14 キーワード
チーンという音がして、最上階である十階に到着した。
「ナノマシンの活性化発動には二通りの方法がある。一つ目は『音声キーワード』による任意発動。」
『音声認識あり』のゲームだったのか、珍しい。
そう言えば、中心に使う言葉を指定されてたが、AIが認識しやすい言葉なのかもしれない。
ということは、この後、会話イベントが起きる可能性も十分にあるな。
「もう一つは、危機的状況時の自動発動だ。声が出せない、マインドコントロール状態にある等の、ヤバイ状態になった場合、ナノマシン自体の判断で特殊な活性化起動をするって事だ。活性化を即時終了したい場合も、音声キーワードとなっている。コレは覚えろ。」
活性化は音声での発動が基本、という事は隠れてる時にはあまり使えない。
マイクがキーワード拾って発動するんだろうから、敵が近くに居たら見つかっちまうし。
こういうゲームの場合、敵の不意を突くのが重要なんだがな。
ボタン発動じゃないのは、ゲーム性の為の設定だろう。
活性化のリスクや使用時間も合わせて考慮すると、完全に発動のタイミングが命だな。
「それでだ、活性化専用の音声キーワードを決めておかなきゃならねぇ。」
「キーワードの設定には、条件がいくつかある。誤起動を避ける為に、普段は使わないフレーズにする必要がある、ってのが一つめ。すぐに、ナノマシン活性化キーワードだと分かるものはダメ、ってのが二つめだ。他の条件もあるが、とりあえず、この二つを満たしたものを、お前が決める。お前が普段使わないフレーズが何なのかなんて、知らねぇからな。フレーズが決まったら応答しろ。」
普段使わないフレーズか……。
つい使ってしまいそうなフレーズを選んだら、印象が悪いかも知れんな。
「こちら佐藤。山形さん、フレーズは『マンボウの寄生虫を食べたい』です。どうぞ。」
こんなフレーズ、普段絶対に使わないからな。
「……。お前、変ってるな。」
いやいや、ホントにマンボウの寄生虫を食べたい訳じゃないから。
「まぁ、お前がそれでいいなら問題はねぇけど。普通はもうちょっとカッコつけたものにするんだがな。ナノマシン活性化の音声キーワードは『マンボウの寄生虫を食べたい』に決定。三回繰り返して言え。以上。」
音声登録をするのか。
「こちら佐藤。山形さん。了解です。『マンボウの寄生虫を食べたい』『マンボウの寄生虫を食べたい』『マンボウの寄生虫を食べたい』どうぞ。」
「フッ。今度食わしてやるよ。」
いらんわ。
「登録したぞ。活性化中の特殊攻撃を一つ、教えておく。活性化中、掌の辺に光の粒のようなものが集まっている。その光の粒は、お前以外には触れない用になっている。光を集めて固まりにして、色が変ったら投げて敵に当てる。一度の活性化中に5回ほどは使用可能だ。キーワードと特殊攻撃は必ず覚えろ。以上。」
弾数制限ありの特殊攻撃ね、さらに面白くなってきたぞ。
そういえばSボタンが特殊攻撃だったな。
「山形さん、了解です。どうぞ。」




