少ないほうがいいよね…?
近江屋事件の概要は。。。
4人が押し入って、龍馬を殺害して逃げた。というものだ。
恐らくこれは正しいのだろう。だけど実行犯は4人だとして、計画した者は別に居るのでは?
坂本龍馬殺害の犯人は未だわかっていない。
当時は言えなかったとしても、『歴史に名が残る』という誘惑に、実行犯は勝てるだろうか?
答えは否だ!
だとするならば、実行犯は口を塞がれたと考えるのが妥当だろう。
要するに、彼らは捨て駒だったという事だ…。
そうなると、今日の襲撃を撃退したところで、坂本龍馬を狙う事は諦めない?
ところで動機は何だろう?
既に大政奉還は成っており、いまさら撤回は出来ないだろうし、しないだろう。
まだ発表はされていないけど新政府のメンバーも決まっている。
もしかして、発表されていないからか?
坂本龍馬がそこに入っていない事を…
この人は、海援隊に本腰を入れて海外との貿易に思いを馳せている事を…
しゃーねーなあ!!
新政府が発足するまで身を隠すか?いっそ、海外へ逃げるか――。
どっちにしても、襲撃犯はやっつけとかんとあかんわな!!
夕刻、七ツ半(午後5時頃)中岡さんが龍馬さんを訪ねてきた。
「龍馬さん。中岡さんがいらっしゃいました。」
「通してつかぁさい。」
階段下から声をかけると、通していいとの声がした。中岡さんに伝える。
「邪魔するき」
俺の横を通り過ぎ、中岡さんが階段を上がっていく。
中岡さんが2階に上がってしばらく時間が過ぎた頃、中岡さんに何かを頼まれ出て行った峰吉が帰って来た。中岡さんは?と聞かれたので峰吉を2階へ連れていく。
俺は2階にあがるとそのまま峰吉を部屋へ向かわせ、階下を見ながらそこで待つ。
「はっくしゅん…」
「風邪かよ龍馬」
「なに…軍鶏でも食えばすぐ治る。今日はわしの誕生日ぜよ慎太」
「なんぜ…そりゃ。わしに軍鶏を買うてこいと言うかや…」
「中岡様…ただいま帰りました。」
「おお、峰吉すまんかったの」
「なんぜ?」
「いや、ヤボ用でな。薩摩藩邸に使いにいってもろうた」
「ほんなら、軍鶏は峰吉に買うてきてもろうちゃろう」
「軍鶏ですか?」
「コイツが食うたら風邪が治る言うきのう。悪いけんど頼むき。」
「わかりました」
薩摩藩邸から戻って来たばかりだというのに、今度は買い物を頼まれるとはご苦労な事だ。
龍馬さんが軍鶏を食いたいと言うなら仕方なし…。お金は中岡さんからもらった。
一緒に階下に下りると、俺は峰吉に問いかける。
「頼まれたのは軍鶏だけかい?」
「はい。」
いやいや、軍鶏だけ買って来てどうやって食うつもりやねん?
仕方ないなぁ…
元力士というだけあって鍋の知識は豊富だった。
調味料は近江屋から拝借するとして、長ネギ、ニンニク、ショウガ。ゴボウ、春菊、しらたき、シイタケ、豆腐(あれば焼き豆腐)。春菊がなければ白菜でもいいかな?
やっべ!腹減って来た!!
俺は軍鶏鍋の材料を紙に書いて渡し、それらも一緒に買ってくるようにとお願いした。
渡されたお金を見せてもらったところ、全然足りると思われたので俺が出す必要はなかった。
手持ちも少ないし、それにどのみち食えないだろうしね。
さて…
俺は、店主たちに居間から出てこないようにと言って階段下に陣取った。
見習い番頭さんにも帰ってもらった。ここに居たら殺されてしまう可能性が高いからだ。
守る対象は少ない方がいいに決まってる。
峰吉が帰ってくる前に事は起こるはずだから…




