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市長マドレーヌと警視ジャヴェルとの戦い

「父なる神にどうしようもないことなど、この世には存在しません」

 そう言いながら警察署に入りました。この警察署にはジャヴェル君と、哀れな女と、そして私しかいないようです。ジャヴェル君は、私が何を言っているか、さっぱりわからないという顔付をしています。

「しかしですね、市長殿、この女は、選挙人に......」

「ええ、話は聞かせてもらいました。また私はたまたま君がその哀れな女を連行するところも見ました。そして周りの人々の話を聞いたところ、確かにその女のいうことが正しく、捕縛さるべきなのはその、君が尊敬をもって選挙人と呼ぶ、しかし実際のところは忌むべき男のほうであることが、明らかになったのですよ」

「しかしながら市長殿、秩序、法律、道徳、政府、社会の名において、私は道路取り締まりを一任されており、その事柄に責任があり、この乱闘に対して」

 ジャヴェル君は必死になって反論します。彼の心に忌むべきところはなく、ただ職務に忠実なだけなのでしょう。しかし彼は、忠実すぎる。すなわち、人の法の神の法に対する優越すら信じている。そのような彼だから、私がどう対処すべきかというのは、簡単なことなのです。少し威厳を込めて......

「君の言う事実は市内警察に関する事がらです。刑事訴訟法第九条、第十一条、第十五条、および第六十六条の明文によって、私はその判事たるべきものです。私はこの女を放免することを命ずる」

「しかし!」

「不法監禁に関する一七九九年十二月十三日の法律第八十一条を知らないとは言わせませんよ」

「......市長殿」

「ならぬ!」

 そうしてジャヴェル君は警察署から出ていきました。彼が警察署を空にするなど普段は考えられないことですから、やはり動揺していたのでしょう。そして私にはまだやるべきことがありました。哀れな女に対する責任を果たすことです。

「これであなたは自由です。しかし、あなたが工場から追い出されたとは!あなたのような方を追い出したとは、私が知らなかったとは言え、私の落ち度です。あなたの負債を払おう。いや、払わねばならない。そしてまた子供がここに来れるようにしてあげよう。あなたとあなたの子供の面倒をみましょう!あなたは確かに卑しいことをしたかもしれないが、神様の前にては卑しくないのです!あなたは堕落したわけではない!」

 そう声をかけてあげると、その女は気絶してしまいました。慌てて額に手を当てると、ひどい熱です。ひとまずは病院へ運ばねばなりませんでした。

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