13 任務
「今回の任務は、『アメリカ大統領の暗殺』を阻止する事。それによって、歴史の改変をも阻止する事ができる。つまりだ、大統領暗殺を企てているのは、違う時間軸を目指す人間、分かり易く言えば、タイムマシンで未来から来た悪者だ。奴らは、『第三次世界大戦』が起きる時間軸を目標としている。こちらは、タイムマシンと同種の技術を使って、敵の行動を予め未来予測してあるから、十分に対応可能だ。」
なるほど、このゲームはSFものだったのか。
いくらなんでも生身での攻撃力が強すぎるから、主人公も普通の人間じゃなさそうだ。
そういえば、昨日からアメリカ大統領が来日してるぞ。
随分とタイムリーなゲームだ。
「時間跳躍でのやり直しは行われず、一度だけの執行で対処する事になる。時間跳躍には膨大なコストと条件が必要でリスクもあるからだ。失敗したらそれで終わり。第三次世界大戦になれば、どうなるにしろお前は死ぬ。生き残りたかったら、成功させるしかないぞ。」
うーん。
やり直せないのに、何故タイムマシーンの設定があるのか。
変ってるな。
「エレベーターに居た三人の殺し屋は、サポートメンバーでしかない。暗殺の実行犯はすでに屋上でスタンバイしていて、ボディガードも二人居る。現代の銃では狙撃出来ないポイントから発射して、大統領警備の隙を突くつもりだ。そして実行犯達は強化人間、分かり易く言うと、『サイボーグ』だ。」
サイボーグって事は、身体が機械で出来てるんだろうな。
パンチとキックじゃ厳しそうだ。
話を聞きながら、操作練習しとこ。
「普通の人間が相手して、勝てる相手じゃねぇ。技術レベルはこちらよりもずっと下だがな。そういった敵に対抗する手段として、こちら側には対人戦闘用『ナノマシン』が配備されている。さっきみたいな、強烈なパンチやキックもナノマシンのおかげだ。ナノマシンには肉体治癒の高速化機構や、瞬間局部麻酔なども組み込まれている。」
『ナノマシン』ね、SFにはよく出てくる。
微粒子レベルサイズの、極小マシンの事だ。
埃位の大きさのロボット軍団、と言ってもいい。
大抵の場合、もの凄い数のナノマシンが連携して動く。
ナノマシン自体がお互いを修理したり、エネルギー補給をし合ったりして、ほぼ無期限の作動が可能だったりする。
「さらに、[『ナノマシンの活性化』を行えば、強化人間を大幅に越える能力が発揮できる。活性化中は、ナノマシンを使った特殊な遠距離攻撃等も可能だ。スピードやパワーも桁違いになる。肉体表面は、インパクトの瞬間に特殊合金以上の硬さを実現。お前の身を守り、敵を粉砕する。ただし、活性化可能時間は数十秒からせいぜい数分。アシスト情報に残り時間が表示される。活性化時には肉体に負担がかかるうえに、終了後はしばらく、再び活性化する事が出来ない。」
なるほど、『ナノマシンの活性化』ってスキルは、強力だが使用にはリスクがある訳だな。
そしてなにより、活性化するタイミングが重要、って事か。




