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畢竟夢想の天成剣属(ブレード・ランナー!!!!!!!!!!!)  作者: きうきう
序章 終わる世界とブレード・ランナー
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第二話ッッ!!!白龍!アルテルメア!!!

俺は頭を垂れたまま、見飽きた妹達の姿を見ようともせず、ただ一心に手を高く掲げていた。

少し意識が飛んでいたようだ。…今、俺の目線は床を向いている。床には沢山の血痕があって──いや、これは俺のじゃない、妹達のものだ。若干ごまドレッシングも混ざってるし。


「何…が……?」

俺は顔を上げて周囲を見回した。部屋の様子はすっかり変わっている。天井は跡形もなく消え、まるでハリボテの舞台を踏み倒したかのように部屋の壁が倒れていた。部屋の外側にあるのは撮影スタジオ。上を向けば照明が眩しく照らす。こんな空間まったく身に覚えが無い。俺の心臓付近には未だに天成剣が刺さっていたが、どういう訳か血は出ていない。まるで剣が自分の体と同化しているみたいだ。

…なんだこれは。たまげたなぁ。まさかこれが俺の『望む未来を掴み取る力』なのか…?


「…ご明察の通りだ。マスター。」

「だ、誰だァ!?」

俺は声のする天井を見上げた。天井の梁にはいくつもの照明が並べられていて目が眩むが、梁の上には確かに誰かが立っている。


「発ッッッ!!!!!」

俺と顔を合わせたソイツは何の前触れもなく突然梁を破壊して飛び降りてきた。俺は落ちてくる照明にビビりながら狼狽していたが、ソイツは何食わぬ顔で俺の側にシュタッと着地し、とうとうその正体を現した。


まず、一番最初に驚かされたのはソイツの紐パンだった。身長165センチぐらいのソイツはチャイナ服らしき服を着ているが、丈が短すぎてパンツがモロに見えてしまっている。次に驚いたのが顔だ。白い髪と白い肌のソイツは銀縁メガネをかけていかにもインテリな雰囲気を醸し出している。パンモロのくせにだ。

正直言って、コイツの頭に20センチぐらいの角が生えてる事や、尻から150センチぐらいの長さの龍の尾が生えてる事実に驚くだけの余裕は無かった。


「某の名は第196517836天成、アルテルメア。…人は某をその能力になぞらえ、『数多の霊魂を物せし邪龍』と称す。噛み砕いて言うと某の能力は死んだ人間から魂を吸い出したりいろいろしたりする。好きな食べ物はミルフィーユ。学生時代に打ち込んだ事は──剣道。」

「あ、ああ…?」

「ぷろふぃーるだ。"誰だ"と尋ねたのはマスターであろう?」

そうだけど…!!そのプロフィールのせいでなおさら正体不明なんですけど!!!……俺は内なるツッコミの天成剣を心の中でむなしく振り回した。そこから本題へ入るまでに40分かかりましたとさ。


「本題だけど。」

本題だ。俺はこの空間の事とか、消えた妹達の事とか、自分の能力の正体とかをアルテルメアに尋ねた。だが彼女は「知らぬ。そんな事は某の管轄外だ。」と言うばかりでさっぱり話が進まない。しかしながら俺に纏わりつく妹達を散らしてくれたのは彼女だった。だが…。


「なん…だと……?」

アルテルメアの表情が変わる。彼女の目線の先に居たものは…そう。無数の妹達だ。


「お兄ちゃ~ん♪」

…恐れていた通りになった。アルテルメアは妹達を倒したと思い込んでいたようだが、天成剣以外の方法ではいくら攻撃してもトドメを刺す事ができない。周囲に散らされた無数の残骸は、当然のように俺の妹の姿へと変身して性懲りもなくこちらへ近づいてくる。やはり天成剣でなければ…。


「…マスター。能力の解除を要請する。この場は一旦引くべきだ。」

アルテルメアは妹達のヤバさを逸早く察していた。それに、(身なりはともかく)あの堅実そうな顔が言うんだから、彼女に従うのが最良の選択だと俺もなんとなく分かっていた。


……能力の解除方法さえ解っていれば、絶対にそうしていた。

だが、悲しいかな俺はこの撮影スタジオみたいな空間を消す方法がさっぱり分からない!!心の中で何かを念じてみたり、目をぎゅっと瞑ってみたりしたけど!ぜんぜん消えてくれない!!


「マスター…、まさか……。」

アルテルメアが俺を見る。まさか解除出来ない事がばれてしまったのか!?失望させてしまったのか!?


「何か策があるのだな…!!流石は某のマスターだ!!」

違います!!その逆なんです!!

…しかし言い出せない!!言い出すわけにはいかない!!こうなったらやることは一つだ!!!


「アルテルメア!妹達は俺の天成剣でしか殺せない!だから俺を全力でサポートしろ!!」

俺は威勢よく天成剣を鍛造し、先陣を切って突貫した。先のことなんか考えていないし、そもそも考えたくもない。


「淘汰郎おにいちゃん。」

「問答無用ッッ!!!!」

偶然にも一人だけ抜刀していない妹が居た。俺はチャンスとばかりにソイツを狙い、俺のなぎ払った刃が何かを切り落とすのを感じた。ゴトッと音を立てて床に落ちたそれは、サッカーボールほどの大きさだろうか。

確認はしない。たとえそれが自分の知っている者に良く似た全く関係の無い不死の生命体の首であったとしても。


「発ッッッ!!!!!」

アルテルメアが掌を突き出すと、俺の周囲に押し寄せていたであろう他の妹達が一気に壁際まで吹っ飛ばされる。

「マスター、とどめを。」


…俺は無言で頷いた。気絶した妹を一人二人と片付けていくのは容易い作業だった。心臓に剣を突き刺すこれが、頭を撫でるのと同じ愛情表現に思えてくる。


「…こんなの、いつまでも続けてると気が狂いそうだ。」

俺は最後に残った妹の心臓を貫こうとする。

剣を突き立て、今まさにトドメを刺そうとした瞬間…。



「助けて…。おねえちゃん………。」


最後の妹の声を聞き、アルテルメアの動きが止まる。



「…メア……? アンセル…メア…お前なのか…?」

能力を発現したはいいものの、正直言ってどんな能力か考えていないきうきう!!!

そして!!最後の妹は一体何者なのかッ!!?

次回ッ!!第三話ッッ!!! …偏在せよ!可塑の剣!!!

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