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『Summer Again』 後編
「よし! じゃあ早速弾こ
柊木がそう言いかけたところで病室の扉が開き、看護師が入ってくる。
「柊木さーん?」
「はいぃ!?」
(びっくりしすぎだろ)
「柊木さん。検診のお時間です。先生のところへ行ってください。」
「はーい。じゃあ朝空くん!また後でね!」
あぁ。と相槌を打ちベッドに横になる。
時計に目をやると午後2時30分を指していた。
……いったい、あの頭痛はなんなんだろうか。
柊木の演奏を聞いた時が1番激しかった。
そして何かを忘れているような感覚。
やはり、事故の時に頭をうったのだろうか?
しかし先生は何も言っていなかったし、俺自身も腕の骨折しか……
ー 突然激しい頭痛が起きる ー
忘れていた記憶が急激に戻る感覚。
しかし、頭痛のせいで整理ができない。
ー 頭を鈍器で殴られているような感覚 ー
でも、一つだけ理解出来たことがある。
俺は……柊木を……知って……?
ー 波のように頭痛が起きる ー
誰か……呼ば……なきゃ……
「…だ……れ……か……」
掠れた声が蝉の声にかき消される。
そこで俺の意識は途絶えた。
さぁ、あの夏をもう一度。