09 罠
突き当りには、『警備室』のようなものがあった。
ようなものというか、ドアにハッキリと警備室と書いてあるんだから、警備室なのだろう。
「警備室の中を確認しろ。中の警備員が死んでいるなら、その場で待機。まだ息があるなら、警備室ドア正面に止めてある車の陰に隠れろ。これより、『アシスト情報』の表示を始める。」
突然、目の前に緑色のデジタル時計や、周辺の簡易地図と思われるものが表示された。
これが『アシスト情報』なのだろう。
便利そうな情報が揃っているが、プレイヤーの体力やステータス状態等は表示されていない。
AMと表示されている時計の表示は九時二十分だった。
時計が表示されたという事は、時間制限があるのだろう。
秒数の変化を見るかぎり、時間の経過速度は現実と同じだ。
簡易地図のところどころに、点滅するひし形のマークが表示されている。
青いひし形のマークはたぶん自分の位置、黄色はその他の人の位置だろう。
今は表示されていないが、赤いひし形マークで敵の位置を表すと予想。
警備室の入り口を見ると、ドアが少しずれている。
ドアのカギが開いているという事だ。
たぶん、Zボタンをドアの前で押せば開けられる。
即座にドアを開けてしまいそうになったが、思いとどまった。
面白そうなゲームだが、適性検査だという事を忘れちゃいけない。
今の時点で、注意力やトラブルへの対処力などを試されているかもしれないのだ。
部外者なのに、いきなり警備室のドアを開けようとする人はアウトだろう。
監視カメラは見当たらないが、そんな姿をカメラにとられた場合、言い訳は出来ない。
まず、ドアの横にある受付用の小窓から、警備室の中を確認。
死角があって見ただけでは、人いるかどうかさえわからない状態だ。
喋るな、という指示があるから、呼びかける訳にもいかない。
人が居る気配はしないが、絶対に居ないとは言い切れない。
判断がつかないので、次に、入り口のドアを注意深く観察した。
ドアに罠、というのはよくあるパターンだからだ。
案の定、ワイヤーのようなものがドアの下に打ち付けられていた。
ドアを開けた瞬間に作動する、ブービートラップというやつだ。
ワイヤーが弛んでいる、という事はワイヤーが張ったときに作動するタイプ。
さてと、『異常事態である』という物的証拠が出てきたな。
ここからは、大胆な行動も選択肢に入れて当然だろう。
これで、警備員の安全確認という、中に入る為の言い訳は出来た。
ワイヤーを切れば罠を外して今すぐ中に入れるのだろうが、方法がわからない。
何しろ今は、ペンチなどの道具を持っていないのだ。
道具を探す、というのが正解、という事もあるのかもしれないが、時間制限が気になる。
まだ、状況を確認しただけで、オレは何の行動もしていない。
積極性や行動力という審査項目があるのだとすれば、あまり良い結果にはならないだろう。




