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一話:prologue


タタン…タン


「gain…得る。harm…害」


私の名前は秋月憂<あきづき ゆう>大学受験を3ヶ月後に控え、通学途中の電車内で一つでも多くの単語を覚えようと単語カードを開く。


『次はー…駅…の方は…』


カタン…タタン…




「眠いわ…連日の徹夜のツケが来たのね」


暖房の効いた暖かい車内で憂は眠気をこらえられずに眠りへと入っていった。



「こんなことになるならっ…!何故あの子を…!」

「仕方がなかったんだ!お前だって…」

「これ以上あの子を利用しないで!」




な、なに?イギリスの王室みたいな豪勢な場所で、これまたイギリス人(限定)みたいな美形人がなにやら激しい言い争い…

どんな夢見てんの私…



「誰がなんと言おうと…彼女をこの世界に呼び戻す!」



へぇ〜…なんか修羅場?ぽいけど大丈夫なのかな彼らは…


とか、まるで人事(というか夢だし)のように傍観してた私は現実に起きている激しい衝撃で、一気に現実へと引き戻されてしまった。



ゴォオオォオン…!!!!!!!


ガタン!

「…痛ったー…!?」

目を覚ました私は突如目の前に飛び込んだ現実に首をかしげた。


「な、なんなのよ…」

憂の乗っていた列車は脱線事故を起こし、あろうことか車体が崖っぷちにさらされたまま宙づり状態。

誰かがピクリとでも動けば、列車は確実に真下へ落下し、ゲームオーバー。



「冗談じゃないわ…もう少しで薔薇色キャンパスライフが私を待っているのー!」


今死ぬわけには…いかない!!!!




そう思った刹那、目の前が真っ白に光ったかと思うと何故か私は非常事態列車を真下に見下ろしていた。



「……っあ、…え?」

「お迎えに上がりました。姫」


なんと私はこの世のものとは思えないほど絶世の美男子にお姫様だっこされたまま宙に…ちゅう…


「いっ、ィヤーッ!!!!!落ちるぅー!」

「あ、暴れないで下さいっ。大丈夫私の魔術で宙を浮くことなど造作もないこと」

創りもののように美しい顔でにこりと微笑む。


「お、落ちない?ちゃんと…捕まえてて下さいね…?」

恐怖で潤んだ涙を男が人差し指でちょんと拭った。


「例えこの手を焼かれようとも、私はこの手を離しませんよ。私の姫」


「えっ…」


「さぁ、ぐずぐずはしていられません。一刻も早く國に戻らねば」


「國って…?あなたは誰なの!?」


「それは追々ゆっくりと説明させて頂きます。」

またにっこりと微笑んでみせた男は口元で聞き慣れない呪文を唱えると、再度私の体をしっかりと掴み、また白い光の中へダイビング。






何やってんだろ私…



単語カード車内に起きっぱなしだし。てか今の衝撃的展開で頭の中真っ白だわ。

一から勉強し直さないと…




とか、割と呑気な考えしか出来なかったのはたぶん私がまだ自分の置かれてる立場とか、この國のこととか…まだ何も知らなかったからである。


知らないことは罪である


そんなことを私が思い知らされるようになるまではまだ遠い…


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