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ファンティーヌ、炎上する。

 ええ、ええ、私、職を得られましたの。マドレーヌさんの工場で。けれどもそれも冬までの話でしたのよ。働いて対価を得ることの、なんと楽しかったことか!でもそれも一年も続かなかったのです。ああ、人はなぜ好奇心に好奇心をつぎはぎしてしまうのかしら!人の秘密、ちょっとそっとしてもらいたかったこと、そういったことを言いふらすのはいつも、全く関係のない人ですわ。何日間も人をつけたり、代書人にお酒を渡してみたりして、そうして自分たちのほんのちょっとした好奇心を満たし、そして私の人生は彼女らの人生を温める薪のように燃やし尽くされてしまいました。全くあの、女の工場でずいぶんと権力のあるヴィクチュルニヤン夫人の邪悪なことと来たら!私のかわいいコゼットのことを暴かれたことに何の理由もない。ただ見たい知りたい探りたい喋りたい!秘密が知られ、不思議が公にされ、謎が光に照らされると、災難、災難、災難!それがまた、何の関係もない「すべてを発見した」あの人たちらの喜びになる!噂をしたいというのは悪者ですわ!

 ヴィクチュルニヤン夫人のせいで、私の可愛いコゼットのことはばれ、そうして不貞な人間として私は工場から追い出されましたわ。一方ではテナルディエさんのほうから、入り目が十五フランいると送ってきたころです。折しも冬で、農家で働くこともできませんでした。

 それでもなんとか、兵士の服を縫う仕事が見つかりました。そして借りた家具のすべては家具屋に戻し、そうして百フランの借りが残り、そしてまたシャツを縫い、家では一つの明かりも火もなしですます。そうして体を悪くしました。そしてまた、周りの人からの軽蔑!彼女は貞節のないやつだ。しかし慣れました。

 それでもどんどんお金はなくなりましたわ。二度目の冬がきました。コゼットには服がないとテナルディエから来たので、髪を切ってかつらにしてお金を得ました。コゼットには薬がないとテナルディエからきましたので、前歯を抜いてお金にしました。それでも、お金がなかった。折しも囚人どもが安く仕事を始めたせいで、もらえるお給金も下がってしまった。一日に十七時間働いても、コゼットと私は生きていけない!

 そうして私は売春婦になったわ。どうせ髪も前歯も貞節もないのだから。そして世界はそれでもまだ足りないという。ある金持ちのボンボンが、私に悪口を浴びせた。それはいいのです。春を売る身で、いかにして人の嘲笑を避けうるでしょうか。そして彼は、私の背中に雪玉を突っ込んだのです!

 ただでさえぼろを着ていて寒いところにこの仕打ち、気づけは思いっきり殴っていました。そしてしっちゃかめっちゃかな殴り合いをしていると、いきなりつかまれて、連れていかれたのです。相手の男は逃げてしまいましたわ。全くこんなにひどいことはない。ああ、私はいい、コゼットはどうなるでしょうか?

 警察署まで連れていかれて、その怖い警視さんに、「お前は六か月牢に入るんだぞ」と言われたときの私の気持ちをきたら!牢獄では日に七スーしかもらえない!はした銭!それでテナルディエに、コゼットにどうしてお金が送れましょう!この冬の中放り出されれば死んでしまいます!しかし、いかに訴えたとて、警視さんは取り合ってくれません。

「それでも!私がこんな卑しいことをしているのは、工場を追い出されたからなんです!」

「いいか、お前が売春婦のくせに選挙人に危害を加えた、それによって六か月の入牢、これはもう、父なる神でさえもはやどうにもできないことなんだ」

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