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エデンを求めて  作者: 泰洋
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旅立ち

2025年6月18日。その日人類は、自らに残された時間が残りわずかだと知った。


隕石が地球に迫っていて、後一年で地球に激突するそうだ。


様々な経緯と多方面からの情報によりわかったらしい。

詳細はわからない。


とにかく、後一年で世界が終わるということだけ理解した。


それから2ヶ月後ぐらい経った真夏のある日。僕の家にスーツを着た大人が2人やってきた。


そして、父さんと母さんと少し話をした後、僕を無理やり大人達が自分達の車に乗せた。


抵抗した。


両親に助けを求めた。


でも、両親はなぜか嬉しそうだった。


涙は流していた。


でも、それは悲しみの涙には見えなかった。


僕は抵抗をやめた。


それから少しして、なぜ両親が嬉しそうだったかわかった。


どうやら、僕はエデン計画に選ばれたらしい。


エデン計画とは太陽系から遠く離れた場所にある地球に酷似した星、エデンに世界中から抽選で選ばれた20歳以下の子供5000人宇宙船に乗って移り住む計画らしい。


とりあえず、一年以上生きられるらしい。

それだけわかればよかった。

長生きできる喜びより、両親に捨てられた訳ではないという事実だけで十分だった。


それからは宇宙船を操縦する訓練などが始まった。


僕は17歳だったので、リーダーに選ばれた。

リーダーと言っても、一番偉い人のことではない。


リーダーとは15歳以上の子供500人のいわば役職である。


リーダーは15歳以下の子供を保護する責務を負う。


リーダーの仕事は2つ。

自らが確実に生き残ること。

そして、万が一全員生存が不可能な事態になった場合、自分より若い子供を確実に生かすこと。


リーダーは生き残るためのあらゆる訓練を施されている。


簡易的な応急処置法や様々な状況を想定したサバイバル訓練。

そして、万が一何らかの敵対勢力が襲来した際の戦闘訓練である。


戦闘訓練は多岐をわたる。

ナイフや銃を用いた白兵戦から、プロテクターと呼ばれる人型のロボットを用いた宇宙空間における大型生物との戦闘訓練などなど。


プロテクターとは正式名称はかなり長ったらしいので忘れた。


宇宙空間における作業用に作られたロボットらしい。

大きさは20メートルぐらい。


見た目に新鮮さはない。

とにかくシンプルな外見を持っている。

あえて言うなら、よくロボットアニメに出てくるような味方側のザコキャラのような感じ。


何の特徴もないプロテクターだが、装甲板や、武装等を簡単にカスタマイズ可能で、子供でも扱えるように簡単に整備できるように作られている。

細かい作業が何より嫌いな僕でも装甲板等の取り付けができた。


一通り訓練が終わると、適正テストが行われた。


リーダーは5つのセクションに分けられた。


戦闘班

補給班

整備班

医療班

航海班


である。


僕はプロテクターの戦闘成績がよかったらしく、戦闘班に配属された。


出発の1ヶ月前。初めて戦闘班のメンバーと顔を合わせた。


セクションリーダーのキーファーを初め、みんないい人達だった。


それから、また専門的な訓練があり、地球滅亡の6時間前にようやく旅立つことができた。


5000人の子供が5隻の宇宙船


宇宙航行船艦 シーワン

補給艦 エスポワール

遠方観測艦 ナジェージタ

宇宙空母艦 フリーダム

宇宙巡洋艦 ホープ


に乗り込んで…


地球に隕石がぶつかるところを見た。

もう、帰る場所はないってことがわかった。



「こんな感じでいいかな?

航海日誌とかつけたことないからわかんないよ。」


僕=芹沢和樹が照れ臭そうに言った。


「何照れてるんだ?カズキ!

クジで戦闘班の航海日誌はお前が書くって決まったじゃねぇか!」


ロシア出身のアレクシスが言った。

アレクシスはどう見ても19歳には見えないほど、長身で筋肉質で老け顔だった。


「そうよ!カズキ!頑張りなさい!」


フランス人のソフィアが素敵な笑顔で言う。

ソフィアも18歳とは思えないほどの完成度を誇る体と顔をしている。


決して和樹が童顔ということではないと思われるが、和樹はどう見ても17歳には見えないほど可愛らしい顔つきだった。

身長も163cmと小柄で、195cmのアレクシスによくチビとからかわれている。


「そうだ!カズキ!毎日欠かさずやるんだ!じゃないと、便所掃除だぞ!」


アメリカ人のキーファーが和樹の背中を叩きながら言う。


キーファーもアレクシスに負けじといい体格をしている。

体に似合わず、顔はハンサムで、綺麗な金髪を肩まで伸ばしている。


「冗談じゃないよ!もうこれ以上仕事増やさないでよ!」


和樹はいつもいじられていた。

無理もない。

戦闘班の中で最年少。しかも身長も最小。いじられない要素が見つからない。


戦闘班は50人で編成されており、多くが18〜20歳だった。


ちなみに多国間の子供達がなぜ外国語を理解できるのかというと、耳の中に超小型の翻訳機を入れているからである。


「全くカズキはいじられない日はないよな!

愛されてるね〜」


親友の谷垣輝がケラケラ笑ながら言った。


「おい輝!お前は整備班だろ!整備ドッグに帰れ!」


少しイラついた様子で和樹が言った。


「なぁ〜にイラついてんの〜!

まだ地球を出たばかりでいきなり…」


『緊急警戒態勢!

これは訓練ではない!

繰り返す…』


突然警報がなり響いた。



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