第九話ッッ!!!登場!メインヒロイン!!?
ああ、終わった。
「そうだなマスター。これで決着だ。」
「……へ?」
突然、俺の目の前を影が横切った。
銀の髪を靡かせ、尾を引いて颯爽と登場したのは他でもないアルテルメアだ。
「傾聴せよ───『霊勁』シメオンッッ!!!!」
「ぶ、ににゃああああああぁーーーーーーっっ!!!」
アルテルメアが目にも止まらぬ速さで掌を妹の目の前にかざすと、能力によって発動したすさまじい斥力が鎌もろとも妹をヘリの外へと吹き飛ばした。
「なぁっ…!!?ア、アルテルメア!?今までドコへ!!?…その怪我は!?」
俺は血の止まらない腕を押さえながら尋ねる。よく見ると彼女の首には斬られたような跡があるが…。
「マスター!!?その怪我は…!!!?!?!?!??!?!?!?!!!!?!?!?!?!?」
…予想通りアルテルメアは自分の怪我を気にもせず俺の心配ばかりしてきた。かなりうるさい。特に感嘆符がうるさい。正直言うとこれくらいの怪我なら俺の『天成剣鍛造』で簡単に治せるんだが…、
「…。」
ふと、俺の脳裏に不安がよぎる。俺は以前妹の無罪を証明するために『果てなく啓けし万理』を呼び出そうとして、失敗している。『天成剣鍛造』が出来ることを前提に考えていたからこそ、この怪我でも平然としていられたわけだが…、もしも今能力が使えないのだとしたら…。いいや、そんな事考えるべきじゃない。俺はいらない考えを振り払って目を瞑った。もう一度剣を鍛造する為に。鍛造した剣でこの手を治す為に…。
「ぅ…ぐ…があっ……!!!」
剣のイメージを描いた瞬間、尋常でないほどの激痛が俺の身体を襲う。全身の骨が裏返るような、背骨を引き抜かれるような感覚。…まるで錆びついた箱を無理やりこじ開けるような…感覚。
明らかにおかしい。こんな事は今までに一度もなかったのに。
「ぁ……ああぁ…!っぐううううううっ!!!!」
*
夜空を見た。
夜空を覆い隠すほどの梁に覆われる、錆びくれた街を見た。
自分が生まれるよりもずっと昔の街だ。時計塔を見上げるが、針は6時を差したきり止まりっぱなし。表通りに出てみるとそこには影のような人々が溢れている。みんな街を照らす光のせいで影になっているのだろう。
道ゆく人に聞いた。空がこんなに暗いのに、どうして街はこんなに眩しく照らされているのかと。
「あれはライムライトの光だよ。」
誰かがそう答えた。
ライトの一つがはるか遠くの町外れを照らす。
俺は届くのだろうか。あのすっかり錆びきったぜんまい仕掛けの残骸の元まで。
「行こうよ。」
誰かが俺の手を引っ張る。
「───今度は僕の番だね。」
*
「………。」
目を覚ませば見知らぬ天井。身体を起こすとそこは病室。…どうやら俺はあの無茶な鍛造の後で気絶してしまったようだ。…どうやら治療には成功していたらしく、手はすっかり元通りになっている。
「にしても……。」
起き上がって病室からこっそり抜け出す俺。おそらくここが天成剣属の奴らの本部か支部かそれ以外かの施設だろう。どこにも窓が無い事を考えるとここは地下である可能性が高い。まあそんな事に気づいた所で俺には関係ない訳だが。
しばらく廊下を歩き回っていると開けた場所に着いた。地下だと言うのに中心にでかい木が生えており、その周りにぐるっとソファが並べてある。どうやら天井が吹き抜けになっていて、そこから日の光が入り込んでいるようだ。とりあえず俺は一番近い所のソファに座ってくつろぐ事にした。
「…はぁ、これからどうなるんだろうな…俺。アルテルメアも…居ないとなんだか寂しいし。」
「……。」
何だろう。木の向こう側に誰かがいる。白くてモコモコな…言うなればカイコガってぐらいにモコモコな服を着た誰かさんだ。
俺は興味本位でゆっくりと裏に回りこんでみた。…女の子だろうか。俺の妹より少し背が小さいくらいの。真っ白な髪に、透き通った白い肌。まるで一度も日の光を浴びたことがないような、そんな雰囲気がする少女だ。よほど寒がりなのか、真っ白なイヤーマフラーを頭に着けている。
俺は通り際に顔を窺おうとした…が、偶然にも彼女と目が合ってしまう…!
「待ってた。」
「へ…?」
彼女は間違いなく言った。…話しかけられて一瞬戸惑った。俺は目を逸らそうとしたが、少女の赤い瞳は俺を見つめて離さない。俺が切り出す言葉に悩んでいると、一見無口そうな彼女が続けて言葉を口にする。
「やっと…、会えた。」
謎の蚕系少女と出会ってしまった淘汰郎!!!はたして彼女は何者なのか!?彼女の言葉の意味は!!?そもそも本当にメインヒロインなのか!!?
次回ッ!!第十話ッッ!!! …みんな集まれ!天成剣属!!!