了の筈。
エレベーターのB1を押す。
「よくやった。こんな感じで明日もやってくれりゃいい。それで何の問題もねぇ。もう、この時点で適性検査は合格だが、一応スタート地点まで戻れ。以上。」
よし、目標クリアだな。
こんな感じで明日も、ってのは若干気になるけど。
ようするに、言われた事はすぐ覚えて指示に従い冷静に判断しろ、みたいな事だろう。
「了解です、山形さん。どうぞ。」
エレベーターは地下一階に到着し、オレは迷いなくスタート地点まで戻った。
なかなか、楽しい適性検査だったぜ。
……なんの適正なんだか、よくは分からなかったけれども。
「適性検査兼事前演習終了。ヘッドセットを外せ。この後、ここの三階に行ってもらう。長万部っていう女が居るから、そいつの指示に従え。健康診断とか体力測定なんかをやる。そっちの結果は、どうだろうと採用だ。終わったら、契約書を書いてデスクまで持って来い。」
オレはVRヘッドセットを外すと、大きく息を吸った。
なんだかんだ、実は緊張していたからだ。
「お前は優秀な時空管理局員になれるぞ。記憶力もいいしな。初回だから緊張するだろうが、実際の現場でも、VRゲームと全く同じだと思っていい。一度クリアしたゲームなんてのは、簡単な作業でしかないだろ。」
いやいや、さすがにアルバイトの現場が、ゲームと同じって事はないでしょ。
そんな事を真顔で言われても反応に困るけど、一応頷いておくか。
アクションゲームが得意なだけだしなぁ。
正直、記憶力が良かったのもたまたまだからなぁ。
「それじゃオレ、上の階に行ってきます。」




