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テイスティング

「ひろし!」

 母親が息子の遺体を発見したのはある春のうららかな午後だった。遺体は椅子に腰掛け机にうつ伏せの状態でパソコンの電源は入ったままで床にコップが一個転がっていた。

 母親は数日前から連絡が取れなくなって心配になったので様子を見に来て事態に気づいたのだった。

 息子は隣県に2年前、中古の一戸建てを購入し会社員をしながら一人暮らしをしていたが、たまに実家に帰ることもあった。

 すぐに警察が来て現場検証が行われ、すべての窓やドアの鍵が内側から掛かっていて密室だったことが判明した。遺体も外傷はなく病死と思われたが念の為、司法解剖に回された。

 しかし数日後、遺体から毒物が検出され事態が急変した。

「自殺なのか?でも毒物を入れてあった容器はなかったと思うんだがどうゆうことなんだ?」中川刑事は同僚の田中刑事に尋ねた。

「そういえばコップが転がっていましたよね。」

 幸いコップはまだ処分されていなかったので鑑識に回された。

 数日経ってコップから微量の毒物が検出された。しかし自殺と断定して良いのだろうか?

 中川刑事はもう一度現場検証する為ひろしの自宅を訪れた。遺体の発見された2階の部屋は6畳の洋間で西側に面する公園がよく見回せた。そのむこうには名門と言われている女子大の大きな建物がそびえたっていた。部屋には野鳥の写真がいくつか飾ってあり棚には自然観察用の小さい望遠鏡とカメラが置かれていた。公園は野鳥の声であふれていて中川は望遠鏡でしばらくバードウオッチングしていたのだが暖かい陽気に誘われいつの間にか眠ってしまっていた。

 ふっと女子学生の話し声で目が覚めた。お昼になっていたが隣の公園が騒がしい。どうやら女子大生の溜まり場になっているらしい。弁当を広げているグループもいる。そのうち一人がこちらに歩いてくるのが見えた、やがてこの家の敷地内の小さな建物に入っていった。「あの建物はなんだろう?」しばらくして学生が建物からでで行くのを確認して近くまで行ってみた。

 行ってみるとそれは真新しいトイレで外部から自由にではいり出来るようになっていた。母屋にトイレはあるので不思議に思ったが真相はよくわからなかった。

 数日後、中川は健康診断受けていたのだが検尿してる最中、急にあることに気づいた。「もしかして・・」

 中川は改めてトイレを調べてみると汚水を外から抜き取るドレンが作られていた。恐らくひろしは気に入った子の尿を抜き取って飲んでいたのだろう。後にパソコンからも飲尿の日記が見つかり元恋人の証言からも裏付けられた。後に実験で残った毒性のある薬品をトイレに流した学生も特定され注意を受けた。

「結局自殺でも事件でもなく事故だったのか。」刑事は深い溜息をついた。


 

 

学生時代、彼女のおしっこ飲んだって言ってる友人いました。

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