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闇覇王の継承者
小さな小さな星が集まり、一つの大きな大きな群れを作り、朧月夜の空を漣のように音を起てている。薫風が寒さと混じり、次の季節の始まりを感じさせた。数枚の花びらがヒラヒラと風に流され舞い落ちる。
私達が生きている現代にも、古代にも中世にも、この景色はずっと続いていたのだろう。
四季折々に形を変え、人々を昼夜問わず楽しませていた。
闇夜を照らす照明と月夜。
笛の美しい調べと犬の遠吠えが静かな夜に響くその音は、独特の世界を作り出していた。
「・・・静かだな。」
もう、深夜の2時を過ぎていた。笛も犬も、もう聞こえない。涅槃の世界で修介は瞑想にふけった。夜風が頬を撫でる。
いつまでもこれなら世界も平和だろうな・・・。
「・・・誰だ?」
小さな声がした。
何人かの声が聞こえる。
「早く見つけなければいけないのだ。隅々まで捜せ!」
・・・何を探しているのだろうか。
「見ーつけたっ!ルシファー様と同じ波動の人間。」
「貴様は・・・?」
「虞汰様、発見しました。」
「よくやった!春風。この人間を魔界に連れて行くぞ!」
春風が修介の手を掴む。
とても女とは思えない力だった。