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冒険者の村①

 広がるのは、のどかな田園風景が広がる。

 田畑には多くの作物が実っているようにも見える。

 これは、今夜泊まる宿では美味しい料理を堪能出来そうだ。

 

 生きてたどり着ければの話しだが、、、


 そう、俺たちは絶賛戦闘中だった。

 体長は1mほど。ダークグレーのその生き物は6つの足を器用に動かし、すばしっこく走り回る。

 数は4匹。統率が取れていないのがせめてもの救いか。いや、それぞれが勝手に動くのでパターンも読めない。

 俺たちも冒険を続ける上で、多少なりとモンスターを退治してきた。

 その甲斐あってか経験値も増え、筋肉も付き、以前のひょろひょろサラリーマンとは違い、少しはたくましくなったと思う。

 しかし、こうもチョロチョロされると苦戦を強いられる。


「とにかく、動きを止めるのよ」


 そう言いながら、つかささんは旅の荷物の入ったカバンで飛びかかってくる一匹を殴り飛ばす。

 飛ばされたその個体は、仰向けに倒れるがすぐに起き上がろうとする。

 そこへすかさず近寄りショートソードを突き立てた。

 そんなつかささんへと別の一匹が襲いかかる。俺はかけよりソイツを切り飛ばす。

 そしてさらに飛びかかってくる別の一匹に、先ほどのモンスターの身体からなんとか剣を引き抜き切りつける。

 そう、こちらの世界に着て、剣を扱うようになってわかったことだが、筋肉というのは結構硬いもので、上手く切りつけないとなかなか刃が通らず致命傷にならない。確実に仕留めるには突き刺す方がいいのだが、そうすると剣が抜けなくなり隙が生まれるのだ。

 つかささんには、包丁で肉を切ることを思い出せばわかるでしょ? と言われたが、あまり料理をしない俺からしたらよくわからない。

 俺も旅のカバンでぶっ飛ばしてから剣を突き立てる戦法でなんとか全てのモンスターを倒すことができた。


「なんとか倒し切りましたね」

「そうね、怪我もなくて良かったわ」

 

 つかささんは自身の剣についた血を拭い鞘へとしまう。

 つかささんもずいぶんとたくましくなった。はじめはモンスターの血を見ただけで固まっていたのに。

 さすがに通常の剣を持つにはしんどいらしく、俺の使っているものより少し短く細身のショートソードを使っている。

 もともとはサブウェポンとして使ったり、大振りな武器だと取り回しの難しい屋内などで使うものらしいが、つかささんには合っているようだ。

 

「しっかし気持ち悪いわね」

「まぁそうですよね。どう見てもネズミをデカくして気持ち悪くした感じですよね」

「ひょっとしてこの辺りってこんなのがいっぱいいるのかしら」

「さぁ、それはわかりませんけど。でも、そうだとしたらコイツらから農作物を守るための何かしらの対策はしてそうですけど」

「そうね。こんなに畑が広がってるのにそういうのは見当たらないわね。じゃあ大丈夫かしら」

「とにかく目的の村ももうすぐです。そこにたどり着けば大丈夫でしょう」

「そうね、こんなモンスターがいるところで野宿とか絶対にイヤだわ。急ぎましょう」


 そうして俺たちは近くにある温泉宿のあるという村へと向かった。


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